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2025.05.31【上野の森美術館】五大浮世絵師展ー歌麿 写楽 北斎 広重 国芳 内覧会レポート

浮世絵が最も成熟し、黄金期と呼ばれた江戸中期(天明・寛政期)。多くの浮世絵師が活躍したその時代に、最も輝きを放った5人の浮世絵師の作品が一堂に会する展覧会が、上野の森美術館で開催されています。

女性のふとした一瞬を美しくとらえた喜多川歌麿、役者絵で人気を博した東洲斎写楽、さまざまな森羅万象を描いた葛飾北斎、江戸の風景画を代表する歌川広重、斬新な武者絵を描いた歌川国芳。彼らの代表作を中心に約140点が展示されています。見ごたえたっぷりの展覧会の様子をレポートします。

 

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浮世絵師の名前と代表作が描かれた大迫力のパネルがお出迎え

 

第一章は「喜多川歌麿―物想う女たち」。安永4年(1775年)に富本本浄瑠璃正本でデビューした歌麿は、寛政3年(1791年)頃より蔦屋重三郎の耕書堂から美人大首絵を刊行します。女性の内面性に迫る独自の様式は人気を集め、美人画の第一人者へと登りつめていきました。こちらのコーナーでは、江戸時代を生きた女性たちのナチュラルで美しい一瞬をとらえた作品の数々が並びます。花魁のプライベートな一面が垣間見られる作品など、江戸時代の庶民の期待に応えたテーマで描かれているところにも注目してご覧ください。

 

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喜多川歌麿「教訓親の目鑑 俗二伝 ばくれん」享和2年(1802年)頃

 

第二章は「東洲斎写楽一役者絵の衝撃」。現在もその正体が謎に包まれたままの浮世絵師である写楽は、寛政6年(1794年)に江戸三座の役者を題材にした雲母(きら)摺りの大首絵を一度に28枚発表し、寛政7年(1795年)正月公演の舞台を最後に一切作品を出していません。その活動期間はわずか10か月ほどでした。歌麿と同じく、蔦屋重三郎の耕書堂から出版された作品の総数は145点ほど。役者たちがそこにまるで生きているかのように、観る人の心を掴む写楽の浮世絵は、ずっと観ていても飽きることがありません。

 

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東洲斎写楽「二代目嵐龍蔵の金貨石部金吉」寛政6年(1794年)

 

第三章は「葛飾北斎―怒涛のブルー―」。春朗の名で役者絵デビューを果たした葛飾北斎は、その後次々と改名し、その度ごとに摺物、錦絵、絵手本類、肉筆画と注力する興味の対象が変化していきました。嘉永2年(1849年)に90歳で亡くなるまで、精力的に絵を描き続けた北斎は、代表作「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」をはじめ、世界中で知られる作品を多数く残しています。ドイツ・ベルリンで誕生し、北斎が愛した「ベロ藍」と呼ばれる青色絵具の色彩にもご注目ください。

さらに人物の動きをコミカルに描いた「北斎漫画」も一部展示されており、こちらも必見です。

 

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葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」天保2年(1831年)頃

 

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浮世絵師一人ひとりのテーマカラーが決まっているのも、この展覧会のみどころ。

北斎エリアはもちろん「ベロ藍」で統一されている

 

今回の展覧会で音声ガイドナビゲーターを務めるのは、歌舞伎俳優の尾上松也さん。五大浮世絵師の個性あふれる作品の魅力、描かれるストーリーを絵師にまつわるエピソードも交え、テンポのよい語りでご案内します。

 

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特別展示として飾られている尾上松也さんの浮世絵作品も必見!

石川真澄「挑む」尾上松也「挑む 第八回 外伝」より 平成28年(2016年)

 

第四章は「歌川広重一雨・月・雪の江戸」。街道絵や名所絵などで知られる広重は、ゴッホやポスト印象派の画家たちにも影響を与える存在となりました。「東海道五拾三次之内」シリーズは、ただの風景画の枠に収まらず、旅人やそこに住んでいる人々の息づかいまでが聞こえてきそうです。また、絵を縦画面にしてメインの被写体を手前に大きく描き、背景を後ろに描く手法は斬新で、つねに流行の最先端を追い求めた人物であったとも言えます。

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歌川広重「名所江戸百景 亀戸梅屋舗」安政4年(1857年)

 

第五章は「歌川国芳―ヒーローとスペクタクル」。大きな画面を使った斬新な構図の武者絵、西洋画を意識した風景画など、インパクトのある絵が特長の広重。長い下積み時代を経て、文政(1818年~1830年)末頃に刊行された錦絵揃物『通俗水滸伝豪傑百八人之一個』で一気に知名度が上がります。作品をじっくり観ていると、描き込みの細かさと、その独特な色使いに驚きます。現在の漫画やアニメにもつながる国芳ワールドをぜひ間近で堪能してみてください。

 

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歌川国芳「相馬の古内裏」弘化年間(1844-48年)頃

 

5人のスターたちの作品をじっくり鑑賞したあとは、ぜひミュージアムショップにも立ち寄りましょう。浮世絵の名作がモチーフになったグッズはどれも素敵で目移りしてしまいます。ファッションアイテムは自分へのご褒美に、日常使いできる文房具やお菓子は親しい人へのおみやげに。

 

この夏は上野の森美術館で江戸時代のアートに酔いしれてみてはいかがでしょうか。

 

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「猫ミニバッグ(とら、くろ)」各7,700円(税込)

 

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「一口羊羹」各378円(税込)

 

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「クリアファイル」各440円(税込)

 

 

「五大浮世絵師展ー歌麿 写楽 北斎 広重 国芳」

会期 2025年5月27日(火)~7月6日(日)

会場 上野の森美術館
住所 東京都台東区上野公園1-2
開館時間 10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで

休館日 無休

主催 上野の森美術館、フジテレビジョン

後援 ニッポン放送

企画協力 神戸新聞社
当日券料金(税込) 一般2,000円、高校・専門・大学生1,500円、小・中学生800円

※未就学児無料

※小学生以下は保護者同伴でのご入場をお願いします。

※学生券でご入場の場合は、学生証の提示をお願いいたします。(小学生は除く)

※障がい者手帳(身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳)をお持ちの方とその介助者(1名まで)は当日料金から半額となります。

お問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル/全日9:00~20:00)
展覧会公式サイト https://www.5ukiyoeshi.jp (外部サイトへ移動します)

展覧公式X @5ukiyoeshi

展覧会公式Instagram 5ukiyoeshi

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