2015.02.25Special Interview「上野の魅力と未来像」

[第1回:上野をつなぐネットワークとして]
●上野観光連盟会長 二木 忠男さん
●上野観光連盟事務総長 茅野 雅弘さん
●聞き手 佐藤 輝光(松坂屋上野店)

 

発足から70年近い歴史を持ち、上野地区全体の発展を支える役割を担う、上野観光連盟。
上野の歴史と伝統と文化を世界に伝え、上野地区のさらなる発展のために尽力されている会長の二木忠男さんと事務総長の茅野雅弘さんに、変わりつつある上野の魅力と未来像について、お話を伺いました。
※上野観光連盟公式サイトは、こちら

 

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※写真(左から、二木会長、茅野事務総長、観光連盟キャラクター「リーリー」と佐藤編集長)


■“山”と“街”の一体化をめざして

 

佐藤:上野東京ラインの開業など、上野を取り巻く環境も変わりつつありますが、上野観光連盟および全整協(上野駅周辺全地区整備推進協議会)の会長として上野地区を観光と環境の両面から支え、その発展に尽力されている二木会長に、いろいろとお話を伺えればと思っています。よろしくお願いします。

 

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熱く語る、二木会長

 

二木:上野観光連盟は、もとを遡ると、前身は昭和22年に発足した上野鐘声会です。戦災で焼けた上野の山に桜の木を植えようと、地元有志が桜1,250本を寄付したのが、そもそもの始まりです。商店街連合会をはじめ、アメ横を含めた上野地区のネットワークとして会員1,400名程でスタートし、地域全体を束ねる役割を担いながら、70年近い活動の歴史を有しています。昭和47年に日中国交正常化によって最初のパンダが来た時も、イベントやキャンペーンを主催したのは観光連盟です。上野恩賜公園を中心に、公園で憩いの時間を過ごして商店街で買い物をしてもらう、そういう“山”と“街”の一体化をめざしています。もちろん、その真ん中には上野駅があるので、駅との連携も大切にしながら、
上野地区一帯の発展のために活動しています。


■上野の発言力

 

佐藤:上野には東京国立博物館や国立西洋美術館、国立科学博物館など、多彩な文化施設が集まっていて、その一方で商業施設も充実しています。こういう場所というのは、なかなかないと思いますが。

 

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上野地域(上野観光連盟サイトより)

 

二木:ないですね。駅ビルに直結した商業施設はあっても商店会組織がないんです。上野の場合は、全整協という会があって月1回会議を行っています。街で何かする場合には、必ず全整協に申告することになっていて、JRも例外ではありません。この一帯で工事をする場合、防音・防災面で、申し出なければならないですし、鉄道のダイヤ変更ですら申告の対象です。新宿や池袋でも、そういう組織はありません。それだけに、JRも上野には一目置いていて、会議に出席するなど、いろいろな面で関わりを持っています。たまたま私が両方の会長をやっていますが、観光連盟と全整協というそれぞれ役割を持った組織があることで、街全体としての発言力が増しているということは言えるでしょう。もちろんその背景には、上野の歴史・伝統・文化という確たるものがありますからね。そういう強みがあるというのは大きい。地域としてこれだけまとまっているのは希なケースだと思います。私自身はやれるところまでやって、次の人にバトンタッチしようと思っています。それまでにベースをつくる。
“3つのP”がないと、なかなかできないですね。

 

佐藤: “3つのP”って、どういうことですか?

 

二木:一つは「ポリシー(POLICY)」。つまり、しっかりした政策です。2つ目は「パーソナリティ(PERSONALITY)」。これは人の良さ。みんなボランティアですから、仲よくやらないとね。最後は「パッション(PASSION)」。上野を何とかしようという情熱がないとできない。その3つのPが基本にあります。観光連盟は歴史のある会なので、その時代時代に何かを残すということを続けていくべきですし、そういう責任を負っている会だと思います。私も2020年のオリンピックまでは会長を続けるつもりですが、まあ、それくらいまででいいかなと(笑)。

<つづく>

 

 

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