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今年は『日本書紀』が編纂されてからちょうど1,300年。
その記念として開催される特別展「出雲と大和」では、国宝・重要文化財を含む170件もの作品が一同に会します!
1月15日(水)の公開に先立って行われた内覧会をレポート。
『日本書紀』には、中央集権的な統治制度を整え天皇を中心とした歴史的なアイデンティティや、「国譲り神話」によって出雲大社が王権によって祭られるようになったことが記載されています。
日本の古代史において、初めての統一国家となった大和。
その大和が国家として信仰の対象として重視された出雲大社。
この二つは古代日本を紐解く大きな要素であり、さまざまな発掘調査や研究、宝物をもとに4章にわたって核心に迫ります。
出雲大社は日本で最も古い由緒をもつ神社の一つであり、古代には48mの高さを誇ったといいます。
本展では、その1/10スケールの模型が登場。
いにしえの本殿の姿は解明されていないことが多く、その巨大なお社は未だ謎のベールに包まれています。
また、2000年には境内から巨大な杉の柱が発見され、鎌倉時代の本殿を支えた柱であったことがわかっています。
写真は「宇都柱(うづばしら)」と呼ばれるもので、杉の大材3本を束ねて1つの柱となるのだとか。会場には、もう一対の「心御柱(しんのみはしら)」も展示されています。
さらに数々の宝物も展示され、室町幕府六大将軍足利義教所用、八代将軍義政奉納と伝わる甲冑(写真/重要文化財)なども。
出雲の遺跡からは多数の青銅器が見つかり、それらが祭祀のために用いられたのだそう。
写真は、荒神谷遺跡で出土した銅剣358本のうち168本と、加茂岩倉遺跡で出土した銅鐸39個のうち17個。ともに国宝に指定されています。
やがて出雲では青銅器の祭りが終わりを迎え、墳丘墓を舞台とした王への儀礼へと変化していき、写真のような土器(島根県雲南市神原神社古墳/古式土師器(はじき))や装飾品が見られるようになります。
前方後円墳が出現するようなると、巨大埴輪(写真は円筒埴輪/奈良県桜井市メスリ山古墳/重要文化財)や神獣鏡(写真は三角縁神獣鏡/奈良県天理市黒塚古墳/重要文化財)が含まれたりと副葬された品々は実に多彩。
大陸との交流によりさまざまな文物や最新技術を導入するなど、大和が成した王権の大きさや影響力も見えてきます。(写真は奈良県斑鳩町 藤ノ木古墳から出土した金銅装鞍金具の後輪(しずわ)/国宝)
出雲は玉作り(勾玉など)の聖地でもあったため、美しい品々も多数生み出したといいます。
さらに時代が変わり、仏教が伝来すると大きな社会変化が起こり、古墳に象徴された政治や権力の役割は寺院に移るようになっていきます。
全国に寺院が建立し、遣隋使や遣唐使による最新の仏教を受け入れ、国家守護の仏教(四天王)が浸透していきました。
写真の、法隆寺金道四天王像の次に古い作品である持国天立像(重要文化財)や、寺外初公開となる浮彫伝薬師三尊像(重要文化財)など、貴重な仏像が多数並びます。
これらの仏像には、国家安泰と民衆の生活の安寧を願った"祈りの形"が示されています。
そういった人々の想いや願いにも思いを馳せながら、表情や様式など一つひとつをゆっくり鑑賞するのもいいものです。
本展の鑑賞後は、レアなアイテムも揃うミュージアムショップへ。
作品をモチーフにしたマスキングテープや缶マグネット、イヤリングや、埴輪の小さな置物(豆埴輪)や、3Dパズルは可愛らしさ満点。来場記念に、ぜひ手に取ってみてください。
日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」
■会期 2020年1月15日(水)~3月8日(日)
■開館時間 9:30~17:00 ※金曜・土曜は21:00まで開館 ※入館は閉館の30分前まで
■会場 東京国立博物館 平成館
■休館日 月曜日、2月25日(火) ※ただし2月24日(月・休)は開館
■料金(税込) 一般1,600円/大学生1,200円/高校生900円