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[第3回:上野広小路駅と松坂屋上野店の意外なつながり]
●東京地下鉄株式会社 常務取締役 村尾 公一さん ●聞き手 佐藤 輝光(松坂屋上野店)
松坂屋上野店の最寄り駅である、上野広小路駅。実は、銀座線の当初の計画ではなかった駅といいます。上野広小路駅が造られることになった理由、そして松坂屋上野店との意外な接点などについて、東京地下鉄株式会社常務取締役の村尾公一さんに伺いました。
■上野広小路駅誕生秘話
佐藤:上野広小路駅は、改札を出るとすぐに松坂屋上野店で、ほとんど駅直結のようになっていますが、2年前に地下の改装をした際、松坂屋の建物内にメトロさんの配管が出てきて、これは何だろうと、いっていたんです。
上野広小路駅コンコース(リニューアル後)
村尾:あそこは、松坂屋入口って感じですものね(笑)。上野広小路駅は上野駅から500m程の距離なので、当初は駅を造る計画はなかったようです。ところが、松坂屋の専務だった小林八百吉さんが東京地下鉄道社長の早川徳次さんと早稲田大学の同窓生だったことから、トップ間の話合いで上野広小路駅を造るということになった。その時点ではすでに上野?万世橋駅間の延伸工事の大半が終了していたそうですが、途中から急遽、設計を変更して、出入口の建築費や装飾費用は、松坂屋さんが負担するというかたちで、1930年(昭和5年)1月に開業したと、そんな経緯があったようです。トップ二人が同窓生だったというのは、私も知らなかったのですが、そういう意味では、松坂屋さんとはとても密接なつながりがあるんだなと改めて思いました。
上野広小路駅ホーム(リニューアル後)
今も上野広小路駅は、「松坂屋前」という副駅名称になっていて、車内放送でも流れるし、駅構内には松坂屋マークの装飾などが残っていますね。似たようなケースでも「三越前駅」の場合は、駅の建造含めて三越さんのほぼ全額出資というかたちだったと思います。でも、「上野広小路駅」の場合は、ある程度工事が進んでいたこともあり、部分的に松坂屋さんとシェアするようなかたちで、2社で出し合って、あの駅ができ上がったわけです。
佐藤:そんなつながりがあったんですね。知りませんでした。
■お客様目線で考える
村尾:上野広小路駅は、雨に濡れずにダイレクトに松坂屋上野店に入れるということで、買い物に来るお客様にはとても好評だったようですね。地下鉄の出入口が駅ビル内を経由するケースはよくありますが、ビル内に入ってしまうと表示がどこにあるのかわからなくなったり、表示の色が変わったりしてわかりにくくなっているところもあります。ビルによっては内装の関係で色の制限があったり、デザインが優先されたりということがあるので、地下鉄の表示形式と統一できない場合もある。当社からすれば、地下鉄に乗ってビルに訪れる方もお客様ですし、地下鉄を乗るためにビルを通過する方もお客様。それぞれのお客様にわかりやすい統一的な表示にすべきなのですが、なかなか難しい。そういう場所というのは、自分で行ってみるとわかるんですが、必ず迷うんですね(笑)。