TOPICS
注目記事
東京都美術館は開館100周年を迎えた2026年、さまざまな展覧会が開催されています。

東京都美術館入口。開館と同時にたくさんの人が訪れる
「東京都美術館開館100周年記念 都美セレクション グループ展 2026」は、新しい発想によるアートの作り手の支援を目的として、都美の展示空間だからこそ可能となる表現に挑むグループを募り、その企画を実施するものです。100周年の節目の開催となる今回は、応募の中から厳正な審査を経て選ばれた3グループが展覧会を実施。絵画、彫刻、写真、映像、インスタレーション等による作品を展示しています。

地下2階、ギャラリーA「0と1の境界領域展」展示風景
ギャラリーAでは「0と1の境界領域展」。一見すると異なるジャンルの表現のように見える、5人のアーティストの作品たち。実は、皆が共通のコンセプトを通底しています。それは「無」や「空」である「0」と、「実存」である「1」の狭間にあるイメージを作品として可視化するという表現行為。「0」が「1」に至る過程の狭間で生み出されている5名のアーティストの作品を、100年の歴史の中で連綿と受け継がれてきた都美術館の展示空間にコラボレーションとして構成展示することで、複数の研究分野を統合して新しい表現の枠を形成するような「0」と「1」の境界領域を出現させる、という展示です。

4m×10mの大きな壁画を公開制作中のHogalee(ホガリー)。
近づいて見てみると、マスキングテープで制作を行っていることがわかる
例えばHogalee(ホガリー)の作品(写真上)。”支持体/0”に”マスキングテープ/1”を貼って描画する今回の作品群は”無地/0”に”単色/1”をのせて[ON]作り、また剥がす[OFF]ことで”無地/0”に返すことができる、と言います。ほか、幾重にも解釈可能な”0”と”1”を提示しています。

木の死体(木材)を掘り込んだのち、木目を掘り上げ、薄くなり崩壊し残った形を彫刻として存在させる松本涼の作品

崩れ落ちる直前、極限まで薄く彫り込まれている木彫。その木目もじっくり眺めてみてほしい
「0」と「1」、その境界にあるものー。この通底する概念を頭に置き、解説を読みつつそれぞれの作家のアプローチを見ていくとその表現のバラエティや構成には感心するばかりです。
続いて向かいにあるギャラリーBでの展示は「BBBdabada(ビービービー・ダバダ)」。本プロジェクトは、京都芸術センターで始動した「Body Buddy Baby」を引き継いでおり、より深く「身体と実存」の関係を問い直す野心的な試みなのだそう。
dabadaは、dada +場(ba)/ダダに場をインストールするコンセプトから、アーティスト川松康徳と山本信幸によって結成された展覧会プロジェクト。本展は「動作経済」という、労働の効率化を目的とした概念を逆手に取り、管理された身体から零れ落ちる「生の感触」を、5名のアーティストが可視化します。

ギャラリーB「BBBdabada」展示風景
岩崎宏俊の作品(下記写真)では、普遍的な身体経験としての「ダイブ」をモチーフに木炭で描かれたアニメーションとともにクロード・グラスを併置。クロード・グラスとは18世紀に風景鑑賞のために用いられた小型のブラックミラーのこと。この鏡は風景に背を向けて覗き込むというパラドキシカルな鑑賞行為を伴っています。過去の風景と現在の視線を反射しながら、“見ること”そのものを静かに問い直しています。

「8つのムーブメントとクロード・グラス」2026 岩崎宏俊

クロード・グラスに映り込むアニメーション
会場を1つ上に進めるとギャラリーC「土にかへれ」が開催されています。自身の故郷や他者にとっての故郷、それらは分けて考えられないもの。そして、「土」はそれらを地続きにします。
賀来庭辰、井上瑞貴、日原聖子それぞれの作品を介して、「土」を巡る交感によって土地に対する各々の態度や思考の差異から生まれる気づき、土地への結び目を改めて見出そうとする試みです。

地下1階、ギャラリーC「土にかへれ」展示風景

賀来庭辰《ホーミング》/作者が住む東京の家や、姪と甥、家族を写した組写真
ギャラリーA、B、C一つ一つの展示室の内容が濃く、見応えがあるものばかり。時に自己を振り返ったり、故郷に想いを馳せたりと、さまざまな思いが頭の中を巡ります。美術鑑賞に没頭し、どっぷりと思考の世界へと浸る良い機会となるはずです。

会期 <開催中〜7月1日(水)>
各展示室ではワークショップやアーティストトーク、参加型パフォーマンス、スペシャルライブなども行われています。詳しくはホームページなどをご参照ください。
会期 開催中〜7月1日(水)
会場 東京都美術館 ギャラリーA・B・C
住所 東京都台東区上野公園8-36
開館時間 9:30〜17:30金曜は20:00まで(入室は閉室の30分前まで)
休館日 なし
料金 無料
お問い合わせ 03-3823-6921(東京都美術館代表)
展覧会公式サイト https://www.tobikan.jp/exhibition/2026_groupshow.html(外部サイトへリンクします)











