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2026.05.07【東京国立博物館】前田育徳会創立百周年記念 特別展「百万石!加賀前田家」内覧会レポート

江戸時代には百万石超の石高を誇り、徳川家すら一目置く存在だった加賀前田家。1583年に本拠地を金沢に置き、それ以降、独自の文化を形成しました。

現在、東京国立博物館で開催中の前田育徳会創立百周年記念 特別展「百万石!加賀前田家」では、国宝や重要文化財を含む約240点がずらり。加賀前田家伝来の多彩なコレクションを通して、「百万石」の偉大さを感じることができます。

 

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本展は、前田家伝来の文化遺産を保存管理する公益法人「前田育徳会」の創立百周年を記念した特別展

 

江戸時代を通じて、十四代まで続いた加賀前田家。その始まりは、安土桃山時代に織田信長に仕え、豊臣政権下で最高幹部の五大老を務めた初代・利家です。

続いて、その礎を築いたとされるのが、関ヶ原の戦いで徳川方として功績を挙げ、初代加賀藩主となった二代・利長や、広大な領地を安定させた三代・利常。領地は加賀、能登、越中3カ国のほぼ一円に及び、外様でありながら、徳川家に警戒されるほどの一大勢力となりました。

 

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重要文化財「金小札白糸素懸威胴丸具足 前田利家所用」安土桃山時代・16世紀 東京・前田育徳会蔵

 

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ずらりと並んだ歴代当主の甲冑。徳川家に次ぐ勢力だった加賀前田家の歴史を見渡せる

 

展覧会は、第一章「加賀前田家歴代」からスタート。会場の入口で待ち受けるのは、金箔押しの「金小札白糸素懸威胴丸具足 前田利家所用」です。遠目からでもわかる華やかさは、戦場で味方を鼓舞し、敵を威圧しようという利家の覚悟や、一軍を率いるリーダーとしての美学の表れだとか。奥へ進むと、歴代当主の甲冑が一堂に会し、辺り一面ただならぬ気迫が漂います。

 

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貴重な書画にはそれを収納するための箱が付属。鏡を使い、箱裏や底部の蒔絵を見られるようにしている。国宝「土佐日記」藤原定家筆 鎌倉時代・文暦2年(1235)/(付属)「屏風蒔絵箱」 江戸時代・ 17世紀 東京・前田育徳会蔵

 

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天神信仰にまつわる作品を数多く収蔵。三代・利常の頃から、歴代当主は菅原道真を祖先として崇めるようになった。

重要文化財「荏柄天神縁起 巻上(部分)」鎌倉時代・元応元年(1319) 東京・前田育徳会蔵

 

第二章は「百万石の文化大名」。徳川家康が天下統一を果たし太平の世が訪れると、加賀前田家は武力ではなく、文化大名として名声を高めていきました。もちろん、それを可能にしたのは、「百万石」ならではの豊富な財力。

三代・利常の時代には、主に武具などのメンテナンスを行う御細工所が創設され、そこで培われた高い技術が、のちに加賀蒔絵のような優れた工芸品を生み出しました。

 

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初代・利家が豊臣秀吉より拝領した太刀など、名品が揃う

 

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重要文化財「大名物 唐物茄子茶入 銘 富士」中国 南宋時代・13世紀/

(茶杓)千利休作 安土桃山時代・16世紀 東京・前田育徳会蔵

 

一方、当時の武家にとって、優れた刀剣や茶道具を所有することは、文化的な階層の高さとイコールだったよう。第三章「加賀前田家の武と茶の湯」では、徳川御三家に匹敵する加賀前田家の名刀コレクションや、茶道具の格付けにおいて最上位に位置づけられる大名物を拝むことができます。

展示室でスポットライトを浴び、内に秘めた力がこぼれ出たかのようにきらめく名刀たち。足利将軍家から織田信長を経て豊臣秀吉へ伝わり、1597年に前田利家へと下賜された重要文化財「大名物 唐物茄子茶入 銘 富士」も必見です。

 

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「前田綱紀画像」下村観山筆 明治時代・20世紀 東京・前田育徳会蔵

 

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国宝「水左記」源俊房筆 平安時代・承暦元年(1077) 永保元年(1082) 東京・前田育徳会蔵

 

第四章「天下の書府」で焦点を当てられているのは、学者肌で知られる五代・綱紀の偉業。綱紀は、家臣たちに古今東西の古文書や古典籍を集めさせ、自ら資料の研究も行いました。

展示を辿っていると随所に綱紀のこだわりが見え、「加賀は天下の書府」と称されていたことにも納得。ちなみに、綱紀は藩士たちにも熱心に学問を奨励したそうです。

 

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重要文化財「百工比照」江戸時代・17〜18世紀 東京・前田育徳会蔵

 

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「百工比照」の第五号箱〜第十号箱には、3代・利常が普請した建築に使われていた細工の一部を保存。

写真は尾長鳥をモチーフにした「寿帯鳥釘隠」

 

本展のクライマックスの一つ、「百工比照」。紙や織物、竹の素材といった実物資料、さらに釘隠し、蒔絵といった工芸技術の見本、図案など、さまざまなものが体系立てて整理、分類されています。総点数は2000点以上に上り、現状で全10箱に収められているそう。展示されているのはそのうちのほんの一部ですが、綱紀の並々ならぬ熱意になんだか圧倒されてしまいます。

 

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「シロクマ」フランソワ・ボンボン作 フランス 1930年 東京・前田育徳会蔵

 

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第五章の展示室の壁紙は、旧前田家本邸の大客室で使われていたものを再現。

なお、ここは撮影可能エリアになっている

 

ラストは第五章「侯爵前田家のコレクション」。加賀前田家は、明治維新を機に本拠地を東京に移し、侯爵家へと転身しました。十六代・利為は、尊敬する五代・綱紀に倣って美術工芸品の蒐集や伝来品の整理に注力。本章では、利為が蒐集した日本画や西洋画、彫刻をはじめ、ヨーロッパ滞在時に購入したものなどを紹介します。

 

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図録やポストカード、文具、雑貨など、バリエーション豊富なオリジナルグッズが揃う

 

内容の充実ぶりに、終始圧倒されるひととき。気づけば、会場に入ってからずいぶん時が経っています。特設ショップでは、展覧会のオリジナルグッズも。訪れる際にはぜひともたっぷり時間を取って、加賀百万石の歴史に心ゆくまで浸りましょう。

 

前田育徳会 創立百周年記念 特別展「百万石!加賀前田家」

会期 開催中~2026年6月7日(日)

会場 東京国立博物館 平成館

住所 東京都台東区上野公園13-9

開館時間 9:30~17:00(金・土曜および5月3日(日)〜5日(火)は20:00まで) ※入館は閉館の30分前まで

休館日 月曜 ※4月27日(月)、5月4日(月・祝)は開館

観覧料(税込) 一般 2,300円、大学生 1,300円、高校生 900円、中学生以下と障害者手帳をお持ちの方とその付添者1名は無料

お問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)

展覧会公式サイト https://tsumugu.yomiuri.co.jp/kagamaedake2026/(外部サイトへ移動します)

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