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2025.02.04【東京国立博物館 平成館】開創1150年記念 特別展「旧嵯峨御所 大覚寺―百花繚乱 御所ゆかりの絵画―」内覧会レポート

京都の大覚寺は、全国に点在する真言宗大覚寺派の大本山。2026年には開創1150年を迎える、歴史あるお寺です。そして東京国立博物館では、2025年3月16日まで、特別展「旧嵯峨御所 大覚寺―百花繚乱 御所ゆかりの絵画―」を開催中。代々伝わってきた寺宝の魅力に、思わず目を見張ります。

 

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上野公園にある東京国立博物館の平成館で開催中


大覚寺は元々、嵯峨天皇(786~842)の離宮として造られました。遡ること約1200年前、平安時代のことです。やがて都で疫病が流行すると、嵯峨天皇は親交のあった空海に相談したそうです。そして、災いを取り除くため般若心経を書写し、五大明王を信仰するようになりました。

 

旧嵯峨御所が大覚寺となったのは、嵯峨天皇が亡くなってから約30年後の876年。今では、日本最古とされる庭池や御所風の伽藍が美しく、一年中たくさんの参詣者が訪れています。

 

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「五大明王像」。左から、室町時代の「大威徳明王」「軍荼利明王」「不動明王」、

江戸時代に作られた「降三世明王」「金剛夜叉明王」


東京国立博物館の展示会場に入ると、入口付近で迎えてくれるのが大きな「五大明王像」。そのうち「不動明王」「軍荼利明王」「大威徳明王」の3体は、室町時代の仏師・院信によるものです。メラメラと赤く燃え盛るような火炎光背が迫力大。国の重要文化財にも指定されています。

 

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明円作「五大明王像」。明王は、仏の教えを守らない人々を怒りをもって導く仏様



続いて登場するのは、本展の見どころの一つ。平安時代の仏師・明円が手掛けた「五大明王像」です。最大の特徴は、丸みを帯びた柔らかな体つきと、その表情。力強さと、内側から滲み出るような優美さを兼ね備えています。

 

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明円作「五大明王像」から「不動明王」。手には剣を、左手には羂索(けんさく)というロープを持つ

 

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明円作「五大明王像」から「金剛夜叉王」。金剛夜叉王は北方を守護し、悪を防ぎ抑える力がある


明円は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて、京都や奈良を中心に活躍した仏師。仏師の流派の一つ、円派の直系で、作風には平安様式の影響が見られます。明円の「五大明王像」は、平安時代後期の仏像のうち最高傑作との呼び声が高い。やはり、国の重要文化財にも指定されています。

 

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保護ケース越しに「金剛夜叉王像」を近くから鑑賞


お寺に安置されている時には、離れたところから、しかも正面から見ることしかできません。しかし今回は特別なので、ケース越しに近づくことができます。さらに、左右からもじっくり見ることができ、「金剛夜叉明王は目が5つもあるんだ!左右にも顔がある」という発見もできてしまう。細かい文様や質感など、確認してみてください。

 

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障壁画は、貴重な123点を公開(前期100面、後期102面を予定)


もう一つの見どころは、華やかな障壁画の数々。大覚寺に伝わる約240面に及ぶ襖絵・障子絵など障壁画のうち、前後期合わせて123面を公開します。手掛けている絵師は、狩野派をはじめ一流揃い。離れて全体を見渡すのも、近づいて細部まで鑑賞するのも楽しいです。

 

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狩野山楽による襖絵「山水図」。大覚寺正寝殿「御冠の間」の襖になっている

 

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大覚寺正寝殿「御冠の間」。通常は非公開だが、本展では特別な許可を得て原寸で再現

 

安土桃山時代を代表する建築物とされているのが、大覚寺の正寝殿。その中でも最も格式の高い一室「御冠の間」の襖として、絵師・狩野山楽が描いた襖絵「山水図」が使われています。

 

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狩野山楽「牡丹図」。総長約22mと大きく、全体を見渡すと圧巻の華やかさ

 

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近づくと、花びらや葉ひとつひとつの細かい描写に見入ってしまう

 

また、宸殿の中心となる部屋「牡丹の間」のために描かれた「牡丹図」は、狩野山楽の代表作とも言われています。総長約22m、全18面で構成されたスケールの大きな作品で、その18面すべてをお寺の外に出して一挙公開するのは、今回が初めてだそうです。

 

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正寝殿の「東挟の間」には渡辺始興の「野兎図」。江戸時代に作成されたもの


鑑賞後はミュージアムショップへ。仏像や障壁画をモチーフにしたオリジナルグッズがずらりと並んでいます。バラエティ豊かで、ついつい目移り。来館記念の一品をぜひ手に入れてください。

 

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「オリジナル刺繍ブローチ」1,500円は、「野兎図」(右)と「牡丹図」(左)の2種類。

「不動明王 刺繍シール守」1,000円(ずべて税込)

 

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もちもちした手触りが気持ちいい「不動明王ぬいぐるみ」4,290円(税込)


開創1150年記念 特別展「旧嵯峨御所 大覚寺―百花繚乱 御所ゆかりの絵画―」
会期 2025年1月21日(火)~2025年3月16日(日)
会場 東京国立博物館 平成館(上野公園)
住所 東京都台東区上野公園13-9
開館時間 9:30~17:00
※入館は閉館30分前まで
休館日 月曜(但し2/10(月)、2/24は開館)、2月25日(火)
当日券料金(税込) 一般 2,100円、大学生1,300円、高校生900円
※前売券の販売は終了しています
※中学生以下、障がい者とその介護者1名は無料。入場の際に障害者手帳等をご提示ください
お問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会公式サイト https://tsumugu.yomiuri.co.jp/daikakuji2025/(外部サイトへ移動します)

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