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街を歩けば、ハンディファンをもって風を浴びる人々。
あつ〜い夏を乗り切るためにひんやりグッズが手放せません。多種多様なひんやりグッズ が溢れるなか、自身の腕や手を使って風力を生み出す扇子やうちわはもはやエコグッズとして題されることも多くなった今日。
そんな夏の涼・扇子の原点は、なんと風を仰ぐものではなかった?
人形や文具、玩具の問屋街として知られる浅草橋エリアにお店を構える、大正 3 年創業の扇子・うちわ専門店「松根屋」店主 山本さんにお話を伺いました。
画家柏原晋平氏とのコラボ扇子。毎年干支が描かれます。
扇子のはじまりは平安時代にまでさかのぼります。
「木簡(細長く薄い木の板)を綴じ合わせたものが原点。ノートやメモの代わりに記録をするものとして使われていたことが物的証拠として残っています。それから扇には絵が施されるようになり、風神雷神図屛風で知られる江戸時代の絵師、俵屋宗達も、扇絵を描いていたそうです。」
今では“仰ぐ”ものとして使われることが一般的な扇子が“記録をするもの”として使われていたとは驚き。扇子は、歴史や文化の変化によって用途が変化しているのです。
松根屋さんにお取り扱いのあるうちわは、主に 3 種類。
うちわは各工程を異なる職人さんが手掛けている分業制。1 つ 1 つ丁寧に作られた美しいうちわの数々が店頭に並んでいます。
「京うちわ」
こちらは、京都の「京うちわ」
差し柄(さしえ)と呼ばれる柄をうちわ面に組み合わせる構造になっているのが特徴。うちわ面は、細い竹が放射線状に並んでいます。
「丸亀うちわ」
お次は、香川の「丸亀うちわ」。
大きな竹を平たく削った平柄(ひらえ)で作られています。
「房州うちわ」
最後は、千葉県の「房州うちわ」
館山の伸びが良く良質な竹を利用した丸柄(まるえ)が特徴です。
各産地でとれる竹の特性を生かした作りになっているのが大きな違い。 持った時の感触、仰いだ時の風の感じ方それぞれ実際に試して自分好みのうちわを見つけたいものです。
見上げると...
「100 周年を迎えて、店内をリニューアルしました。」
ウッド長のディスプレイで落ち着く空間を照らす扇形の照明が目を引きます。この照明は、 店外にある扇形の「丸ヤ」マークから店内に続くように設計されており、外から内に続くシルクロードをイメージした縁起の良いオリジナルのもので、来店時には必見です。
「松根屋は、質の良い日本製の扇子・うちわにこだわっています。今の時代、機械技術が発展し、大量生産が出来るようになり、それなりに良いものが手の届く価格で買えるようになりました。しかし、何百年と歴史を繋いできた技術と文化は日本の誇りです。日本の伝統工芸品を海外に広く伝えていきたいと思います。」
ポリ製の扇子やうちわは手軽に手に入るようになりましたが、やはり伝統工芸品のもつ繊細
な美しさや精緻な技術は、別格。思わず心を奪われます。手を取ったとき、この素晴らしい 日本の文化を未来に繋げたいと思いました。
日々の暮らしを彩る伝統工芸品、自分へのご褒美や大切な人への贈り物にいかがでしょうか。
松根屋
住所 台東区浅草橋2丁目1−10
松根屋ビル営業日 日曜・祝祭日
https://matsuneya.jp/(外部サイトへリンクします)