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台東区を中心とした下町地域の文化や伝統を後世に伝えるため、昭和55(1980)年に建てられた「下町風俗資料館(旧)」は幅広い世代に愛されてきました。
施設の老朽化により令和5(2023)年からおよそ2年間の改修工事を経て、名前も改めこの度リニューアルオープンを果たした「したまちミュージアム」。その内覧会の様子をレポートします!
上野公園内、不忍池のほとりに位置するしたまちミュージアム
1階の展示室へ進むと、そこには別世界が広がります。
関東大震災や東京大空襲などの被害を免れ、古い街並みや建物が多く残っていたという台東区坂本(現・根岸3丁目)を舞台に、昭和30年代の下町の風情や暮らしが見事に再現されています。以前とは展示する設定時代を変え、さらに今回は「原寸大」での展示にこだわったのだそう。
江戸時代末期からこの地で店を開いていた提灯屋の建物を再現。現在も営業中(!)だが、
この姿ではなくなっているとのこと。実際に建物内部へ上がることができる
提灯をつくる作業場。提灯の組み立てや、文字入れなどの作業が行われた。
多くの道具がまさに今使われていたかのように自然な形で配置されています。職人さんの息遣いが聞こえるよう
屋内に上がり、展示された生活道具を実際に手に取ってみることもできます。お座敷に座って休憩をしたり、共同水道でおしゃべりをしたり…。当時の暮らしぶりが容易に想像できるリアルな展示で、昭和時代へタイムスリップした気分になります。
棚の引き出しを開けてみると、小物を発見! た、楽しい…!
都電や車が走り、人の往来も盛んだった金杉通り。昭和30年代の下町ではまだ大八車を引く姿も見られた。
車や電車の色、音など細部にもこだわったという臨場感あふれる映像に注目
そして2階に上がるとまず目に飛び込んでくるこちらの導入展示。
もの珍しい道具や懐かしい道具などがずらりと並ぶ光景は圧巻です。
「衣」「食」「住」そして「商」「職」の分類で並べられた、生活を意識した道具類。
貴重なものもあり、見ているだけでおもしろい。スクリーンでは台東区の歴史をたどる映像を上映
かもめマジック洗濯機。昭和30年代。中にお湯と石鹸、洗濯物を入れて密閉し、横にして転がして洗うというもの。
短時間かつ少ない水、石けんで洗濯が可能だったため、実は機能的なのだとか!
常設展示室では台東区を中心とした下町地域の文化や出来事などを展示。下町の姿が大きく変わっていった契機となる「関東大震災」、「東京大空襲」、「高度経済成長」を含む6つの章立てで、時代を追ってその変遷を伝えています。
展示室中央のケースでは、季節や年中行事に関する展示、テーマに沿った収蔵資料の展示を行う。
取材時は「花見」がテーマ
公衆電話が日本で最初に設置されたのは上野・新橋駅の校内で明治33(1900)年9月なのだそう。
なんと、詳しい解説をこの自働電話から聞ける仕掛け
3階は企画展示室と下町情報コーナーが設けられています。以前は事務所として使われていたスペースが展示室となりました。
現在は「下町ってどんな町」というテーマの展示を開催中(〜6/29まで)
不忍池を臨みながら、昔の道具や遊びを体験できる一角。「したまち資料検索」ができるタッチパネルも設置されており、
展示を見て気になった道具の使い方などを詳しく調べられる
けん玉やメンコなどの玩具と風呂敷や煙管といった生活道具を実際に手にとって試せる。これは楽しい!
また、施設をバリアフリー化し、授乳室などの子育て支援スペースが設置され、より多くの人が楽しめるようになりました。
東京上野で下町の魅力あふれる文化に触れに、ぜひ足を運んでみてください。
したまちミュージアム
住所 東京都台東区上野公園2-1
開館時間 9:30~16:30、※入館は16:00まで
休館日 月曜日(祝休日と重なる場合は翌平日)
入館料 一般300円(200円)、小・中・高生100円(50円)
※( )内は20人以上の団体料金
※障がい者手帳、療養手帳、精神障がい者保健福祉手帳、特定疾患医療受給者証をお持ちの方とその介護者の方は無料
※土曜日は台東区在住・在学の小、中学生とその引率者の入館料が無料
お問い合わせ 03-5846-8426
https://www.taitogeibun.net/shitamachi/(外部サイトへ移動します)