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2022.10.25東京国立博物館創立150年記念 特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」内覧会レポート

上野の東京国立博物館は開館150年を迎えます。これを記念し、特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」が開催されています。12月18日(日)までの間に、同館が所蔵する国宝89件全てが公開される豪華な展覧会。その内覧会を取材しました。

 

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展示風景より

 

今から150年前の1872年、湯島聖堂で開催された湯島聖堂博覧会をきっかけとして東京国立博物館は誕生しました。その後、現在までに約12万件の収蔵品を持つ、世界でも有数のミュージアムとなっています。

 

もちろん、コレクションの量だけでなく質も素晴らしいもの。国宝の所蔵件数は89件となり、一つの館が所蔵する国宝としては日本一となっています。ただし、89件の国宝の展示期間は細かく分けられています。お目当ての国宝を見たい場合は、そのスケジュールをしっかりとチェックしていきましょう。

 

展覧会は2部構成です。第1部「東京国立博物館の国宝」では、「絵画」、「書跡」、「東洋絵画」、「東洋書跡」、「法隆寺献納宝物」、「考古」、「漆工」、「刀剣」の8つの分野で国宝を公開します。会場に入ると、まず目に入るのが長谷川等伯の《松林図屏風》。靄に包まれて見え隠れする松林を描いた屏風です。

 

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国宝 長谷川等伯 松林図屛風 安土桃山時代・16世紀 ※展示期間:10月30日(日)まで

 

さらに足を進めると、見たことがある作品が次々と登場。制作時期が最も新しい国宝絵画として知られる渡辺崋山《鷹見泉石像》もその一つ。隣には、これまた人気の国宝久住守景《納涼図屛風》が配置されています。

 

 

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左/国宝 渡辺崋山《鷹見泉石像》天保8年(1837) 右/国宝 久住守景《納涼図屛風》江戸時代(17世紀) ※展示期間:11月13日(日)まで

 

この他、狩野永徳の《檜図屛風》は11月1日(火)~27日(日)、岩佐又兵衛の《洛中洛外図屛風(舟木本)》や《地獄草紙》、《餓鬼草紙》は11月15日(火)~12月11日(日)の展示予定。

 

「書跡」では奈良時代から鎌倉時代までの日本書籍が展示されます。《和歌体十種》は、10世紀の末から11世紀初めに成立した歌論書で、本書はその現存最古の写本に当たります。藍と紫の飛雲をすき込んだ薄手の鳥の子紙に、和歌を10体に分類、それぞれに5首の例歌を仮名で添え、漢文で説明を加えられたものです。

 

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国宝《和歌体十種》(部分)平安時代(11世紀) ※展示期間:11月13日(日)まで

 

「東洋書跡」、「東洋絵画」では、後世の書家や画家に大きな影響を与えた作品が展示されています。李迪の《紅白芙蓉図》は、朝と夕方でその色や姿を変える芙蓉の両方の姿を描き分けた2幅で一組の作品です。

 

 

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李迪《紅白芙蓉図》南宋時代、慶元3年(1197) ※展示期間:11月13日(日)まで

 

「法隆寺献納宝物」は、1878年に法隆寺から当時の皇室に収められた国宝を展示します。《竜首水瓶》は聖徳太子ゆかりの宝器の伝承を持つ水瓶。竜の姿をかたどった器には、四頭の有翼馬の文様が配されたもの。

 

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《竜首水瓶》飛鳥時代 7世紀

 

「考古」では、古墳時代や奈良時代の国宝を展示します。《埴輪 挂甲の武人》は、当時の武人の姿をかたどっているといわれています。

 

 

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奥/国宝《埴輪 挂甲の武人》古墳時代、6世紀 手前/国宝《扁平紐式銅鐸》弥生時代 前2~前1世紀 いずれも通期展示

 

「漆工」の本阿弥光悦《舟橋蒔絵硯箱》は、山のように盛り上がった蓋を持つ硯箱。金地と鉛板の大胆なコントラストが特徴です。

 

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国宝 本阿弥光悦《舟橋蒔絵硯箱》江戸時代(17世紀) ※展示期間:11月13日(日)まで

 

そして、第一部を締めくくるのが「刀剣」の展示室。東京国立博物館で所蔵する国宝19件が一挙に公開されています。刃文や地鉄をしっかり鑑賞できるよう、照明や展示ケースにも工夫が凝らされていることにも注目です。

 

 

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展示風景 「刀剣」展示室

 

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三条宗近《太刀 銘 三条(名物 三日月宗近)》平安時代(10~12世紀)

 

そして、第2部「東京国立博物館の150年」も必見。東博がどのような150年を歩んできたのかを追っていく展示です。

1872年、150年前に湯島聖堂で開催された博覧会では、名古屋城の金の鯱などを展示。20日間の会期で15万人もの観覧者が博覧会を訪れたといいます。

 

 

 

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展示風景より。中央は名古屋城金鯱(レプリカ)

 

明治19年(1886)、博物館は宮内庁の所管となり、「帝室博物館」となりました。鳳輦(ほうれん)は天皇が行幸する際に利用する輿型の乗り物。こちらは明治天皇が東京への行幸で用いられたものです。

 

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展示風景より 手前は《鳳輦》江戸時代 19世紀

 

帝室美術館時代、東京国立博物館は自然史資料も展示していました。キリンもその一つ。関東大震災後に東京博物館(現 国立科学博物館)などに譲渡されました。

 

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《キリン剥製標本》明治41年(1908)

 

戦後、東京国立博物館として再出発した東博は以前と変わらず所蔵品を増加させています。展覧会の最後でも、国宝ではないものの東博自慢のコレクションがずらりと並びます。その一つ、尾形光琳《風神雷神図屛風》は戦後、コレクションとして加わったものです。

 

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尾形光琳《風神雷神図屛風》江戸時代(18世紀) ※展示期間:11月13日(日)まで

 

そして、今回もミュージアムショップが充実! 挂甲の武人ぬいぐるみや、遮光器土偶ぬいぐるみのほか、土偶のフェイスクッションも!

 

 

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「埴輪 挂甲の武人ぬいぐるみ」3,080円(税込)、「遮光器土偶ぬいぐるみ」2,750円(税込)

 

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「遮光器土偶フェイスクッション」4,180円(税込)

 

この他にも、銅鐸抱き枕や、サンリオのシナモロールとのコラボグッズ、刀剣乱舞ONLINEのコラボグッズなど、バラエティ豊かな品揃えです。

 

本展は、華やかで力強い第1部、東博の歴史がよくわかる第2部、どちらも好奇心を強く掻き立てられる展示です。混雑が予想される展覧会ですが、余すことなく楽しんでいきましょう。

 

東京国立博物館創立150年記念 特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」
会期 2022年10月18日(火)~12月18日(日) ※会期中展示替えあり ※当初は12月11日まででしたが、1週間会期が延長
開館時間 9:30~17:00(金・土曜は20:00まで、総合文化展は17:00閉館)
※12月13日(火)~18日(日)は、本展のみ9:30~20:00まで開館(総合文化展は全日17時閉館)
会場 東京国立博物館 平成館
休館日 月曜
観覧料(税込) 一般2,000円、高・大学・専門学校生1,200円、小・中学生900円
※本展は日時指定制です。詳細は展覧会公式サイトをご確認ください
https://tohaku150th.jp(外部サイトへリンクします)
問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)

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