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イギリス王室500年の歴史もわかる、肖像画だけの展覧会「ロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリー所蔵 KING&QUEEN展―名画で読み解く 英国王室物語―」が上野の森美術館で開催されています。優雅さ、華やかさに流れる物語も楽しめる展覧会です。
展覧会は章ごとに壁紙の色を変え、時代の変遷をわかりやすく演出しています。こちらはステュアート朝の展示風景
ロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリーは、世界屈指の肖像専門美術館。イギリス王室をはじめ、さまざまな貴族や著名人たちの肖像画を所蔵しています。この展覧会では、その美術館が所蔵する王室の肖像画に焦点を絞り、約90点を展示。
テューダ―朝から現在のウィンザー朝までの肖像画を通して、イギリスの歴史の流れや、王室の描かれ方なども読み解いていきます。
展覧会に先立って行われた内覧会では、展覧会ナビゲーターを務める作家・ドイツ文学者の中野京子さんが、肖像画の見方を解説されました。「肖像画はただ見るだけだと難解ですが、絵に描かれた方がどのような人生を送ったかを知ると、突然生き生きと見えてくる。ここに出てくる子どもたちもいろいろありまして...」と、解説してくれました。彼らがどのようなことになったのかは、会場で実際に確かめてみてください。ちなみに、中央にいる犬をなでている少年は後にチャールズ2世としてイングランドに君臨します。
展覧会冒頭に登場するのは、現在の女王、エリザベス2世。歴史上最も多く肖像画に描かれた人物の一人です。
ピエトロ・アンニゴーニ《エリザベス2世》1969年
会場は時系列順に5章立てで構成されています。「テューダー朝」、「ステュアート朝」を経て現在の王室「ウィンザー朝」まで、それぞれの王や女王、時代のトピックを解説したパネルも充実。イギリスの歴史をあらかじめ予習しておくと、「この人が、あんなことを...!」と展覧会を見る気持ちが盛り上がるはず。
テューダー朝展示風景。左は「九日間の女王」の異名を持つ《レディ・ジェーン・グレイ》(1590-1600頃)、彼女は王位争奪戦に巻き込まれて16歳で斬首されました。右は《エリザベス1世(アルマダの肖像画)》(1588)。スペイン無敵艦隊撃破を記念して制作された肖像画
ステュアート朝展示風景より。ゴドフリー・ネラー《アン女王》(1690頃)。イングランドとスコットランドを統合したことで知られるアン女王も威厳に満ちています
時代が移り変わり、現代に近づいてくると肖像画にも変化が現れてくるのが時代の特徴。とくに、現在のウィンザー朝になると、王室の肖像画や肖像写真からは威厳が少しずつ薄れ、親しみをもたせる構図やムードが構築されていきます。
中央はドロシー・ウィルディング撮影、ベアトリス・ジョンソン彩色《エリザベス2世》(1952年)。エリザベス2世の即位直後に制作されたもの。後方はエリザベス2世即位前に描かれた王室一家の肖像画。アフタヌーンティーを楽しむ家族の肖像画からは、威厳よりも親しみを求める王室の意図がうかがえます
現在も人気のダイアナ妃の肖像写真も数多く展示されています
ブライアン・オーガン《ダイアナ妃》。チャールズ皇太子との婚約を記念して制作された肖像画。現代的な服装の肖像画であることは当時話題となりました
展示される約90点の作品のほとんどが日本初公開。グッズもコンパクトミラーやクリアファイルなどが充実しています。約500年の英国王室の歩みを肖像画でたどる展覧会、高貴な雰囲気をたっぷりと楽しめる展覧会です。
なお、こちらの展覧会は、日時指定制です。また、平日と土日祝で入場料金が異なりますのでご注意ください。当日券は午前10時より会場(チケットボックス)で販売。詳細は公式サイトをご確認ください。
ロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリー所蔵 KING&QUEEN展―名画で読み解く 英国王室物語―
■会期 2020年10月10日(土)~2021年1月11日(月・祝)
■開館時間 10:00~17:00(1月1日を除く金曜日は20:00まで) ※入館は閉館のいずれも30分前まで。ただし、1月1日(金・祝)は17:00まで
■会場 上野の森美術館
■休館日 会期中無休
■入館料
平日 一般1,800円/大学生1,600円/高校生1,000円
土日祝 一般2,000円/大学生1,800円/高校生1,200円
■お問い合わせ 03-5777-8600(ハローダイヤル)