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台東区南部エリア(御徒町〜蔵前〜浅草橋にかけての2km四方の地域)は古くから製造、卸の集積地としての歴史を持ち、服飾雑貨やアクセサリー、文具、玩具などの部品メーカーや問屋、職人が集結しています。近年ではアトリエを構えるクリエイターも増えてきているそう。そんなエリアに位置する「東京おかし研究所」はなんと、お菓子作りが大好きな現役大学生、松下知華子さんが店長を務めるお店です。

工場の一角に佇むお店。焼き菓子ののぼりとかわいらしい飾りがほっこり温かな雰囲気を醸し出している

焼き菓子が並ぶ店内。奥にはイートインスペースが設けられており、ほっと一息できる

「厚焼きクッキー」200円(税込)〜、「フィナンシェ」270円(税込)〜、
「コーンフレークのマシュドーム」140円(税込)〜など。どれもおいしそう

松下さん母娘。知華子さん(左)の「好き」を全力でサポートする多恵子さん(右)。
二人三脚でお店を切り盛りする
もともとお菓子作りが大好きだったという知華子さん。小さい頃、お母さんの多恵子さんとよく作っていたそうです。コロナ禍で家にいることが強いられた時期、知華子さんひとりでいろいろなお菓子を作ることに夢中になり、そこからのめり込んでいきました。
いつかお店を持ちたいとうっすら思うようになった頃、父の仕事の金属加工の工場だった場所が空くことに。最初はキッチンに改装しようかと考えましたが、せっかくだからお店にしてはどうかと多恵子さんが思いついたそうです。その話を聞いた時、知華子さんは最初は断ったそうですが、多恵子さんのあと押しもあり2024年4月、お店のオープンに至りました。オープン当初、知華子さんは高校3年生だったというから驚きです。
現在、知華子さんは大学で食品化学について学んでおり、学業に励みつつ、お菓子作りの研究に余念がない日々を送っています。
お菓子を作る上で気をつけているのは「甘さ」。甘すぎるのが苦手という知華子さん、お店のお菓子はすべて甘さ控えめにしているそう。一番の売れ筋は「ブラウニー」とのことで、さっそくいただいてみました。

知華子さんの自信作であり一番人気の「ブラウニー」330円を「コーヒー」330円(すべて税込)とともに。
コーヒーはハンドドリップで丁寧に淹れてくれる
確かにちょうどいい甘さで大人向けの味。しっとり濃厚でくるみの食感がアクセントになっています。コーヒーにはもちろん、ワインのお供にも良さそうです。隠し味に粗塩を入れたり、カカオ分が異なる2種類のチョコレートをブレンドして程よいビター感を出したり、どこをかじってもくるみに当たるようたくさんのくるみを使用したり…とおいしくするための努力は惜しまないといいます。くるみは使用する前に素焼きして香ばしさを引き出すことも忘れません。

原材料は至ってシンプル。添加物はできるだけ使わず、国産の材料を中心にセレクト。
すべてのお菓子に保存料は使っていない
そしてお店の名前にもあるように、ここはお菓子の「研究所」。毎月、ひとつのお菓子について研究し、その成果を発表(販売)します。知華子さんがその時に食べたい、作りたいと思ったお菓子を1ヶ月間材料や配合、焼き方などを細かく変えながら試作を重ね、これだと思えるレシピを生み出せたら販売となります。
これまでに「スノーボールクッキー」、「ガトーショコラ」、「マシュマロチョコマフィン」、「ラズベリー&チーズムース」、「ベイクドチーズケーキ」など多様なお菓子が生み出されました。これらのお菓子は期間限定なので、月々のお楽しみ。11月は「さつまいもを使ったお菓子」の予定だそうですが、どんな内容にするのかは現在絶賛研究中で、ギリギリまで試したいとのこと。どんな成果になるのか、完成が楽しみですね。

取材時の10月は「かぼちゃのプリン」380円(税込)。以前、別の素材を使ったプリンを研究したことも。
その時も今回も人気上々のプリンは出会えたらラッキー!

これまでのレシピを書き綴った大事なノート。試行錯誤の様子がうかがえる。
これらの研究過程の軌跡はまさに財産
イートインスペースの奥が研究スペース、つまりキッチンということで、少し覗かせていただきました。するとまさにお菓子の試作中!某チェーン店でこの時期定番人気のチョコパイを自分なりに作ってみたそうで、ちょうど焼き上がったところでした。図ったかのようなタイミングで申し訳ないですが、ご相伴に預からせていただきました。

見るからにおいしそう。パイ生地ももちろん手作り!
パイ生地はサクッとしており、中にはアーモンドの粒が入ったチョコがトロ〜リとお目見え。中身が濃厚な分、生地はさほど甘くしていないためバランスも◎。とっても贅沢でおいしいパイでしたが、本人的にはまだまだ研究の余地ありといったご様子。今後研究を重ね、いつか商品として現れる日が来るかもしれません。

サクッと軽いパイ生地に濃厚なチョコがたっぷりで最強
普段から、人気のお菓子があれば「食べたい」と思うよりも「作ってみたい!」という気持ちになるそう。お店に出す商品を作るだけではなく、今回のチョコパイのようにただただ作ってみたいものを作ることも多いといいます。
「お菓子作りの工程全部が好き。作るのにかけた時間が長ければ長いほど完成した時の喜びが感じられる、それが醍醐味。また、お店をすることで売ることの大変さやそれを買ってもらえる喜びも味わうことができ、自分はとても恵まれていると感じます。客観的な意見がもらえることもうれしいし、励みになる」と知華子さん。テスト前は特にお菓子が作りたくなるのだとか。

ちょこちょこ買って日々のおやつにしたい。毎日食べても飽きない、そんなお菓子がたくさん。
塩味の「スティッククラッカー」150円(税込)は男性に人気なのだそう

好きなお菓子を選んでオリジナルギフトボックスを作ることもできる。合計金額+箱代250円(税込)

完全予約制のケーキも承り中。要望に応じてオリジナルケーキを作ってくれるステキなサービス
「もっと多くの人にお店のお菓子を知ってもらいたい」とマルシェや出張販売なども積極的に参加しています。来年のお正月(1月2日)に開催される「すみだ川マルシェ」への出店も決まっているそう。定番商品はもちろん、お正月にちなんだ富士山やだるまのクッキーなども並ぶ予定だとか。
知華子さんの大学生活や就職などにより、今後お店がどのように変化していくのかは誰にもまだわかりませんが、ともにその歩みを見ていきたい、応援したくなるようなお店です。ぜひこの機会に、知華子さんが心を込めて作ったお菓子を試してみてくださいね。
東京おかし研究所
住所 東京都台東区小島1-7-7松下製作所内
TEL 090-5554-2672
営業時間 水〜木曜15:00〜20:00、土曜14:00〜19:00
定休日 日〜火曜
東京都営地下鉄大江戸線新御徒町駅から徒歩5分
ホームページ https://matsushita-mfg.com/TOK/okaken.html(外部サイトへ移動します)
インスタグラム https://www.instagram.com/tokyo_okashi_kenkyuujo/(外部サイトへ移動します)