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2022.05.19多彩な文化財が集結した『沖縄復帰50年記念 特別展「琉球」』内覧会レポート

1972年5月15日、アメリカの統治下にあった沖縄が日本に復帰しました。2022年はそれから50年目。これを記念し、琉球の歴史と文化を紐解く展覧会、特別展「琉球」が、5月3日(火)より東京国立博物館で開幕しています。多様な文化財が集結したこの内覧会をレポートします。

 

 

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展示風景より

 

かつて琉球王国として、独自の文化と歴史を有していた沖縄は、現代まで続く様々な困難のなか、その文化、歴史を未来につなぐ努力をたゆまず続けています。この展覧会は、沖縄の考古遺物や民族作品から、王国時代の歴史資料や工芸作品、そして、国王尚家(しょうけ)に伝わる宝物まで、さまざまな沖縄の文化財を紹介するものです。

 

展覧会は5章構成です。第1章「万国津梁(しんりょう)アジアの架け橋」では、アジア各地の貿易の中継地点として繁栄した琉球王国の姿を追うもの。会場内に置かれている鐘は、「万国津梁の鐘」として知られる重要文化財《銅鐘 旧首里城正殿鐘》。かつて首里城の正殿にかけられていたと考えられています。琉球王国が世界の架け橋になろうとする気概が、鐘に刻まれた「万国津梁」の文字に込められています。「万国津梁」という言葉は現在の沖縄でも大切にされていて、2000年に開催された九州・沖縄サミットの会場も「万国津梁館」と名付けられていました。

 

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重要文化財《銅鐘 旧首里城正殿鐘(万国津梁の鐘)》藤原国善作 第一尚氏時代 天順2年(1458) 沖縄県立博物館・美術館蔵

 

こちらの章では当時の那覇港の様子や、首里城などから出土品したものから、琉球王国が日本や朝鮮半島、中国大陸、東南アジアと盛んに交易し、繁栄していたことが伺える作品がたっぷり展示されています。

 

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左《琉球進貢船図屏風》 第二尚氏時代 19世紀 京都大学総合博物館蔵/右 阿嘉宗教筆《首里那覇鳥瞰図屏風》 明治時代 19世紀 沖縄・那覇市歴史博物館蔵

 

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左《三彩鴨形水注》中国 明時代 16世紀/右《三彩鶴形水注》中国 明時代 16世紀

 

第2章「王権の誇り 外交と文化」では王家の宝物や、諸外国からの送られた工芸品などが展示されます。そして、本展のクライマックスといっても過言ではありません。刀剣や染織品、簪などの豪華絢爛な展示品の目白押しです。

 

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沖縄県指定文化財《聞得大君御殿雲龍黄金簪》第二尚氏時代 15~16世紀 沖縄県立博物館・美術館蔵

 

 

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奥左 国宝《紺地龍丸文様緞子唐衣裳》 第二尚氏時代 18~19世紀/奥中 国宝《赤地龍瑞雲嶮山文様繻珍唐衣裳》 第二尚氏時代 18~19世紀/奥右 国宝《赤地繻子裙》、《白地繻子衣裳(桐衣・袴)》第二尚氏時代 18~19世紀/手前 国宝《玉冠(たまんちゃーぶい)[付簪(つけたりかんざし)]》 第二尚氏時代 18~19世紀  いずれも〔琉球国王尚家関係資料〕 沖縄・那覇市歴史博物館蔵 ※いずれも展示終了

 

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左 国宝《黒漆脇差拵(号 治金丸)》(刀身 室町時代 16世紀、拵 江戸時代 17世紀)/右《青貝螺鈿鞘腰刀拵(号 北谷菜切)》(刀身 室町時代 15世紀、拵 江戸時代 16~17世紀) いずれも〔琉球国王尚家関係資料〕 沖縄・那覇市歴史博物館蔵

 

 

 

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左 国宝《黒漆脇差拵(号 治金丸)》(刀身 室町時代 16世紀、拵 江戸時代 17世紀)/右《青貝螺鈿鞘腰刀拵(号 北谷菜切)》(刀身 室町時代 15世紀、拵 江戸時代 16~17世紀) いずれも〔琉球国王尚家関係資料〕 沖縄・那覇市歴史博物館蔵

 

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左 国宝《黒漆貝尽螺鈿漆絵料紙箱》明治時代 19世紀/右 国宝《黒漆貝尽螺鈿漆絵硯箱》明治時代 19世紀 いずれも〔琉球国王尚家関係資料〕 沖縄・那覇市歴史博物館蔵

 

うっとりするような展示品を楽しんだ後は、より深く琉球と沖縄に触れていきましょう。第3章、第4章では繁栄を誇っていた琉球王朝の周辺の暮らしや、その前の歴史について考察を深めます。

第3章「琉球列島の先史文化」では、琉球王国の繁栄前の歴史を紐解きます。土器や石器が作られたほか、海に囲まれた琉球列島では、貝やサメの歯などで作られた装身具が作られており、独特の文化がこの頃より育まれていたことが伺えます。

 

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展示風景より

 

続く第4章「しまの人びとと祈り」では、祭祀を女性が司るという沖縄独特の風習と、それらにまつわる文化をたどります。

 

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中央《玉ハベル》 江戸時代または第二尚氏時代 18~19世紀/左右《玉ダスキ》江戸時代または第二尚氏時代 18~19世紀 いずれも東京国立博物館蔵

 

 

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重要文化財《斎場御嶽(せーふぁーうたき)出土品》第二尚氏時代 17~18世紀埋納 沖縄・南城市教育委員会※三庫理入口より奥は一般の参拝や見学の方は立ち入りの制限をしています

 

そして、最終章の第5章「未来へ」では、これまでの困難を乗り越え、その歴史を未来につなげていく沖縄の道のりと今後について、首里城の復活を中心に紹介していきます。

 

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上原俊展、高田明 《模造復元 美御前御揃(ぬーめーうすりー)(御玉貫(うたまぬち))》平成30年度(2018)  沖縄県立博物館・美術館蔵

 

 

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《大龍柱(旧首里城正殿前)》第二尚氏時代 康熙50年(1711) 沖縄県立博物館・美術館蔵

 

古琉球時代よりアジア各国と交易し、繁栄していた琉球そして沖縄の歴史がよくわかる展覧会です。

 

そして、展覧会後のショップもおたのしみ。このところ、さまざまな展覧会場に登場するサンリオキャラクターズたちがまずお出迎え。シナモロールのシナモン、ポムポムプリンのプリン、そしてハローキティの展覧会特製ぬいぐるみです。

 

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サンリオキャラクターズ「ボールチェーンぬいぐるみ」各2,200円(税込)

 

物産展なみに充実した沖縄食材の取り揃えもうれしい!

 

 

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ずらりとならぶ沖縄食材

 

やちむん(沖縄の焼き物)も充実。ぽってりした質感は沖縄ならではのかわいらしさです。

 

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第二の展覧会といってもいいくらい充実したミュージアムショップでは沖縄の「いま」も楽しめます。お買い物の時間も考慮して鑑賞してみてくださいね!

 

 

沖縄復帰50年記念 特別展「琉球」
会期 2022年5月3日(火・祝)~6月26日(日)
開室時間 9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
会場 東京国立博物館 平成館
観覧料(税込) 一般2,100円、大学生1,300円、高校生900円
※本展は事前予約不要ですが、混雑時は入場をお待ちいただく場合があります
※中学生以下、障がい者とその介護者1名は無料。入館の際に学生証、障がい者手帳等をご提示ください
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/ryukyu2022/(外部サイトへリンクします)
問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)

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