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調理道具の店が並ぶかっぱ橋道具街。そこからスカイツリーの方向へ歩いていくと、大通りに出ます。通りに出たところで、ふと足を止める人がいます。醤油を焼いた香ばしい香りが漂ってくるからです。香りの先にあるのが明治4年創業の「桃太郎」。創業のきっかけは、蔵前にあった店からの「のれん分け」だったといいます。そのとき店の名前を受け継ぎ、「桃太郎」として営業を続けてきました。創業当時から変わらぬ場所で、伝統の味を守り続けています。

つくばエクスプレス浅草駅からほど近い場所にある桃太郎。香ばしい醤油の香りが通りに漂う

モノクロ写真に残る、昔の桃太郎。店先で打ち水をする様子から、当時の町の空気が伝わってくる

毎日作られる団子や大福が店先に美しく並ぶ
まずは「豆大福」をいただきます。こちらは、店を訪れる多くの人が手に取る人気の和菓子です。昔から作り続けている定番の一品で、甘いものを求めて立ち寄る人の目当てにもなっています。

まんまるな形の「豆大福」190円(税込)。赤えんどうが惜しみなくたっぷりと入っている

中は甘さ控えめのこしあん。ひと口食べると豆の存在感があり、しっかりとした食べ応え
もうひとつ人気なのが「焼団子」です。醤油だけで焼き上げる団子は、今ではあまり見かけない種類だそうです。甘い餡を絡ませず、醤油の香ばしさをそのまま味わう団子を目当てに訪れる人も多いといいます。甘いものを食べたいときには豆大福を選ぶ人も多く、まんまるの形とほくほくとした豆の食感が親しまれています。

人を惹きつける「焼団子」190円(税込)。香ばしい香りと素材の味が楽しめる
年が明けると店頭に並ぶのが、「桜餅」です。桃太郎の桜餅は、関東でよくみられる「長命寺」と呼ばれる種類。薄く焼いたクレープのような生地で、まんまるの餡を包んでいます。もち米で作るものは「道明寺」と呼ばれ、関西などでもよく見られる形です。見た目も食感も異なる二つの桜餅ですが、桃太郎では薄い生地の長命寺を作り続けています。

桜の葉の香りがふわりと広がる長命寺の「桜餅」190円(税込)。皮が薄い分、餡の食感と甘味がダイレクトに感じられる
和菓子づくりに使う材料もずっと変わっていません。米は100年以上続く仕入れの流れを受け継いでいます。豆も長年同じ店から仕入れていましたが、最近その店が閉店することになり、紹介された店から仕入れることになったそうです。それでも製法はこれまで通りです。
店主の一日は早く始まります。朝4時に起き、5時には仕込みを始めます。団子が焼き上がるのは11時ごろで、早い日には10時半ごろ店頭に並びます。「毎日淡々と続けること」「おいしいものを少しでも安く」。そうした思いで、毎日の仕事を積み重ねています。

餅つき機が力強く動き、餅がつきあがっていく。和菓子づくりの現場らしい迫力のある光景
和菓子は季節ごとに姿を変えます。豆大福は一年を通して販売され、焼団子は2月から12月ごろまで並びます。年明けから春にかけては桜餅が登場、春が深まるころには柏餅が並び、夏には水羊羹や葛桜が登場します。毎月1日と15日には赤飯も作られるそう。季節のさまざまな行事に合わせて、街の人々からの注文も頻繁に入るそうです。
和菓子を包むときには、経木を経木ひもで結びます。そのひもは、かっぱ橋道具街の本間商店で買っているものだそう。昔ながらの包み方も、長く続く店の風景のひとつになっています。

経木をひもで結ぶ昔ながらの包装。和菓子を紙で巻いたあと、手際よく結んでいく
かっぱ橋を歩いた帰り道、ふと香ばしい醤油の香りがしてきたら、桃太郎はすぐそこにあります。派手な看板はあるわけではありませんが、毎日こつこつと作り続けてきた優しい味が、この場所に残っています。

店主の甥の國井哲明さん。店のスタッフとして、日々の和菓子づくりに携わっている
桃太郎
住所 東京都台東区西浅草2-13-10 蔵田フラッツ西浅1階
TEL 03-3841-1287
営業時間 9:30~18:00(売り切れ次第閉店)
定休日 不定休(週一)
つくばエクスプレス浅草駅から徒歩1分











