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下町情緒が色濃く残るエリア、根津。散歩には事欠かないこの地に「地産地消」をテーマに江戸東京野菜を使用し、和薬膳を取り入れた創作割烹料理を提供しているお店「気生根(きふね)」はあります。
グリーンが気持ちのよいお店の入り口
「江戸東京野菜」とは、江戸時代から脈々と受け継がれてきた伝統野菜(在来種)のこと。収穫量が少なく手間もかかることから生産者は多くはありませんが、その個性的な力強い食感や味わいが魅力だと再認識され、近年注目を浴びています。
女将の山本さんも江戸東京野菜の魅力に取り憑かれた方のお一人。「自分が生まれ育った場所(東京)の食文化を守り、継承していきたい」という思いから、お店で出す野菜は可能な限り江戸東京野菜・東京野菜を使用し、そうでない場合もなるべく関東圏の野菜を使うように心がけているそうです。
「たとえば八丈島の野菜であれば、島の雰囲気や、島ではどのように食べられているかなど、ただ料理をお出しするだけではなく、その野菜にまつわるさまざまな文化やストーリーを伝えたい」と山本さん。現場に足を運び、生産者の方と直接やりとりをされているからこそできることですね。
旬を迎えた東京島しょ産(伊豆諸島や小笠原諸島)の魚「タカベ」が入荷!温暖化の影響や漁師の高齢化などの
複合的な理由で年々漁獲量が減っており、将来内地では食べられなくなるかもと言われている希少な魚。
島での一般的な食べ方同様、塩焼きでの提供
お品書きには旬の食材を扱ったメニューがずらり
お店の料理は素材の良さを引き出すことを大切に、生産者のことを思いながら丁寧に作られています。
看板メニューは日替わりの「発酵薬膳カレー」。カレーはその日によって内容が異なり、取材当日はトマトベースの「薬膳バターチキンカレー」でした。
小麦粉を使わず、8種類のスパイスを使い、出汁には鰹の本枯れ節を使用しているそうです。辛味が効いていて、とってもスパイシー。隠し味の自家製味噌と発酵バターがカレーにコクと深みを加えています。食べているそばから身体がじんわり温まり、疲れを癒してくれます。お昼はこのカレーに4種のうちから2種選べる小鉢と自家製味噌の味噌汁が付くランチセットが人気なのだそう。
「日替わり薬膳カレー」1,300円(税込)。
ランチは小鉢2種に味噌汁付きで1,500円(税込)とお得なセットに
おすすめの「夏温野菜の自家製味噌フォンデュ」は東京産の温野菜を自家製味噌にディップしていただきます。味噌は腐敗ギリギリのラインまで塩分を控え、その分麹の割合を多くして旨みを強く出したというここでしか食べられない特製の味噌です。
この日の野菜はアスパラ(八王子)、まいたけ(檜原村)、スナップエンドウ(八王子)、そら豆(八王子)、キャベツ(練馬)、れんこん(茨城)という旬をぎゅっと詰め込んだラインナップです。野菜がいい塩梅に蒸されており、本来の甘さが引き出されています。甘みのある野菜につぶ感の残る味噌をつけることで、シンプルながら食べ応えある一品に。これはお酒に合いそうです。
「夏温野菜の自家製味噌フォンデュ」1,000円(税込)は野菜たっぷり
プリプリのまいたけを自家製味噌とともに
もちろんお酒も置いています。日本酒をはじめ、東京島しょの焼酎やワインなど多数が揃います。なかでもおすすめは山本さんが1年ほど前からハマっているという茨城県の日本酒。茨城県は関東有数の米どころで5つの豊かな水系のもと、40ほどの酒蔵があり、それぞれが個性ある酒造りをしているといいます。山本さんは「ハマりだしたらとことんハマる性格」とのことで、現在は茨城県の日本酒の虜になっているそうです。気になる方は尋ねてみてください。
暑い季節におすすめの冷酒を3種セレクト
お土産には「ぶんぶんふぃなんしぇ」を。文京区のビルの屋上を活用し、今では絶滅の危機に瀕している日本みつばちを養蜂して季節の百花蜜を採集。その蜂蜜を使って作られたフィナンシェです。菓子製造許可も取得している山本さんは東京地産地消をモットーにスイーツの製造販売も行っています。取材に伺った当時はレモン(八丈島)を使用したフィナンシェが。フルーツが途切れる間はプレーンの蜂蜜味に。そして7月頃からはパッションフルーツ(東京島しょ)を使用したものになるそう。8個からの受注生産なので、欲しい方は前もってご注文を。注文はインスタグラムのDMまたはお電話で受け付ているそうです。
それにしても、文京区の花の蜂蜜だなんて、ロマンあふれますね。
「ぶんぶんふぃなんしぇ」350円/個。防腐剤などは一切不使用で賞味期限は1週間
「お店の壁がいい」と日本画家である叔母の言葉をきっかけに、
アーティストの作品を発表する場として無料で提供している
「元気(気)が生まれる(生)場所(根っこ)となるように」との思いを込めて名付けられた「気生根」と言う名前の通り、山本さんの料理をいただいた後は何か良い「気」をいただき、じわじわと体の中から力が湧いてくるように感じました。毎日通えば体の不調などなくなるのでは? 実際、体調の変わり目にくるお客さんもいらっしゃるそう。メニュー以外のものでも山本さんに相談してみたら、症状に合った料理をお出しいただけるかも…。
「食養生」や「薬膳」に興味がある方、丁寧な料理が食べたい方、野菜にまつわるあれこれを聞きたい方、忙しい日々に疲れたあなた…。おいしい東京産の食材と山本さんに会いに、ぜひ足を運んでみてください。
落ち着いた雰囲気の店内でくつろぎのひとときを
気生根
住所 東京都文京区根津2-22-10カノン根津1階A号室
TEL 03-5834-7512
営業時間 水曜12:00〜15:00(L.O.14:30)、18:00〜23:00(L.O.22:30)
土曜12:00〜23:00(L.O.22:30)
日曜・祝日12:00〜21:00(L.O.20:00)
月・火・金曜18:00〜23:00(L.O.22:30)
定休日 木曜
https://www.instagram.com/kanda.kifune/?hl=ja(外部サイトへ移動します)