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2019.03.18岩倉高校放送部-明治期の歴史や文化が香る旧岩崎邸庭園

 

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旧岩崎邸庭園の洋館

 

こんにちは、岩倉高等学校放送部の田島です。部員5名で旧岩崎邸庭園に行ってきました。
ここは1896年(明治29年)に岩崎彌太郎の長男で三菱 第3代社長の久彌の本邸として建てられ、洋館・撞球室・和館の3棟が現存する施設です。こちらの魅力を旧岩崎邸庭園サービスセンターの安田さんに聞きました。

 

【質問/田島】
こちらはどのような場所ですか。

 

【旧岩崎邸庭園/安田さん】
三菱の創業者である岩崎彌太郎の長男久彌が建てた建物で、当時和館は住居として使われ、洋館はお客様専用の迎賓館でした。

 

【質問/股部】

とても価値のある場所だと思いますが。

 

【旧岩崎邸庭園/安田さん】
文化財指定名称「旧岩崎家住宅」として重要文化財に指定されています。1896年(明治29年)に建てられ、すでに120年以上の時が経過して現存するこの邸宅は、明治期の歴史や文化を理解するうえで、大変貴重です。日々変貌を続ける上野の街にあって、大切にしたい建築です。

 

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今回ご案内いただいた旧岩崎邸庭園サービスセンターの安田さん

 

【質問/石川】
どのような建物で構成されていますか。

 

【旧岩崎邸庭園/安田さん】
敷地内は洋館、和館、撞球室の3棟があります。イギリスの建築家ジョサイア・コンドルが設計をし、宮大工が施工に携わりました。建物内には、三菱の菱をあしらったといわれるデザインが随所に入れられています。また、関東大震災のときは避難所としても使用されました。

 

【質問/山家】
施設を維持していくための意義はどのようなものでしょうか。

 

【旧岩崎邸庭園/安田さん】
文化的価値の高いこの文化財を後世に残していく義務があると思います。当時の宮大工の技術水準は高く、天井・部屋の模様などは、高い技術力をもとに作られたものばかりですので、その貴重な建物などを存続していく必要があると考えます。

 

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床・壁・天井などに高い技術力をしめすこだわりの装飾が施されています

 

【質問/結城】
見所を教えてください。

 

【旧岩崎邸庭園/安田さん】
明治期の大富豪の邸宅は、「洋館─社交の場」「和館─生活の場」の和洋併置式で、ここはその代表例であり、現存する数少ない建物でもあります。塔屋を構える洋館正面部分の装飾の豊かさは見ごたえがあります。
豪華な装飾は、建物内外の随所で見ることができます。1階のベランダには、英国ミントン製のタイルが目地なく敷き詰められ、2階には貴重な金唐革紙の壁紙が貼られた客室もあります。
和館は、書院造りを基調としています。床の間や襖には、橋本雅邦が下絵を描いたと伝えられる日本画など障壁画が残っています。
撞球室は、校倉造り風の壁、刻みの入った柱、軒を深く差し出した大屋根など、洋館とは違う面白みがあり、洋館と地下通路でつながっています。庭は、建築様式同様に和洋併置式とされ、「芝庭」をもつ近代庭園の初期の形を残しています。

 

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和館を芝庭からみた様子

 

【質問/田島】
建物を活かしたイベントを多く開催されていますが、狙いはどこにありますか。

【旧岩崎邸庭園/安田さん】
建物自体に、豪華な装飾や貴重な材料など見所はたくさんありますが、イベントを行うことで、当時の人々の息吹を感じていただくことができ、魅力を広く・深く伝えることができると考えています。ガイドツアーは、ガイドボランティアにより毎日実施していますので、ぜひ参加してみてください。

 

【質問/股部】
どのような方が来られますか。

 

【旧岩崎邸庭園/安田さん】
日本全国から大勢のお客様がいらっしゃいます。
以前この場所は最高裁判所の書記官養成所としても使用されていたので、学ばれた方も当時をなつかしみ来園されます。
また、NHK大河ドラマ「龍馬伝」放送の後に一大ブームがありました。

 

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洋館を撞球室側から見た様子

 

【質問/石川】
過去にこの施設を使ったイベントなどはどういうものがありましたか。

 

【旧岩崎邸庭園/安田さん】
これまで、生け花展示や演奏会、お正月には昔遊びを体験していただくイベントなどを開催しました。
毎年、金唐革紙のワークショップを、夏には子供向けに、秋には大人向けに開催しています。いずれも大変ご好評いただき人気のイベントです。

 

【質問/山家】
今後どのような計画がありますか。

 

【旧岩崎邸庭園/安田さん】
2021年は旧岩崎邸の建築から125年、開園から20年の節目の年となりますので、魅力を伝えるイベントを行いたいと考えています。その前年は、東京オリンピック・パラリンピックがありますから、訪日外国人観光に向けたイベントもやりたいと思っています。それから、文化財建造物を将来に確実に残し、伝承していくために、保存・修理は今後も行っていきます。

 

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洋館と地下で繋がる撞球室の様子

 

【まとめ】
重要文化財に指定されている旧岩崎邸庭園。明治期の最先端の技術を使用し造られた建築物は大変貴重です。若い世代にはあまり知られていない施設ですが、年間を通じて多くのイベントが開催されており、広く開かれた施設になっています。建築物だけではなく、大名庭園を一部踏襲する広大な庭は、建築様式と同様に和洋併置式とされ、「芝庭」をもつ近代庭園の初期の形を残しています。当時の雰囲気を幅広く感じることのできる魅力ある場所になっています。

 

【感想/田島】
有名なアメ横など下町のイメージが強い上野に、こんな歴史的に価値があり魅力のある場所があることを知り驚きました。名前だけを聞くと、和式の家屋だけをイメージしがちですが、和洋複合されたとても興味深い世界がありました。さらに、華やかな雰囲気だけではなく、書庫や配給室など生活感のある施設を見ることができます。機会があれば、洋館で行われるコンサートに行って当時の感覚を味わいたいと思います。

 

【感想/股部】
時代背景をイメージしながら家具などの調度品に目をやると、色々なことに気づくとても興味深い場所です。天井や壁など数多くの場所に細やかな装飾が施されていましたが、その多くは初めて日本人が手がけるものも多いと聞き感動しました。深く知る機会がないと通り過ぎてしまう貴重な経験ができて、とても良かったです。

 

【感想/石川】
かつてドラマで見たことのある施設を訪れるということで、今回とても楽しみにしていました。実際に現物を見ると、現在の条件だと再現できない多くのものがあり、発見のある取材になりました。また、より多くの人にこの施設を知ってもらうための取組みも知りましたので参加したいと思います。

 

【感想/山家】
歴史を感じる以上に、立派な建物が明治時代に建てられたということに大きな驚きを感じました。建物を設計した外国人もすごいと思いましたが、その外国人に応え初めて見る経験のないものをつくった日本人の大工さんの高い技術にも感心しました。ここでコンサートを聞くとタイムスリップしたような気になると伺ったので、今度コンサートがあるときは行ってみたいです。

 

【感想/結城】
当時のまま残っている天井、空中階段や板絵など色々な場所に昔の暮らしを感じさせる展示物が多くありました。今まであまり見たことのない風景にとても魅力を感じました。洋館、和館のそれぞれのたたずまいも、洋館では金唐革紙が部屋の壁に使われ、和館では書院造りを基調とするなど分かりやすかったです。当時の人々の生活について、よく学ぶことができました。

 

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取材を終えて全員で集合写真

 

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