2014.09.10Special Talk上野の桜を守る人々

[第1回/上野の宝を守る、桜守たち]


●上野桜守の会
・運営委員長/木村 雄二さん(しゆう株式会社)
・事務局長/佐藤 一也さん(有限会社みはし)


●聞き手
・佐藤 輝光(松坂屋上野店)

 

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■上野の桜を愛する人たち、集まる

 

上野という街は、魅力的なコンテンツが溢れていると思いますが、ストレートに“上野って、何?”というと、やはり桜とパンダになるだろうと。特に桜は、上野の宝であり、その宝を守り育てている方たちがいらっしゃるということで、今回、お二人にお話を伺おうと考えた次第です。本日はよろしくお願いします。まず、上野桜守の会がどういう会なのかということからお訊きしたいと思います。
木村:会としては、9年目を迎えており、創設は、ちょうど上野公園開園130年の年の2006年です。会には、地元の住民の方や商店の方、ボランティアに協力していただいている活動会員、そして、協賛金や資材提供にご協力いただいている協賛会員の方が参加されています。

 

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桜マップ2014年版


参加資格はあるのでしょうか
木村:上野の桜が好きな人は誰でも入れます。ただし、無条件で名前だけ登録するということにすると、どんどん拡がって名簿の管理ができなくなってしまうので、年間1000円を会費としていただきます。今、50名程の方にご参加いただいていますが、皆さん、熱心な方ばかり。自分だったら、とてもじゃないけど、手を挙げないなと思うくらいです(笑)。


私も佐藤さんからお話を聞いた時に、その場で入りますと即答しました(笑)。具体的には、どういう活動をされているのですか?


木村:3月下旬から4月にかけての花の時期には、4日間程、案内所を設けて、花見客の方に桜の案内を行っています。それと、花が咲いている時にしか、品種の特定ができないので調査をします。花が終わって、葉や枝だけになると、判別が難しいんですね。そして新緑の時期になると、蘖(ひこばえ)、胴吹きといって、根もとや幹、枝の途中から芽が出てくるので、要らない枝を切る作業を行います。それから、マップを頼りに桜を観に来ていただいても何もないと名前もわからないので、樹名板というネームプレートを付けています。我々が活動を始めた当初は、何もなかったので、なるべくお金をかけずに板に書くなど試行錯誤していましたが、都の予算があった時にお願いして付けるようにしました。今は8割くらいに付いています。それ以外には、肥料をやったり、活性剤を入れたり、という活動もしています。本来の管理は東京都の仕事ですから、高いところの枝の剪定などは、公園事務所に任せるなど、役割分担しており、都の予算でできないところを我々が補うという形で活動しています。

 

 

■桜の健康チェック


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※2014年春、上野公園の桜 上野桜守の会ホームページより

 

佐藤:それ以外の活動としては、樹木調査ですね。どこにどんな桜があって、幹などがどのような状態になっているのかを、3年に1度の割合で調査しています。 木村:一応、すべての桜の幹を測定していますが、樹齢50年、60年経った古いものでも、少しずつ太くなっているんですね。だから、その伸び方で、健康度をはかることができるわけです。 佐藤:すべての桜にナンバリングして、管理事務所に保管してある台帳に記載し、更新しています。でも、この3年の間で、1割ほどは枯れてしまいましたね。

 

-枯れてしまった場合は、伐採ですか? 佐藤:台風や雪害で倒れたりするので、桜だけではなく、幹の中が空洞になっている木は倒木する可能性があるので、事前に伐採します。 木村:ここ数年、春の風、秋の台風、大雪などで何本も倒れています。特に台風の時は、危ない。10メートル以上ある木が倒れますから。風が強くて倒れるのですが、根本的な理由は、木の根が傷んでいるからで、それが風という引き金で倒れる。ですから、木の状態を把握しておくことが大切なのです。

 

(次回につづく)

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