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こんにちは、岩倉高等学校放送部の石山です。
平成12(2000)年5月に部分開館し、平成14(2002)年5月に全面開館した国立国会図書館国際子ども図書館を訪問しました。国際子ども図書館は、国立国会図書館の一翼を担う児童専門図書館として日本国内の児童書を収集し保存している大変重要な施設です。今回は、一昨年新館「アーチ棟」も完成し、様々なサービスとともに充実した子どもの読書活動推進に力を注いでいる職員の皆さんにお話を聞きました。
<質問・石山>一般的な図書館とこちらの図書館の大きな違いはどのようなところにありますか?
<館長・本吉さん>国の図書館であるということ。そこには、法定納本制度に基づいて収集した日本の出版物を保存する重要な役割があります。特に私たち子ども図書館の場合は、18歳以下が利用するという想定の本を集めています。
<質問・藤岡>図書の貸し出しはしないと聞きましたが、理由は何でしょうか。
<館長・本吉さん>国立図書館は本や雑誌を将来にわたって皆さんが読めるように、保存して伝えていく役割があります。基本的には文化財として保存しているので、貸し出しをするといろんなリスクが出て来てしまうので、いつもお断りをしています。
<質問・久保>国際という言葉にどのような意味がありますか。
<館長・本吉さん>私たち国際子ども図書館には世界160の国と地域に関する本があります。これらの図書をみなさんにお届けすることが大きな役割です。世界のことも知ってほしいですし、世界の子どもたちがどんな本を読んでいるかも知ってほしいと思います。
振り返ると子ども図書館が出来た2000年は子どもの世界での国際交流や異文化理解が課題とされ、子ども達が外国の絵本などを読んで、お互いのことを理解する。また、日本のことも改めて知ることができるという意味が込められていると思います。
<質問・山家>こちらで働かれている職員の皆さんの一番大きな役割は何ですか。
<館長・本吉さん>一番は、本を見たい人に対して十分なサービスをすること。一方で、直接来館できない利用者の方もいるので、そういう方にはホームページで情報を発信しています。さらに、児童書のサービスに携わっている人に対して、情報提供、研修、講演会などを通じて応援し、日本の図書館を盛り上げるという役割もあると思います。
<質問・石山>どのようなことにお仕事のやりがいを感じられているのでしょうか。<小熊さん>小さい子どもさんに本をお勧めしたりすると、その本に夢中になってくれて本に親しむきっかけを与えられたなって思う時はやりがいを感じますね。また、本を楽しんで読んでいる利用者がいることが分かると同じようにやりがいを感じます。
<質問・藤岡>失礼な言い方かもしれませんが、この立派な建物を見ると、子どもだけでこの図書館に行こうと思わなそうなのですが、どういった方を対象にしているのでしょうか。
<館長・本吉さん>保存している本は18歳以下の人が利用する児童書と呼ばれるものですが、利用者は児童書に興味がある大人の方も多いです。ですので、児童書が好きな大人と子どものための図書館です。建物に関心があって入館される方もいます。確かに外観はいかめしいですが、勇気を出して入っていただければ、楽しい児童書と優しい職員がみなさんをお迎えします。
<質問・石山>この図書館にある本で高校生にお勧めの本は何ですか。
<館長・本吉さん>皆さん好きなものを読んでもらえれば良いのですが、今は高校生向けに本を紹介するブックガイドがいろいろと出ているので、そういったもので自分にあった本を探してみるのもよいと思います。
<質問・山家>イベントをたくさんやられていると聞きましたが、どんなことをしていますか。
<広報係長・福井さん>図書、国際、子どもをテーマにしてたくさんやっています。児童書に関するものだと、国際アンデルセン賞を受賞した絵本作家の方に講演会をしていただいたりしました。
<質問・久保>館長として上野のどこを好きになってほしいという願いはありますか。
<館長・本吉さん>博物館から始まり、図書館、動物園まであるような所は世界的に見ても少ないと思うので、本当に上野は良いなと思います。そのような多様な個性が集まった場所なので好きになってほしいと思います。
まとめ
上野の街を散歩していた時に、ふと目にした歴史を感じさせる立派な建物。それが図書館であるということにすぐには気が付きませんでした。中に入ると、趣のある空間と現代的な空間が2箇所あります。この環境の中でとても集中して本を読むことができます。
今回休館日であるにもかかわらず、丁寧に案内をしていただき、この国立国会図書館国際子ども図書館の役割がよく理解できました。案内をしていただいた中で、所蔵されている本に幼い頃読んだ物がいくつもあり、とても嬉しくなりました。日本の児童書を収集保存するという重要な役割とともに、「子どもの本は世界をつなぎ、未来を拓く」という理念に基づき、多くの活動をしている図書館であることがわかりました。ぜひ多くの方に訪れてもらいたい特徴のある場所でした。
【木村】
子ども図書館という名前を聞いた時は、「絵本がたくさん置いてあるところだろう」と単純に思いました。しかし、それだけではない幅広い児童書、さらには研究用の資料もあり驚きました。さらに高校生の私としては、絵本を見ることによって幼い時の懐かしい気持ちになることができました。子ども図書館としての歴史は浅いですが、建物はとても歴史があるものであることが分かりました。
【山家】
変え続けるだけでなく、二度と作れない建物を元々の歴史を残し、愛するという考え方が表れている素晴らしい図書館でした。明治の頃にタイムスリップできる貴重な空間もあり、児童書の歴史にしっかり触れることが出来ます。中高生のためのスペースもあって、自分に合った本を探しに再び訪れたいと思いました。印象に残った言葉は「おすすめは自分にあった本」です。
【久保】
この図書館が、将来に伝え続けなくてはならない数多くの本をとても大切に保存していることが分かりました。子ども図書館という名前から、小学生以下を対象とした図書館というイメージがありましたが、大人や中高生が十分楽しむことができる本があるだけではなく、多くの海外の本もあり楽しむことができました。
【藤岡】
法定納本制度に基づく図書館であるという役割とともに、歴史的文化財としての存在感をとても強く持ちました。国際子ども図書館は、児童図書に直接触れるという以外にも、図書を通じて国際的な交流ができる場なのだと学べました。上野を支え盛り上げてくれる、大切な施設の一つであることがよく分かりました。