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上野から少し足を伸ばした浅草・千束には、400年以上受け継がれてきた江戸銀師(しろがねし)の技を体験できる、銀師体験教室 銀伝堂(日伸貴金属)があります。その源流は、安土桃山から江戸初期にかけて活躍した金工師・平田道仁にさかのぼります。江戸時代には徳川家に仕え、18世紀初頭には平田禅之丞が湯島で鍛金・彫金・象嵌の技を磨き、銀を主素材とした工芸を確立。以来、代々受け継がれてきた匠の技が、現在の江戸銀器にも息づいています。

静かな住宅街に見える看板が目印
今回は、熟練の職人でもある江戸十二代銀師・上川善嗣さんから伝統技術を教わりながら、自分だけのオリジナル作品を作れる製作体験を取材してきました。

工房に入ると、美しい銀器がずらり。こちらは製作体験でも作ることができる
今回体験するのは「銀のしおりの御守り」づくり。初心者でも気軽に参加できるコースです。ほかにも、手打ち指輪やバングル、純銀アイススプーンづくりなどの体験が人気で、大切な方への贈り物や記念品として選ばれる方が多いそうです。
早速、「銀のしおりの御守り」を作っていきます。まず用意するのは、銀の板、当金、金槌、へら棒、ペン。

実際の仕事ではさらに多くの種類の道具が使われる
まずは3分間の慣らし打ちから始まります。銀の板面を金槌でトントンと叩く作業です。これがとても大切な工程で、銀を打って強度を高める「鍛金(たんきん)」と呼び、伝統技法の一つ。自分では気づかなかったのですが、わずか3分の間に、なんと500回も打っていました。打つ感覚は、その人の性格や体調によっても変わるそうです。

10回打ったら裏返してまた10回打つ。これを両面全体にまんべんなく繰り返す
次にペンで下書きをした部分をへら棒で削り、図柄を描いていきます。イニシャルや簡単なモチーフを入れることもできるため、記念品にもぴったりです。

下書きは油性ペンで書いても後から消せるため安心
図柄を彫ったら、金槌で自由に模様をつけていきます。これを「加飾(かしょく)」といいます。10分間で打つ回数は約2,000回。数字で見るとかなりの回数ですが、作業に集中するとまだまだ続けたくなるほどです。細部までこだわりはじめると終わりがないため、時間を決めて進めていきます。

反らないように全体のバランスを見ながら打っていく

鍛金で作った銀器は、見る角度によってきらきらと輝く
加飾作業が終わったら、次は磨きの工程へ。市販の研磨剤を使い、布で円を描くように丁寧に磨いていきます。

磨きに使う布は日暮里繊維街で購入したというネル生地
ウェットティッシュで研磨剤を拭き取り、新しい布で仕上げ磨きを行います。

しっかり磨くことで鏡面のような美しい仕上がりになる
銀の板にひもを通し、好みの台紙を選んで袋に入れれば完成です。

若竹色のひもが人気

贈り物にもぴったり
本や手帳に挟むたびに、心が穏やかになる特別なひととき。使い込むほどに風合いが増し、持ち主とともに育っていくのも銀ならではの魅力です。

工房にはさまざまな道具が並ぶ
普段はこのような作業台で製作を行っています。細かな作業がしやすい高さに設計されており、作業効率にもつながっているそうです。以前は床に座って作業していましたが、腰への負担を考え、善嗣さんが机での作業を提案したとのこと。

江戸十二代銀師の上川善嗣さん
現在は十三代銀師・上川宗氣さんが後継者として修業を重ねる一方、合同会社銀伝堂の代表として、次世代へ向けた伝統工芸の発信にも取り組んでいます。
単に形ある品を作るだけでなく、銀に人々の想いや記憶を宿し、次の世代へ受け継いでいくものづくりを大切にしています。東京銀器の技をより多くの方に身近に感じてもらい、伝統工芸の入り口となるような心に残る体験を届けたいと話してくださいました。
みなさんもぜひ一度、銀器のオリジナル作品づくりに挑戦してみてはいかがでしょうか。
銀師体験教室 銀伝堂(日伸貴金属)
住所 東京都台東区千束2-34-10
定休日 不定休
銀のしおりの御守り製作体験 他
体験可能時間 10:00~17:00
体験可能人数 1~12人
体験料 1人7,700円(税込)※取材当時
https://www.nisshin-kikinzoku.com/experience (外部サイトへ移動します)











