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昔ながらの個人商店が軒を連ね、活気に満ちている谷中銀座商店街。住民はもちろん、界隈は人気の散歩スポットでもあるので、近年は外国人観光客も足を運ぶほど。新しくできたお店もあり、昭和の町並みに色を添えるアクセントに。2025年1月にオープンしたilot(イロ)は、白を基調にした内装に木をふんだんに使った、居心地のいいコーヒースタンドです。

スペシャルティコーヒーを使った「カフェラテ」600円(税込)
商店街の中にあり、ふらっと立ち寄れるのがうれしい。店内や軒先のベンチで休憩していくこともできます。
「下町だからか、谷中の人たちはみんな世話好き。優しい街です」
そう話してくれたのは、店長の上田さん。そんな穏やかな空気が流れ込んでいるのか、「3時間くらいのんびりしていく人もいるんです」とにっこり。

谷中銀座商店街のメインストリート沿いに開店

開業に際し、階段下の倉庫だったところをキッチンに改装
店舗はリラックスしやすい空間になるようテーマを練り、元々焼きかりんとう屋だった建物を大きくリノベーション。少しずつディスプレイを増やし、さまざまな商品を展開していく予定で、その第一弾にあたるのがスペシャルティーコーヒーなのだとか。上田さんは以前、フレンチの料理人として経験を積んでいたこともあり、その技術を生かしたメニューも考案中。食べ歩きしやすいワンハンドフードなど、とても楽しみです。

コーヒーはエスプレッソマシーンで抽出し、アメリカーノやカフェラテに
コーヒーは、ilotブレンドとシングルオリジンの2種類。いずれも上田さんがこだわって選んだ豆で、ilotブレンドはブラジルをベースにした深煎り。もう一つはコロンビアの豆を使ったシングルオリジンで、口当たりの柔らかい、甘味のある焙煎が特徴。コーヒーが好きな人だけでなく、飲み慣れていない人にもチャレンジしやすい味わいになっています。

ilotのカフェラテは余分な甘味は加えず、ミルクを多めにするという
ilotブレンドをベースにしたカフェラテは、ふわっとした丸みのある甘味が印象的。それでいて昔の喫茶店のような、コーヒーらしい苦味も感じられます。味に丸みを出すには「カップにミルクを注ぐ際、ていねいにスワリングする(カップを回して中に入っている液体を撹拌し、均一にする)のがポイント」と上田さん。また、温度やミルクの量も重要だと言います。
かつては料理人として、本場フランスで腕を磨いたこともある上田さん。帰国後は一つ星のレストランでも修業を積みました。ilotのメニューは、コーヒーとスープの2本柱。スープの内容は時季によって変わり、料理人ならではの工夫が詰まっています。

仕上げに手作りのカレーオイルを回し入れ、エディブルフワラーを飾る

スープは一から手作り。フランス料理の考え方や調理法が取り入れられている
旬のものを中心にしながら、複雑に食材を組み合わて作るスープ。それでいて、「主役の食材を邪魔しないように全体を組み立てるのが大事」なんだそうです。例えば「コーンスープ」なら、生のとうもろこしとよく炒めた玉ねぎ、6時間かけて取ったブイヨンを合わせたものがスープのベースになります。そこに加えるコーンマヨ、ビネガーソースもなんと自家製です。

「コーンスープ(冷たいとうもろこしのスープ)」820円(数量限定)。10月頃までの販売
口に入れると、まるでフランス料理のような奥行きのある、複雑で多層的な味わい。なおかつ主役のコーンは、しっかりと際立っています。強い印象を残しながらも後味は軽やか。大きな満足感が得られ、不思議とこれ一杯で小腹も満たされます。

テイクアウトしたコーヒーやスープを片手に食べ歩きするのも、谷根千さんぽの醍醐味
コーヒーでホッと心がほどけ、スープに心も胃袋も癒やされる。ベンチに座って、ゆっくりしていきたくなる気持ちがよくわかります。そして、食べ歩きのお供にもぴったり。昭和の風情が漂う商店街に生まれた、今後の展開が楽しみな新店です。
ilot
住所 東京都台東区谷中3-11-14
営業時間 12:00~22:00
定休日 月〜水曜
https://www.instagram.com/ilot.tokyo/(外部サイトへ移動します)