TOPICS
注目記事
2025年2月、インドネシア料理専門の食堂「Warung SUKA(ワルンスカ)」が蔵前にオープンしました。オープンして半年以上が経ち、日本で働くインドネシアの方々にとっては故郷の味が楽しめ、また同郷同士の交流ができる、なくてはならない心の拠り所となっています。
オーナーのケニーさんに話を聞くと、技能実習生として日本に滞在しているインドネシア人には、与えられた任期を終えずに故郷へと帰ってしまう人も多いそう。その原因のひとつは「食」。日本におけるインドネシアの食材店や料理店は、他の東南アジアの地域に比べるとまだまだ少ないのだとか。だからこそ、故郷を思い出すようなあたたかい家庭の味を食べることで、少しでも食のストレスを減らす助けになれたらという思いでこの食堂を開いたそうです。

笑顔がステキなオーナーご夫妻(テレシアさんとケニーさん)
お店を利用する方の7割ほどがインドネシア人で、そのほかにはハラール料理を求めてやってくる外国人観光客、本場の味を求める日本人などさまざま。
インドネシアでは人口のおよそ9割近くがムスリム(イスラム教徒)であり、豚肉やアルコールが禁止されています。肉は牛や鶏、羊などが食べられていますが、これらはイスラム法の規定に則った処理方法で調理されている必要があります。こうしたハラールの厳しい基準をクリアし、安心、かつおいしいインドネシア料理を提供しています。

1階はハラール食料品を扱うショップ、2階が食堂になっている
同店ではインドネシアのソウルフードと言われる「ミーアヤム」と「バクソ」に焦点を絞って提供しています。
私たち日本人がインドネシア料理と聞いて、まず思い浮かべるのは「ナシゴレン」や「ミーゴレン」という方が多いのではないでしょうか。実は、現地でそれらよりもっとポピュラーで愛されており、スナック感覚で食べられている料理がこの「ミーアヤム」と「バクソ」なのです。

お店の前にはわかりやすいよう写真付きでメニューが紹介されている

アットホームな雰囲気で明るい店内
「ミーアヤム」は中国を由来とした麺料理。鶏ガラ出汁が効いたスープ(別添え)に、青菜と甘く煮込んだ鶏を麺にトッピングしたものにスパイスを使った濃厚なソースがかかっています。
「バクソ」も中国由来で、牛肉のすり身から作られたミートボール入りスープ。熱々のスープに卵麺や米麺、豆腐やゆで卵などと一緒に提供される料理です。
今回は「ミーアヤム」と「バクソ」どちらも楽しめるという「ミーアヤムバクソ」をオーダーしました。

これらのメニューに加えて限定のスペシャルメニューもあるので要チェック

調理はテレシアさんが担当。ふるさとの味を、心を込めて作ってくれます

「ミーアヤムバクソ」1,300円(税込)
「ミーアヤムバクソ」はミーアヤムに付属のスープの中に肉団子が入ったもの。まず、麺と具材をよく混ぜてあえ麺にしていただきます。濃厚なソースが麺と絡み、さらに甘辛く味付けされた鶏肉、シャキシャキの青菜、パリパリに揚げられた餃子の皮、と、さまざまな食感と味わいが混じり合い、唯一無二のおいしさ。

具と麺をしっかり混ぜて、いただきます。サンバルは少量でも辛い!
さらに、この麺をスープにつけてつけ麺のように食べたり、スープを全部入れてラーメンのようにして食べたり、と幾通りもの食べ方ができるのが特徴です。
また、サンバル(唐辛子ベースの辛味調味料)とレモン、卓上調味料を好きなタイミングで好きなだけ入れて辛味や酸味をプラスしながら自分の好みの味を作っていくのが現地流なのだそう。

麺をスープに浸し、つけ麺のようにして食べても◎
肉団子は、想像以上に弾力があり、プリプリとした食感。かまぼこを想起させるような独特の歯応えがあり、濃厚なスープに合うホッとする味わい。これから寒くなっていく季節にいただきたい料理です。

「バクソ」のまんまる肉団子は弾力ある噛みごたえ。うまみがギュッと凝縮されている

左から強めの酢、甘い醤油、チリソース、塩。現地の方はこれらの調味料を「ミーアヤム」に
全部入れて独自の味を作り出すのが現地流
そして、インドネシアの方は揚げものが好き、とお聞きしたのでメニューにある「本日の揚げもの」をおまかせでお願いしました。すると、出てきたのは「テンペムンドゥアン」と「チレン」というもの。

本日の揚げもの150円/個(税込)。左から「テンペムンドゥアン」、「チレン」
テンペはインドネシアの大豆発酵食品。ここ最近日本でも聞くようになってきている注目の健康食品で納豆ほどクセがなく、栄養満点なので重宝する食材です。このテンペを塩で味付けした衣にニンニクのすりおろしや小口ネギを入れてカラッと揚げた「テンペムンドゥアン」は素朴で滋味深く、クセになるような味わい。「チレン」はタピオカベースのお団子を揚げたもので、日本で言えば揚げ餅のようなもの。とにかくもっちもちで、これを嫌いという人はいないのでは? 一瞬で好きになりました。添えられたソースは「ケチャップマニス」という甘口の醤油に小さな赤玉ねぎと青唐辛子を漬け込んだもの。甘さのなかにスパイシーな辛味が潜んでいて、これらの揚げものにぴったり。サンバルをつけてもおいしいです。
インドネシアではストリートフードとして愛されていますが日本のお店ではあまり見かけないそうなので、ぜひお試しください。

モチモチの食感に甘くスパイシーなソースがからんで何個でも食べられそう
おいしい食事をいただいた後は、1階のグローサリーショップへ。インドネシアのハラール食材を購入できる数少ないお店です。お菓子やお茶、インスタント食品、冷凍食品など豊富な品揃えです。

インドネシアの食材が所狭しと並んでおり、ワクワクが止まらない
こちらでは簡単なドリンクやスナックをテイクアウトすることもできます。気になったのは、ドライフルーツのチップス。バナナチップスは日本のスーパーでもよく売られていますが、サラカフルーツ、ヤングジャックフルーツのチップスなど、日本では見かけないフルーツのチップスが並んでいます。珍しいその2つを試してみました。サラカフルーツはフルーティーで香りよく甘酸っぱい味、ヤングジャックフルーツは独特の甘味があり、初めてのような懐かしいような…とにかく、手が止まりません。気になる方はぜひお試しください。

小200円、大400円(すべて税込)でミックスしてもらうこともできる。写真は小サイズ
「ひとくちにインドネシアと言っても各島によって全く違う食文化があり、たくさんおいしいものがあります。日本で紹介されているのはまだまだ一部。もっともっとこれらを紹介していきたい」とケニーさん。現在も新メニューを考案中だそうなのでお楽しみに。
インドネシアの空気を感じに、ぜひ訪ねてみてください。
Warung SUKA
住所 東京都台東区蔵前3-15-4 NEST蔵前2階
TEL 070-8492-5331
営業時間 火〜日曜12:00〜20:00
定休日 月曜
都営大江戸線蔵前駅から徒歩3分
インスタグラム
https://www.instagram.com/sukajpn/(外部サイトへ移動します)











