2018.02.10第二弾モノづくりから上野を知る!その6

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上野の魅力をモノづくりの側面から知るべく、台東区のモノづくりに関わりのある方々にお話をお伺いに行きました。
今回は、大阪を拠点にしながらも、台東区のクリエーターの方々とも交流が深いUNISON(ユニゾン)の中川信幸代表にお話を伺いました。

 

<山田>松坂屋上野店地下1階パルコヤ側・【上野が、すき。ステーション】内の売場「あなとって」は、Miutt(ミュート)の商品を中心としたセレクトショップを初めて企画したと聞いておりますが、売場名でもある「あなとって」は、どんな商品を販売しているお店なのでしょうか。
<中川さん>取り扱っている商品は、スカーフや傘、アクセサリーと様々ですが、共通点は、日本製にこだわったものづくりをしているという事です。そもそもMiuttというブランドは、UNISONというインクジェットプリント加工を得意としている会社から生まれたブランドです。インクジェットプリントは、頭の中で想像した柄をアウトプットできる画期的な技術です。この素晴らしい技術をもっと世の中に広めるには、実際にモノを製作してどのような仕上がりか見てもらわないと良さが伝わらないために見本として“スカーフ”を製作しました。次第に染める技術と共にスカーフが好評となったためにインクジェットプリントを使うブランドとして、デザイナー榮川真帆が1人で全ての絵柄を描くMiuttを立ち上げました。「あなとって」の売場では、Miuttだけではなく、Miuttがセレクトしたクリエイターや企業様の商品も販売できるように、「あなとって」という特別な名前ののれんの売場にしました。

 

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上野が、すき。ステーション 「あなとって」売り場

 

<山田>Miuttというブランドの由来はなんでしょうか。
<中川さん>デザイナーが絵柄を描く際に考えている世界、伝えたい思いがこもった名前で、Miuttは、『無音』を表すミュートの響きからつけた造語です。誰もが持っている心の奥底にある、静寂で穏やかな場所には眠った力を秘めていると思います。自分にしか見えない力や魅力に気づいて今よりも元気に笑顔に慣れますようにという思いも込めて決めました。また、先ほどもお伝えしましたが、インクジェットプリントは、想像した柄をそのまま印刷ができることが特徴ですので、自分にしかない魅力を表現する方法としてぴったりだとも考えています。

 

<山田>UNISONの本拠地は大阪とのことでしたが、台東区に進出したきっかけを教えてください。
<中川さん>進出するきっかけは特にコレ!というものではなく、台東区で活躍する作家さんやブランドさんとのつながりは、モノづくりを通して自然にできました。展示会でたまたま隣で出展していて出会った方や、プリントに興味を持って頂いた作家さんなど、出会いは様々な形でしたが、みんなモノづくりが大好きという事ですぐに仲良くなりました。クリエイターの多くは、アクセサリーや革のバッグなどインクジェットプリントを使わないクリエイターがほとんどでしたが、本業としてインクジェットプリントを知ってもらいたいと思いがありましたし、私の中で若手のクリエイターを育てたいという思いもあったため協力しました。インクジェットプリントを利用したクリエイターは、今までの自分が作るモノ以外の分野にも携わることができ、ものづくりの幅を広げる事が出来るのではないかと考えました。実際に、Miuttのお財布は台東区で活躍されているブランドさんとのコラボ商品となっております。

 

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インクジェットプリントを利用した商品

 

<山田>関西からみた上野の印象はどうでしたか。
<中川さん>台東区は、ものづくりの原点の場所で、デビュー前の若手クリエイターにとっては仕事しやすい環境だと思います。台東区のようにものづくりの環境が整っているところは他にありません。浅草橋に行けば材料が買える問屋がありますし、ビジネスを教えてくれるインキュベーション施設もあります。若手のクリエイターは、台東区で経験を積んでデビューした方が成長しやすいと思います。逆にそれだけ厳しい環境とも言えますが。

 

<山田>台東区はものづくりの環境が整っているとのことでしたが、まだ足りないところなどはありますか?
<中川さん>不十分な点とすれば、販売場所がなかったことです。今までは、外のイベントなどで販売することが多く、皆さんも似た悩みをお持ちだと思います。そのため、常時6ブランドほど展開している松坂屋上野店地下1階パルコヤ側の【上野が、すき。ステーション】はクリエイターの悩みを少し解決した売場だと思います。しかし、まだ売場としての実力が発揮されておらず、売場を知らない方がほとんどでしょう。松坂屋上野店とものづくりクリエイターそれぞれが情報を発信し続けることで、売場とそれぞれブランドの認知度が広がっていくと思います。

 

<山田>上野御徒町エリアの今後の展望について教えてください。
<中川さん>上野エリアは、ものづくりとしての知名度は高く、ものづくりの街として認知されているからこそ、もっと発信していってほしいですね。しかし、お客様からまだ上野=下町と思われているから、難しい言い方だけど「おしゃれ」な街になってほしいと思います。

 

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インクジェットプリントを利用した商品

 

【編集後記】
モノづくりを目指す若手クリエイターを応援し、関東・関西という枠を飛び越えて、後継者不足で衰退し始めているモノづくりの現実を真摯に受け止め、日本の技術や伝統を後世に伝えていきたい、台東区にモノづくり産業を成長させて有名になってほしいという想いが込められているように感じました。

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