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大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK)の主人公として、注目を集めている蔦屋重三郎。江戸のメディア王と言われた彼は、江戸の遊廓を起点に戯作者や絵師、役者と交流を広めながら、さまざまな出版物を生み出しました。江戸時代の人々を楽しませ、生涯面白いものを追い求めた蔦重はどんなものを作ったのか。そして、どのようにビジネススタイルを確立していったのか…。蔦重が手がけた仕事の一部を見ることで、その価値観と芸術性に触れられる展覧会が、東京国立博物館 平成館で開催されています。
今回はその内覧会の様子をレポートします。
特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」メインビジュアル
入り口ではNHKの大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の撮影で実際に使われたという吉原大門がお出迎え。夜の吉原をイメージした妖艶な雰囲気はまるで江戸時代にタイムトリップしたよう! 吉原で春になるたびに植えられ、人々の目を楽しませたといわれる桜の木や提灯までもが再現されています。
今回の展覧会で音声ガイドを務めるのは、大河ドラマで主人公の蔦屋重三郎役を務める横浜流星さん。ぜひ、音声ガイド付きでお楽しみください。
さあ、江戸中期につながる吉原大門をくぐりましょう
春の吉原の夜を彷彿とさせる演出に思わず息を飲む
この展覧会では、第1章から第3章まで蔦重が手がけた順に作品が展示されています。
第1章では、蔦重が最初に出版に携わった吉原のガイドブック『吉原細見』や、蔦重と交流のあった平賀源内が手がけた『エレキテル』などが展示されています。吉原の遊女たちを植物に見立てた絵本『一目千本』は、当時吉原の贔屓客への配布用として制作されたものですが、いま見ても洗練された大胆な構成で、見る人の興味をそそります。
さらに、出資を募って出版されたいわゆる「入銀物」のひとつ、遊女たちの日常を描いた豪華本『青楼美人合姿鏡』は、絵を見ているだけで当時の彼女たちのたくましく生きる姿がみずみずしくよみがえります。クライアントからの発注で本を作るというビジネスモデルを作ったのも蔦重ではないでしょうか。
『一目千本』紅塵陌人作/北尾重政画 安永3年(1774年)7月 蔦屋重三郎 大阪大学付属図書館 忍頂寺文庫
『青楼美人合姿鏡』北尾重政・勝川春章画 安永5年(1776年)正月 山崎金兵衛・蔦屋重三郎
東京国立博物館 ※会期中、場面替えあり
その後、日本橋の通油町(現在の大伝馬町)に耕書堂を開いた蔦重は、江戸で爆発的な人気を博した狂歌作りに自らも参加し、文芸活動を行う傍らさまざまな文化人と交流を深めていきます。第2章では、蔦重がプロデュースした狂歌集や狂歌絵本を見ながら、蔦重が燃やした情熱に触れてみましょう。同じ頃に作られた、山東京伝などの戯作師たちによる黄表紙と呼ばれる娯楽本にも要注目です。
第3章では、喜多川歌麿による美人画や、写楽による役者絵をたっぷり鑑賞することができます。蔦重が特にこだわったのが「大首絵」で多用された「雲母摺(きらずり)」と呼ばれる技法です。これは背景を雲母(うんも)という鉱物で摺る技法で、江戸の人々が自然光や行灯の下で浮世絵を見るとき、画面全体に柔らかな明るさと奥行きをもたらす効果がありました。少し薄暗い館内で、浮世絵を見る角度を変えてみると「雲母摺」に気がつくかもしれません。
重要文化財「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」東洲斎写楽筆 寛政6年(1794年)
蔦屋重三郎 東京国立博物館 前期:5月18日(日)まで
『歌まくら』喜多川歌麿画 天明8年(1788年)蔦屋重三郎 東京・浦上蒼穹堂
前期:5月18日(日)まで ※後期は別本を展示
さまざまな作品を見たあとに待っているのが、当時の日本橋の通油町の街並みを再現したスペースです。耕書堂の再現展示など、ぜひ当時の町人になった気分で楽しんでみてください。
もちろんお土産コーナーも充実! 歌麿や写楽の絵がモチーフになったキーホルダーやポストカード、ぬいぐるみ、さらに大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」のオリジナルグッズも。じっくり時間をかけて選びたくなるラインナップです。
5月20日(火)からは、一部作品の展示替えを行うそうですが、前期も後期も見ごたえ十分なので、ぜひ足を運んでみてくださいね。
日本橋の通油町にあった耕書堂が再現されている
「江戸兵衛ぬいぐるみ(中)」1,980円(税込)
「木製キーホルダー」1,100円(税込)
特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」
会期 2025年4月22日(火)~6月15日(日)※会期中、一部作品の展示替えを行います。
会場 東京国立博物館 平成館
住所 東京都台東区上野公園13-9(上野公園)
開館時間 9:30~17:00 ※毎週金・土曜日、5月4日(日・祝)、5日(月・祝)は20:00まで開館 ※入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜、5月7日(水)(ただし、4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開館)
主催 東京国立博物館、NHK、NHKプロモーション
後援 台東区、中央区
協賛 SGC、NISSHA
当日券料金(税込) 一般 2,100円、大学生1,300円、高校生900円
※中学生以下、障がい者とその介護者1名は無料。入館の際に学生証、障がい者手帳等をご提示ください。
※本展は事前予約不要です。混雑時は入場をお待ちいただく可能性がございます。
※本展観覧券で、4月22日(火)~6月15日(日)の間の観覧日当日に限り「浮世絵現代」(表慶館)を無料でご覧いただけます。
※本展観覧券で、観覧日当日に限り東博コレクション展(平常展)、「浮世絵現代」(表慶館)もご覧いただけます。
お問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会公式サイト https://tsutaju2025.jp/ (外部サイトへ移動します)