TOPICS
注目記事
東京メトロ入谷駅を出て浅草方面に歩くこと約10分。信号待ちをしている交差点の向こう側に見えたのは、昭和の風情が漂う下町の風景。味のある暖簾を掲げたその店は、1952年創業の「三島屋」。常連客には親子三代にわたって通う人もいて、今川焼をはじめやきそば、たこ焼き、そばもんじゃなど、素朴なメニューが評判です。

暖簾をくぐって店内へ。持ち帰りの人は窓から注文するのが手っ取り早い

店内の装飾も年季が入っていて、一つひとつが味わい深い
「元々は父が始めた店で夏はアイスキャンディを、冬は今川焼を製造販売していました」と、2代目の平原健一さん。人気ナンバーワンは今も昔も今川焼で、昔ながらのやや小ぶりなサイズが愛らしい。周りにサクッとした歯触りの羽が付いているのも特徴的。
「創業当初と同じ味。先代が研究熱心な人だったから、引き継いだ時にはもうおいしさが完成されていて、変える必要がなかったんですよ」

「今川焼」90円(税込)。てみやげにするのか、まとめ買いしていく人も多い
理想の皮の食感を目指し、小麦粉は複数の品種をブレンドして使用。かぶりつくと表面はパリッとして、内側はふっくらして口溶けがいい。中には、北海道富良野産の小豆を時間をかけて炊いた、つやっと輝くホックホクのつぶしあんが。食べ進めるごとに小麦の風味、小豆の香りがふわりと広がります。

店内で食べる場合はカウンター越しに厨房に声をかけ、注文する

特製の「そばもんじゃ」400円(税込)。グツグツと煮立つ様子が食欲をそそる
持ち帰りもできますが、ぜひ店内で食べていきたいのが「そばもんじゃ」。なんと、洋食屋で見るような熱々の鉄板プレートで提供してくれます。
「自分が子供の頃にはこの辺りにもんじゃ屋がいくつかあって、よく食べていました」
その店も時が経つにつれ徐々になくなっていき、平原さんが2代目を継いだ後にメニューに加えたそうです。

手際よくヘラで材料を切りながら、もんじゃを焼いていく平原さん

仕上げに卵を割り入れ、蓋をして半熟の目玉焼きに
注文を受けると、平原さんは熱した鉄板プレートにまずキャベツを山盛りに。火が通り始めると、切りイカやエビ、揚げ玉、紅しょうが、そばを次々と乗せていきます。そばは、仕込みの段階であらかじめソースで味付けしたもの。コテで切りながら混ぜ合わせ、仕上げに生卵を落として蓋をします。

モクモクと立ち上る湯気がたまらない。熱々の鉄板には気をつけて

具材のそば、たっぷりのキャベツのおかげで見た目以上にボリューミー
できあがったものがテーブルへ。「最初にスプーンで混ぜてから食べてください」と食べ方を教わり、ふうふう息を吹きかけて冷ましながら一口目をいただきます。ソースの塩気と具材から滲み出た出汁が合わさり、とてもしっかりした味わい。さらに、目玉焼きの黄身を割るととろりと流れ出て、全体の味をまろやかにしてくれます。

店名は創業者の出身地である新潟県三島(さんとう)郡が由来。元々は「さんとうや」だったが、
常連客に「みしまや」と呼ばれ、そちらが定着した

たこやきは店内で食べていく人にも、持ち帰りの人にも人気
たこやきは、東京ではめずらしいキャベツ入り。これも先代と同じ材料、同じ製法で作られている伝統の一品です。たこやき器の穴から溢れるくらい生地をたくさん注ぎ入れ、中をトロットロに。キャベツの甘みが優しい、癒し系たこやきです。

「たこやき」350円(税込)。メニューがどれもリーズナブルでうれしい
皮からはみ出したタコも愛嬌たっぷり。たまらず箸で持ち上げ、あむっと頬張ります。すると口の中でほろりと崩れ、思わずハフハフ。その熱さと一緒に旨味も伝わり、2個目、3個目と手が止まりません。

まだ温かいできたてをパクリ。紅しょうが、青のりも絶妙なアクセント
昼時からおやつの時間帯にかけて、下町情緒が漂う店内にはお客さんがいっぱい。平原さんは、厨房に並べた今川焼きの焼き台、もんじゃ焼きの鉄板プレート、たこやき器の前を行き来しながら、注文に対応しています。その間に、持ち帰りのお客も。「近所の人ももちろん多いけど、遠くに引っ越してもこの近くに来るたび寄ってくれる長年のお客さんもいるんです」と、平野さんはうれしそうに笑います。
地元に愛される下町の味。その空間に流れる懐かしい空気と共にお楽しみください。
三島屋
住所 東京都台東区千束3-4-9
TEL 03-3875-3853
営業時間 12:00〜20:00
定休日 水・木曜
東京メトロ日比谷線入谷駅から徒歩11分











