TOPICS
注目記事
下町風情の残る根岸の街並み。その住宅地にひっそりと佇むお店が一軒。
もとは料亭だったという趣のある建物の風格に負けない味を提供しているのが蕎麦屋「ほしのま」の店主・佐藤さん。佐藤さんは江戸前の伝統的な蕎麦を受け継ぐ御三家「並木藪蕎麦」のご出身で十数年修行されたのち、2021年に入谷・根岸で開業しました。
伝統の味を受け継ぐ本格的な蕎麦とお酒に合う料理が評判となり、お店はすぐに人気店に。しかし、大家さんの都合により3年ほどで立ち退きに遭ってしまいます。そして2024年9月、縁あって以前の場所からほど近い現在の場所でお店の再開を果たしたのだそう。
この看板が目印。奥へ進む
風情ある外観
思わず感嘆の声をあげてしまう店内。時間の流れがゆっくりと感じられる
L字型の掘りごたつ式カウンター8席。奥にはお座敷あり
ブルーのタイルが目を惹く厨房。佐藤さんと話に花を咲かせながら蕎麦前を楽しむ常連さんも多い
いただけるのは数種の蕎麦と天丼、おつまみ、お酒。今回は人気メニューのひとつ、天ざるを注文しました。まずはせいろからいただきます。十割の細打ち麺はコシがあり、なめらかなのどごし。濃口のツユに少しだけつけていただくと、蕎麦の香りや甘みが口の中で膨らみます。
天ぷらも絶品です。ピカピカに手入れされた大きな銅鍋で、目の前で揚がる様子を眺めているのも至福の時間。この日はえび、ホタルイカ、スナップエンドウ、まいたけ、なす、えびの大葉まき。どれも素材の食感を生かした絶妙な火の通りで衣はサクサク。大根おろしとつゆに浸すも、塩でいただくもよし。天ぷらの内容は日によって変わるのでそれもまた楽しみのひとつですね。
つやつやと光り輝く麺が美しい
天ざる2,300円(税込)の天ぷら盛り合わせ。ボリュームたっぷり
一品料理でおすすめのひとつは「おつまみ鴨」。低温調理でじっくりと火を通し、皮目を炙った鴨肉はしっとりとやわらかく、噛むほどに濃厚な旨みが広がります。くたくたのネギと肉々しい鴨のつくねも文句なしのおいしさ。そして鴨の旨みが溶け込んだ出汁がしみじみと心身へ染み渡ります。「幸せ」とは今この時のことを言うのでしょう。
鴨つまみ1,400円(税込)。この肉厚な鴨肉を見よ
奥のお座敷もすばらしい。つい長居してしまいそうなくつろぎの空間
佐藤さんの目利きによる新旧織り交ぜたすてきな器たちがずらり
お母さまと2人で切り盛りするお店にはとても清らかな空気が流れており、「ここに来れば間違いない」と安心して身を委ね、食事を楽しんでいらっしゃるお客さまばかり。
「蕎麦屋というと敷居が高いように思われがちですが、どなたでも気軽に来られるお店でありたい。かけそば1杯(700円税込)だけ食べにいらっしゃっても大歓迎です。蕎麦屋で酒を飲む入門としてのお店であり、最後に行き着くところでもありたい」と佐藤さん。
次はお酒と蕎麦前を楽しみたい。次は鴨南ばんもいいな、いや、天丼も…。そうして何度でも通いたくなるお店「ほしのま」。一度体験してみてください。
ほしのま
住所 東京都台東区根岸4-1-18
TEL 070-9128-2646
営業時間 月・火・金曜12:00〜14:30(L.O.14:00)/18:00〜20:30(L.O.20:00)
土・日曜12:00〜20:00(L.O.19:30)
定休日 水・木曜