2015.11.30岩倉高校放送部-恩賜上野動物園を訪問-

こんにちは。岩倉高校放送部の瀧本です。
今回は、恩賜上野動物園教育普及係の井内岳志様にお話を伺うことができました。
高校生の私たちから見た「上野動物園」をレポートします。

 

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【写真 今回お話を伺った教育普及係の井内学芸員と一緒に記念撮影】

 

<質問 瀧本>
1年の中で一番来園者が多い日はいつですか。
<井内学芸員>
天気によって来園される方の数は大きく変わるのですが、他の施設と同じで、まずは休日、特に連休の時は来園者が多く、ゴールデンウィーク中の「みどりの日(5月4日)」は入園料が無料になるので、園内がたいへん混雑します。3月~5月、9月~11月は遠足の子供たちが多く、逆に真夏や真冬は少なくなります。

 

<質問 寺内>
動物たちの一日のスケジュールを教えてください。<井内学芸員>
多くの動物は開園前に運動場に出て、夕方は寝室に戻り食事となります。夜行性の動物は、できるだけ元気な姿を見てもらうために電気の明かりで昼夜逆転させる工夫をしています。

 

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【写真 今回お話を伺った井内学芸員】

 

<質問 寺内>
それでも動物を見るのに良い時間帯は、動物によってそれぞれ違いがあるようですね。
<井内学芸員>
そうなんです。すべての動物が活動的という時間帯はありませんが、朝9時30分の開園直後なら、多くの動物が活発に動きます。

 

<質問 池田>
興味深い動物の動きを教えてください。

 

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【写真 取材する岩倉高等学校放送部メンバー】

 

<井内学芸員>
パンダは、昼はおなかがいっぱいで寝ていることが多いですが、朝は運動場に出て、縄張りの確認のためかなり歩き回ります。また、肉食動物は寝室で食事をとるので、夕方は活動的になりますね。

 

<質問 瀧本>
子どもに人気の動物と大人に人気の動物に違いはありますか。
<井内学芸員>
子どもは、かわいくて触ることのできる動物が好きです。例えば、モルモットやウサギです。大人は、面白い動物や変わった動物、例えばハダカデバネズミやハシビロコウはユニークで人気があります。

 

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【写真 井内学芸員のお話は驚きの連続でした】

 

<質問 寺内>
動物のエサ代はどのくらいかかりますか。
<井内学芸員>
一般的に店で販売されていないものを手に入れるのは大変で、お金もかかります。パンダの場合は竹を食べるのですが、伊豆半島から農薬が使われていないも週に何度も運んでもらいます。毎日20?L~30?Lあげても、実際には美味しいところの10?Lだけしか食べず、1日2万円程度かかります。

 

<質問 瀧本>
食べ残しが出てしまうのですね。

 

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【写真 今回は動物園が好きな部員中心にメンバーを選定】

 

<井内学芸員>
残った竹はゾウやサルが食べています。

 

<質問 池田>
エサの調達も苦労されているのですね。
<井内学芸員>
秋には、全国の方々からどんぐりなどの木の実を送っていただき、それを喜んで食べている動物がいます。また、与え方にも工夫をしていて、ライオンなどは野生の心を忘れさせないようにするため、週に一度エサなしの日をつくっています。

 

<質問 寺内>
エサをあげるタイミングも難しいですね。

 

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【写真 恩賜上野動物園での取材の様子】

 

<井内学芸員>

は虫類・両生類の中には、エサは週一回で大丈夫という動物もいて、様々なスタイルで対応しています。人間が食べているものを集めるのはさほど難しいことではないのですが、ゾウは1日100?L単位でエサが必要なのでとても費用がかかります。

 

<質問 瀧本>
高校生に見てほしいおすすめのポイントはありますか。
<井内学芸員>
現在の動物園の役割を知ってもらえるとうれしいです。珍しい動物の生態を見てもらうことは大切ですが、野生で減っている動物を保護している施設が動物園なのだという認識でみてもらいたいです。
都会で便利な暮らしをしている私たちが、動物を含めた自然にどのようなことができるのかということを高校生の皆さんに考えもらえるといいですね。

 

<質問 寺内>
そのような視点で動物園をみたことは、今までありませんでした。

 

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【写真 動物園の見方が変わる発見のある取材でした】

 

<井内様学芸員>
都会に住んでいる私たちは、もう傍観者ではいけないと思います。時に加害者になっている私たちが、絶滅危惧種を救うためにこの動物園で研究し、道筋をつくっていく必要があります。
世界中の動物園と連携できる環境が整えられていますので、国境を越えた取組みとして種の保護に努めて行きたいと思います。

 

《まとめ》
今や動物園は、見るための場所ではなく、動物を守り育てていく場所であるというお話はとても印象的でした。また、動物たちが活発に動いている姿を見たいという方へのアドバイスなど興味深いものがありました。
上野動物園は、絶滅危惧種といわれる希少動物も含め400種ほどの動物を飼育している、日本一の来園者を記録する大規模な施設です。そのために、日々世界中の動物園と連携して、動物たちが暮らしやすい環境づくりに努力されています。生きた動物のいる博物館とも言える、動物園。私たちの学校のすぐそばにある貴重な施設に、そのような視点を持って、また訪れてみたいと思います。

 

《感想》
●瀧本
学校の近くに、こんなにも貴重な施設があるのだということに改めて気づきました。動物園の大切さを、特に動物園から少し足が遠のいてしまっている世代に伝えていけるといいなと感じました。

 

●寺内
国内外の色々な動物園と協力し合っていることに驚きました。高校生になった今、今回聞いたことを念頭にもう一度訪れてみたいと思いました。きっと小さな頃には発見できなかったことが見つけられるような気がします。

 

●池田
幼い頃に感じた動物園とは全く異なった側面を強く感じました。最前線にいらっしゃる方の話はとても説得力はありますし、具体的で分かりやすかったです。取材を通じて知った情報を、より多くの私たち高校生世代に伝えていきたいと思いました。

 

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【写真 恩賜上野動物園事務所で記念撮影】

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