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みなさんは、スウェーデンと聞いてどんな風景を思い浮かべますか?実は、四季がはっきりしていて、国土の約7割が森林に覆われている、日本と共通点の多い国なんです。
現在、東京都美術館で開催されている「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」。1880年代から1915年頃の絵画、80点を6つの章に分けて展示しています。「スウェーデン美術の黄金期」とされるこの時代を、今回のように体系的に紹介するのは日本初の試み。東京都美術館開館100周年記念の一環として行われる、注目の展覧会です。

降り続いた雪がやんだ夜の静けさや、水面の風の音が伝わってくるようなスウェーデンらしい風景画
(「東京都美術館開館100周年記念 スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」展示風景、東京都美術館、2026年)
展覧会タイトルにもある通り、スウェーデンの画家たちがモチーフとして重んじたのは「日常のかがやき」。厳しいけれども豊かな自然、北欧ならではの光。そして、身近な人々との暮らしの中にあるささやかな喜び。そういった「スウェーデンらしさ」が伝わってくる内容になっています。

展示の冒頭を飾る「Ⅰ スウェーデン近代絵画の夜明け」
(「東京都美術館開館100周年記念 スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」展示風景、東京都美術館、2026年)
元々スウェーデンでは、1735年に創設された王立素描アカデミー(1810年に王立美術アカデミーと改称)で、伝統的な美術教育が行われていました。その頃、主にモチーフとして推奨されていたのは、自国の歴史。しかしやがて、ドイツの美術アカデミーで学んだり、パリに移住する画家たちが現れ、スェーデンに新しい風が吹き込みます。
展示の第一章にあたる「Ⅰ スウェーデン近代絵画の夜明け」では、画家たちの視点や表現方法が少しずつ変化していく様子が感じられます。

カール=フレ―ドリック・ヒル「花咲くリンゴの木」(1877年/スウェーデン国立美術館所蔵)。
「Ⅱ パリをめざして――フランス近代絵画との出合い」に展示
続いて、「Ⅱ パリをめざして――フランス近代絵画との出合い」には、1870年代後半から1880年代の作品が集められています。
当時、スウェーデンの若い画家たちは、旧態依然としたアカデミーの教育方針に不満を抱き、芸術の都・パリに向かったそうです。彼らの心を捉えたのは、人間や自然をありのままに描く自然主義やレアリスム。明るい色を用いた風景画、描かれた人の感情まで伝わってくるような人物画など、これまでとは違うモチーフが目を引きます。

いずれもカール・ノードシュトゥルムの作品。左から「画家の婚約者」(1885年/スウェーデン国立美術館所蔵)と、「グレ=シュル=ロワン」(1885-1886年/スウェーデン国立美術館所蔵)。「Ⅲ グレ=シュル=ロワンの芸術家村」に展示
パリで新たな表現に目覚めたスウェーデンの画家たちは、フランス郊外のバルビゾン村で活動していた芸術家にならい、戸外での制作に重きを置くようになりました。その拠点となったのは、パリの南東約70kmに位置するグレ=シュル=ロワン。彼らは素朴な田園風景や村人たちの営みを積極的に描きました。
「Ⅲ グレ=シュル=ロワンの芸術家村」では、自然主義的に描かれた農村の風景や、庭の草花、村人の働く姿など、味わい深い作品が並んでいます。

カール・ラーション「カードゲームの支度」(1901年/スウェーデン国立美術館所蔵)。この絵の舞台はカール家のダイニングルームで、奥のリビングにある机の上を見ると、すでにカードが準備されている。
「Ⅳ 日常のかがやき――“スウェーデンらしい”暮らしのなかで」に展示
ある意味、展覧会のクライマックスと言えるのが「Ⅳ 日常のかがやき――“スウェーデンらしい”暮らしのなかで」。1880年代の終わり頃になると、フランスで制作していたスウェーデンの画家たちが帰郷し、フランスで体得した自然主義やレアリスムの手法を使って身近なモチーフを描くようになります。
主なモチーフは、家族との暮らしや親しい友人たちの姿。温もりが感じられる穏やかな作風で、眺めているとこちらの気持ちまで和んできます。

いずれもアウグスト・マルムストゥルムによる作品。左から、「インゲボリの嘆き(エサイアス・テグネール『フリッティオフ物語』より)」(1887年頃/スウェーデン国立美術館所蔵)と「フリッティオフの帰還(エサイアス・テグネール『フリッティオフ物語』より)」(1880年代/スウェーデン国立美術館所蔵)。「Ⅴ 現実のかなたへ――見えない世界を描く」に展示
一方、フランスから帰国したスウェーデンの画家の中には、自身の内面世界に関心が向くタイプも少なくありませんでした。彼らのインスピレーションの源は、北欧の神話や民間伝承といった民俗的な主題。
「Ⅴ 現実のかなたへ――見えない世界を描く」に並んでいるのは、北欧に伝わる物語の一部や心象風景を描いた作品。まるで、観る者の心に語りかけてくるようです。

いずれもグスタヴ・フィエースタードの作品。手前は「川辺の冬の夕暮れ」(1907年/スウェーデン国立美術館所蔵)、奥は「冬の月明かり」(1895年/スウェーデン国立美術館所蔵)
1890年代以降、スウェーデンの風景画は新たな展開を迎えます。展示を締めくくるのは、「Ⅵ 自然とともに――新たなスウェーデン絵画の創造」。
森や湖、山岳地帯、岩礁の続く海岸線、群島など、スウェーデンならではの豊かな自然がモチーフとして取り上げられています。画家たちは、これを描くために最適な表現を模索し始めたのです。

ブリューノ=リリエフォッシュ「ダイシャクシギ」(1907年/スウェーデン国立美術館所蔵)は、カモフラージュして生きるダイシャクシギの姿が描かれている。音声ガイド(有料)では、1つの作品を、時間をかけて味わうためのスペシャルトラック「アートをゆっくり楽しむ鑑賞法 スロールッキングを体験しよう!」を用意
これらの風景画には、感情や雰囲気まで伝えようという画家たちの想いが込められています。なかでも黄昏時や、夜明けの淡い光を見ていると、ぐっと世界観に引き込まれます。展示を見て回っているうちに自分も絵画に入り込んだ気分。美術館を出てから、そのまま上野公園を散歩すれば、草木の緑や行き交う人々の表情がより鮮やかに見えてくるでしょう。

特設ショップには、刺繍ブローチ1,100円、イラストサコッシュ1,100円などオリジナルグッズも(すべて税込)

特設ショップの出口付近に展示されている「皆川明絵付けダーラナホース fred」
ちなみに、特設ショップには展覧会のオリジナルグッズがたくさん。来館の記念に、ぜひ手に入れてください。

特設ショップの出口付近にあるフォトスポットでは、カール・ラーション「カードゲームの支度」を参考に「スウェーデンらしい暮らし」を再現
東京都美術館開館100周年記念 スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき
会期 開催中~2026年4月12日(日)
会場 東京都美術館
住所 東京都台東区上野公園8-36
開室時間 9:30~17:30(金曜は20:00まで) ※入室は閉室の30分前まで
休室日 月曜、2月24日(火) ※2月23日(月・祝)は開室
観覧料(税込) 一般 2,300円、大学・専門学校生 1,300円、65歳以上 1,600円、18歳以下・高校生以下 無料
お問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会公式サイト https://swedishpainting2026.jp/(外部サイトへ移動します)











