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2022.03.07特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」内覧会レポート

美しくきらめく宝石は、昔から世界中で珍重されてきました。2月19日より、国立科学博物館で開催されている特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」は、時代を超えて人々の心を引きつける宝石を多角的な視点で見つめる展覧会です。内覧会の模様をレポートします。

 

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高さ約2.5mの巨大なアメシストドーム

 

古代より地位を表すシンボルとして、ときには呪術的な意味合いを持つものとして、そして、現在では宝飾品として、宝石は幅広く親しまれてきました。この展覧会では原石からジュエリーまで、科学、文化の両側面から宝石を紹介していきます。鉱物好きの方も、ジュエリー好きの方もどちらも楽しい展覧会です。

展覧会は5章立て。第1章「原石の誕生」では宝石の原石が生まれる理由を紐解いていきます。宝石の原石は、大部分がマグマや高圧、高温など、地上では再現できない激しい環境のもと、地球の地下深く生まれます。この章では、火山から生まれたペリドットや、熱水脈近くで生まれるバイライトなど、原石の姿を展示し、その誕生のプロセスも紹介していきます。

 

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バイライト 鉱物名:黄鉄鋼 米国 カリフォルニア州産 群馬県立自然史博物館所蔵

 

そして、この章の見どころの一つが、ブラジルの溶岩台地から掘り出された高さ約2.5mの巨大アメシストドームです。その大きさはもちろん、細部の美しさも必見。ぜひ実際の目で確認してみてください。

 

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アメシストドーム(部分) 鉱物名:石英 ブラジル産 ミュージアムパーク茨城県自然博物館所蔵

 

宝石は原石の形を整え、研磨することで美しさが引き出されていきます。この加工工程全体を「カット」と呼びます。カットは、原石の大きさや品質に劣らないほど宝石の評価を左右するものです。第2章「原石から宝石へ」では、このカットについて詳しく紹介していきます。

現在、宝石のカットスタイルは数十万を超えるパターンがあると言われています。けれども、ベースになっているのは7種類のみ。つまり、この7種類のカットを覚えておくと、これからの宝石鑑賞がよりいっそう楽しくなってくるのです。

 

 

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代表的な7種類のカットスタイル 諏訪貿易所蔵

 

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ダイヤモンドのカット工程

 

この章では、宝石のさまざまなカットの種類や技法を紹介するほか、国立西洋美術館から特別出品されている「橋本コレクション」約200点の指輪を時代順展示し、宝石のカットの変遷をたどります。

 

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「橋本コレクション」の一部 国立西洋美術館蔵

 

時代によって大きくかわるカットの変遷をしっかりとたどってみてください。

続く第3章「宝石の特性と多様性」では、ダイヤモンドやサファイア、ルビーなど古来から知られている宝石から、フォスフォフィライトやスフェーンなど近年注目が集まる宝石まで200種類を超える宝石を展示します。

 

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展示風景より さまざまなトルコ石

 

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展示風景より 巨大宝石

 

また、本章では、小部屋を設置しソーダライトやルビー、カルサイト(方解石)など、紫外線を当てると発光する宝石を展示します。暗闇で光る様子は非常に神秘的!

 

 

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展示風景より 普通の石に見えるものの......

 

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展示風景より ブラックライト(紫外線)をあてると輝き出す宝石

 

そして、いよいよ展示はジュエリーの世界へ。
第4章「ジュエリーの技巧」では、宝石を貴金属に取り付ける「仕立て」の技術を主に紹介していきます。美しくカットされた宝石は、その美しさを引き立てるため、ゴールドやプラチナなどの台座、そしてその台座に固定させるための技術が必要不可欠。これらのプロセスは宝石のカットと同様、たゆまず進化を続けてきています。

この章ではパリに本拠地を構えるヴァン クリーフ&アーペルや、兵庫県・芦屋のジュエリーブランド、ギメルのコレクションなどを紹介していきます。

 

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ネックレス ヴァン・クリフ&アーペル所蔵

 

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ダイヤモンド ネックレス、向日葵 ブローチ(2点) ギメルトレーディング所蔵

 

そして、第5章「宝石の極み」では、これまでの章を踏まえ、より美しく輝く宝石の勢揃い。まばゆいジュエリーが並ぶ空間は必見です。

本章では世界的な宝飾芸術コレクターとして知られている有川一三のコレクションから、古代メソポタミア時代から最先端のジュエリーまでまざまな宝飾品が展示されます。

 

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英国王ジョージ5世第1王女にしてハーウッド伯爵夫人メアリー旧蔵ゴールドのネセセール 1825年頃 個人蔵 協力:アルビオン アート・ジュエリー・インスティチュート

 

 

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50's ブルガリ サファイアとルビーのムガール・スタイルのネックレス 1950年頃
アルビオン アート・コレクション所蔵

 

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手前:アール・デコ ラウロッシュサウ マルチジェムのエジプシャン・ブレスレッド

 

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左 アール・ヌーヴォー フーケ&ミュシャ作 コルサージュ・オーナメント 1900年頃 フランス 個人蔵 協力:アルビオン アート・ジュエリー・インスティチュート
右 アール・ヌーヴォー ブシュロン作 ダイヤモンドとブリカジュール・エナメルの蝉のブローチ 1895年頃 フランス 個人蔵 協力:アルビオン アート・ジュエリー・インスティチュート

 

ジュエリーは、細部まで工夫を凝らされているものばかり。どの作品も小さいため、職人の細やかな細工仕事を確認したい場合は、拡大してジュエリーを見られる単眼鏡などを持参していきましょう。

 

そして、この展覧会はショップのオリジナルグッズも見逃せません。

 

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特別展「宝石×ハラペコラボ」こうぶつヲカシ 3,024円(税込)

 

「特別展「宝石」×宝石×ハラペコラボ」こうぶつヲカシは宝石をモチーフにした琥珀糖。この展覧会で展示されている宝石のなかから8種類を選び、美しいお菓子として販売します。アメシスト(ブルーベリー・シャンパーニュ・黒ごま)、トパーズ(カラメル・黒ごま・シャンパーニュ)、トラピチェエエメラルド(ラ・フランス・シャンパーニュ)スピネル(カシス)のAセットと、ベニトアイト(ミント・黒ごま・シャンパーニュ)、レッドペリル(ラズベリー・黒ごま・シャンパーニュ)、スピネル(ピーチココナッツ)、ロッククリスタル(シャンパーニュ・黒ごま)からなるBセットの2種類。どちらも本物の宝石のような美しさがあります。

 

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「Liquemリボンブルーム ピアス」3, 960円(税込)

 

「身につける女性の気分が高揚するようなアクセサリー」がコンセプトの人気アクセサリーブランド「Liquem」のリボンブルームのピアス、リング は本展限定カラーで先行販売中です(イヤリングは品切れ)。小さいながらも存在感のある可憐なデザインです。

その他にもショップでは展覧会オリジナルグッズが充実しています。展覧会が終わったあと、しっかりお買い物も楽しみましょう!

 

 

特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」
会期 2022年2月19日(土)~6月19日(日)
開室時間  9:00~17:00(入室は16:30まで)
休室日 月曜(祝日の場合は翌火曜日休館)※ただし、3月28日(月)、5月2日(月)、6月13日(月)は開館
会場 国立科学博物館 地球館地下1階 特別展示室
観覧料(税込) 一般・大学生2,000円、小・中・高校生600円
問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)
※本展は日時指定予約制です。詳細は展覧会公式サイトをご確認ください
https://hoseki-ten.jp(外部サイトへ移動します)

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