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皆さんは「大奥」と聞くと、どんなものを思い浮かべますか? 徳川将軍家の豪華絢爛な生活を想像する方が多いのではないでしょうか。かつてそこに暮らした歴代の御台所と側室、女中たちの遺された資料やゆかりの品を通して、知られざる大奥の歴史と真実をたどる特別展 「江戸☆大奥」が現在、東京国立博物館 平成館で開催されています。今回はその内覧会の様子をレポートします。

東京国立博物館 平成館の入り口にあるメインビジュアル
第1章「あこがれの大奥」では、かつて人々のあこがれの場所であった大奥をモデルに描いた『偐紫田舎源氏(にせむらさきいなかげんじ)』や『千代田の大奥』などの錦絵シリーズを通し、大奥での優雅な暮らしぶりを見ていきます。お正月、お花見やお月見などの年中行事の過ごし方から、入浴やお櫛あげなど身だしなみにまつわることまで、大奥の女性たちの生活の様子がカラフルな色彩と繊細なタッチで描かれており、つい時間を忘れて見入ってしまいました。誰もがあこがれる優雅で美しい時間がそこにはあります。

NHKドラマ10「大奥」のセット“御鈴廊下”にドラマで実際に着用された衣装がずらり!

『千代田の大奥』より「千代田大奥 御花見」楊州周延筆 明治27年(1894年)
東京国立博物館蔵 ※会期中、展示替えがあります
大奥における女中たちの仕事の内容を描いた「奥奉公出世双六」も必見です。実物のすぐ近くに現代語の釈文(書き起こし)も掲示されているので、照らし合わせながら見るとおもしろさ倍増! 女中たちが人間臭くて、大奥が少しだけ身近に感じられます。

奥奉公出世双六 万亭応賀作、歌川国貞(三代豊国)筆 江戸時代 19世紀
東京都江戸東京博物館蔵 前期展示:7/19(土)~8/17(日)
第2章では、「大奥の誕生と構造」と題して、三代将軍徳川家光の時代に焦点をあて、大奥の礎を築いたと言われる春日局(斎藤福)と家光の関係、天樹院(千姫)、大奥で大きな政治的権力を握った女中たちの痕跡を見ていきます。テレビドラマなどでは何度も紹介されている春日局ですが、実際にはどんな人だったのだろう、と考えながらゆかりの品々を見ていくと、またロマンが広がります。寛永9年に宮廷に参内した際、後水尾天皇から拝領したといわれる緋袴姿を着用した肖像や坐像が現在も残されています。

春日局坐像 江戸時代 17世紀 京都・麟祥院(京都市)蔵

女乗物 瀧山所用 江戸時代 19世紀
埼玉・錫杖寺(川口市)蔵
第3章「ゆかりの品は語る」では、歴代大奥のヒロインたちにスポットをあてます。五代将軍徳川綱吉の生母であり、三代将軍家光の側室 桂昌院のものとされる振袖や、綱吉が側室 瑞春院に贈った美しい刺繡掛袱紗など、当時の職人たちの繊細な手仕事を目の当たりにすると、側室たちが大奥という閉ざされた世界でも気丈に生きていたことが伺えます。

重要文化財 振袖 黒綸子地梅樹竹模様 桂昌院(お玉の方)所用
江戸時代 17世紀 東京・護国寺(文京区)蔵 前期展示:7/19(土)~8/17(日)

重要文化財 刺繡掛袱紗 紅綸子地薔薇に巻絹宝尽「宝寿」字模様 瑞春院(お伝の方)所用
江戸時代 17~18世紀 奈良・興福院(奈良市)蔵 前期展示:7/19(土)~8/17(日)
第4章は「大奥のくらし」について。大奥に生まれた将軍の息女や御台所が着用していた四季折々の衣装、かるたや楽器、女性の歌舞伎役者がまとった衣装などが華やかに展示されています。季節によって衣装に使用される生地はもちろん、着こなし方が変わるのも興味深いもの。大奥の中で歌舞伎を演じるのが女性だったというのがまた新鮮ですね。いつの時代も、エンターテインメントが人々を楽しませていたことがわかります。

搔取 萌黄縮緬地松紅葉牡丹流水孔雀模様 江戸時代 19世紀 東京国立博物館蔵
掛下帯 萌黄繻子地源氏車花束模様 江戸時代 19世紀 東京国立博物館蔵
間着 紅縮緬地藤棚模様 江戸時代 19世紀 個人蔵

今回展示されているのは、十一代将軍家斉の妹の蓮性院、側室の専行院(お美代の方)、
その娘である溶姫や末姫の前で演じられた歌舞伎の衣装と伝えられる
大奥の世界を堪能したあとはおみやげのチェックも忘れずに! 文具などの定番商品からファッションアイテムまで、ここでしか手に入らないオリジナルグッズが豊富に揃っています。とくに『千代田の大奥』をモチーフにしたグッズは要チェック。

Ball&Chainと特別展「江戸☆大奥」のコラボ商品『トートバッグ』6,050円(税込)

『オリジナルティー(紅茶)』(左)と『オリジナルティー(緑茶)』(右)
各1,650円(税込)

サンリオとの限定コラボグッズも販売中。『マスコットキーホルダー』各3,300円(税込)
※お一人様各3個まで
徳川将軍家という大きな権力の中で女性たちがたくましく生きた場所、大奥。その暮らしぶりを記した資料やゆかりの品々を見ることで、華やかというだけのイメージが少し変わるかもしれません。ぜひ、この夏は大奥の真実に触れてみてはいかがでしょうか。
特別展 「江戸☆大奥」
会期 開催中~9月21日(日)※会期中、一部作品の展示替えを行います。
前期展示:7月19日(土)~8月17日(日) 後期展示:8月19日(火)~9月21日(日)
会場 東京国立博物館 平成館
住所 東京都台東区上野公園13-9(上野公園)
開館時間 9:30~17:00
※毎週金・土曜、8月10日(日)、9月14日(日)は20:00まで開館
※入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜 ※ただし、8月11日(月・祝)、9月15日(月・祝)は開館
主催 東京国立博物館、NHK、NHKプロモーション
特別協力 公益財団法人 德川記念財団
協賛 SGC、DNP 大日本印刷
当日券料金(税込) 一般 2,100円、大学生1,300円、高校生900円
お問合せ 050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会公式サイト https://ooku2025.jp/(外部サイトへ移動します)