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2025.11.19【国立科学博物館】特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」内覧会レポート

地球上に生命が誕生してから40億年、地球上では幾度も生命の危機が訪れました。
生命の歴史は、生命の危機である「絶滅」と、それを乗り越える「繁栄」の繰り返しです。その歴史を大きく方向づけてきた5回の「大量絶滅」事変(通称「ビッグファイブ」)をテーマとする、国立科学博物館では初めての特別展が11月1日(土)より始まりました。
本展は、各種の古生物や火山、古気候・古海洋などを専門とする国立科学博物館の研究者10名による監修のもと、さまざまな角度から5回の大量絶滅の謎に迫る内容となっています。

 

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ティラノサウルスCGⒸNHK/Ⓒアフロ/ⒸPIXTA/エーギロカシス復元画

Ⓒかわさきしゅんいち/レドンダサウルス Ⓒ福井県立恐竜博物館

 

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会場に入ると大きな地球儀型の休憩映像展示「大絶滅スフィア」が目に飛び込む。

地球史における「ビッグファイブ」を映像で紹介。こちらを起点に6つの章に分かれる

 

会場は5つの大量絶滅が観測された地質年代区分ごとのエリアに分かれており、わかりやすく色分けされています。また、各章内では大量絶滅事変前後の境界を地割れで表現。大量絶滅事変前後に生息した生物を視覚的にもとらえやすいよう工夫が施されています。

 

第1章は約4億4400万年前の「O-S境界」でオルドビス紀とシルル紀の境目に相当します。テーマは「海の環境の多様化」。海の生物に大きく影響した最初の大量絶滅事変です。オルドビス紀化石の世界有数の産地があるモロッコの最新研究から絶滅事変の詳細に迫ります。

 

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第1章展示風景。各章には赤い地割れの境界線があり、大量絶滅事変の前後を区分する境目として表現されている

 

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オルドビス紀前期に生息していた巨大な節足動物に近い生物「アクティラムス」の化石(レプリカ)。

実寸大の模型とともに。その大きさに驚く

 

第2章は、約3億8000万年前~約3億6000万年前の「F-F境界」で、デボン紀と石炭紀の境界に相当します。テーマは「陸上生態系の発展」。火山活動に起因した寒冷化による複数回の絶滅事変です。海ではダンクルオステウスなどの板皮類や多くの三葉虫が絶滅し、陸では巨大な森を中心とした生態系が始まりました。

 

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展示風景。デボン紀に繁栄した三葉虫6目のうち、下に並んでいる5目が絶滅したという。

三葉虫のイメージを覆すような、奇妙な個体が揃う

 

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総合監修を務めた矢部淳さんが本展において「イチオシの標本のひとつ」という、

最古の木「ワッティエザ」の化石(レプリカ)を日本初公開。全長8mにわたる化石の頂部

 

第3章は約2億5200万年前の「P-T境界」で、ベルム紀と三畳紀前期の境目に相当します。テーマは「史上最大の絶滅」。シベリアで起こった大規模火山活動に起因した、古生代の終わりを告げる史上最大の絶滅です。海陸で多くの生物が絶滅しましたが、恐竜や魚竜、わたしたち哺乳類につながる仲間が生き残りました。

 

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史上最大の絶滅の要因でもある火山活動を体感できる模型。

ふもとに立ち、火山活動を体感してこの時代の生物たちに思いを馳せてみよう

 

第4章は、約2億100万年前の「T-J境界」で、三畳紀後期とジュラ紀の境目に相当します。テーマは「恐竜の時代への大変革」。大西洋をつくった超大陸パンゲアの分裂。この時の火山活動が原因とされる絶滅事変は、爬虫類の世界を大きく変え、恐竜が主役に躍り出るきっかけとなりました。

 

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三畳紀後期に北アメリカに生息していたレドンダサウルス(左)とジュラ紀に南極大陸に

生息していたクリオロフォサウルス(右)の全身骨格(レプリカ)が並び、大迫力!

 

第5章は約6600万年前の「K-Pg境界」で、白亜紀と古第三紀の境目に相当します。テーマは「中生代の終焉」。小惑星の衝突により恐竜などの中世代型生物が絶滅。原因となった隕石や、この時代の変化が詳しく研究されている北米西部の化石を紹介します。
また、アメリカのデンバー自然科学博物館より貴重な標本が多数来日。日本初公開となる標本もあり、見どころ満載です。

 

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1969年にオーストラリアのマーチソン地方に落下した隕石(左)と約6600万年前のインド、

デカンLIPの活動により噴火した溶岩、デカン玄武岩(右)

 

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実物大のティラノサウルスとトリケラトプスの頭部骨格(レプリカ)。迫力ある映像とともに展示

 

第6章のテーマは「新生代に起きた生物の多様化 ~ビッグファイブ後の世界~」。大量絶滅のなかった新生代ですが、寒冷化や乾燥化など激しい気候変化が原因で生物の世界に大きな変化がありました。生き物の多様な世界がどのように形作られてきたかを化石で辿ります。

 

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ウマ科の四肢の進化が一目でわかる。サイズや指の変化などじっくり観察するとおもしろい

 

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東京都狛江市、多摩川で発見されたという「ステラーダイカイギュウ」の全身の

実物化石を世界初公開!ぜひ目の前でじっくりと観察してほしい

 

また、第二会場では、スペシャルナビゲーターを務める福山雅治氏が、15年にわたる世界各国の「ホットスポット」への旅の中で撮影してきた貴重な写真(最新の撮影地はガラパゴス諸島)と、国立科学博物館が所蔵する標本と総合研究を紹介。世界各地域で進む生物多様性の喪失の現状、そして今を生きる人と動植物たちとの関係を伝えます。

 

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第二会場展示風景。ホットスポットでくらしている生き物、そして彼らが瀕している危機が

身近に感じられる展示。この美しい自然、動植物をなくしてはならないと切に思う

 

展示を楽しんだあとは展覧会特設ショップへ。大人気「すみっコぐらし」とのコラボグッズをはじめ、メカ生命体「ゾイド(ZOIDS)」とのコラボグッズ(※12月より発売)、Tシャツやステーショナリー、お菓子などたくさんの商品が並びます。

 

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オリジナルの絶滅生物ぬいぐるみ1,760円(税込)〜はとってもキュート!

 

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「すみっコぐらし」アクリルキーホルダー全6種、各770円(税込)はブラインド包装で何が出るかはお楽しみ。

ほか、数種のコラボグッズを販売中。大人気の「てのりぬぐるみ」は12月23日(火)から発売予定

 

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「プリントクッキー」1,080円。化石で目にした生物たちがクッキーになって登場

 

過去5回の大量絶滅事変とそれぞれの時代に生きていた生物の姿の展示だけではなく、大量絶滅の原因を最新の研究に基づいた、本邦初公開となる標本・情報がぎっしり詰まった内容です。古生物や恐竜が好きな子どもから大人まで、しっかりと楽しめ、学べる貴重な機会。ぜひ足を運んでみてください。

 

特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」

会期    開催中~2026年2月23日(月・祝)
会場    国立科学博物館
住所    東京都台東区上野公園7-7
開館時間  9:30~17:00(入場は30分前まで)
休館日   月曜、11月25日(火)、12月28日(日)〜2026年1月1日(木・祝)、1月13日(火)
     ※11月24日(月・休)、1月12日(月・祝)、2月9日(月)、2月16日(月)、2月23日(月・  

      祝)は開館
通常券料金(税込) 一般・大学生 2,300円、小・中・高校生600円 
お問い合わせ    050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会公式サイト  https://daizetsumetsu.jp(外部サイトへ移動します)

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