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2021.07.14日本仏教の源流や珠玉の寺宝にふれる特別展「聖徳太子と法隆寺」内覧会レポート

聖徳太子遠忌1400年を記念して開催される特別展「聖徳太子と法隆寺」。
現存する世界最古の木造建築物である法隆寺は、世界文化遺産に登録され建築・美術・文学など日本を代表する文化を今に伝えます。

 

まだ広く知られていなかった仏教の真理を深く追求した聖徳太子。政治の中心的立場となってから、仏教は急速に日本に浸透していきました。本展は、仏教を中心とした国づくりを行った第一人者としての聖徳太子と、その中心地の法隆寺を珠玉の寺宝などを通して知ることができる大規模展覧会です。

 

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「聖徳太子二王子像(模本)」 江戸時代・天保13年(1842) 東京国立博物館所蔵
中央は聖徳太子、左は弟の殖栗(えぐり)王、右は息子の山背大兄王(やましろのおおえのおう)

 

第1章は「聖徳太子と仏法興隆」。日本への仏教受容を巡った戦で蘇我氏が勝利し、仏教が百済から伝来。やがて国内でも仏師による金銅仏などの仏像が造られるようになっていきました。その最初期につくられた日本仏教の美術品や、聖徳太子ゆかりの品が紹介されています。

 

 

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「如来坐像」 飛鳥時代(7世紀) 東京国立博物館所蔵 ※展示期間は8/9まで
日本の金銅仏のなかで最古級とみられる

 

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「菩薩立像」 飛鳥時代(7世紀) 法隆寺蔵

飛鳥時代前期を代表する名品で法隆寺金堂の釈迦三尊像の両脇侍とよく似ている

 

第2章は「法隆寺の創建」。法隆寺が創建された年は遣隋使の派遣と同年であり、冠位十二階や十七条憲法が制定された後となる時代の転換期でした。

 

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「十七条憲法版木」 鎌倉時代 奈良・法隆寺蔵

 

"仏法興隆"を願い名付けられた「法隆寺」。その儀式の場で用いられた多くの仏具や伎楽面(ぎがくめん)が主に紹介されている他、かつてあった西院の金堂や五重塔の出土品も展示されています。

 

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「法隆寺印」 飛鳥~奈良時代(8世紀) 東京国立博物館蔵
印は飛鳥時代以降に使用されたといわれ、本品は現存する最古級の国産印だという

 

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右「軒丸瓦・軒平瓦(西院伽藍金堂所要)」 /左「軒丸瓦・軒平瓦(西院伽藍五重塔所要)」 飛鳥時代(7世紀) 奈良・法隆寺蔵画像

 

「天寿国繍帳」 飛鳥時代・推古天皇30年(622)頃 奈良・中宮寺蔵 ※展示期間は8/9まで
聖徳太子の没後、往生した太子の姿を見たいと妃が願い、推古天皇の命によってつくられた刺繍のとばり

 

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左「伎楽面 崑崙」/右「伎楽面 呉女」 飛鳥時代(7世紀) 東京国立博物館蔵 ※展示期間は8/9まで
伎楽は推古天皇20年(611)に百済から帰化した者が伝え、少年を集めて習わせたという

 

第3章は「法隆寺東院とその宝物」。東院は太子が住んだ斑鳩宮の跡地に建てられた、太子信仰の聖地です。

 

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「行信僧都坐像」 奈良時代(8世紀) 奈良・法隆寺蔵
行信は荒廃していた斑鳩宮跡に東院伽藍を興した。写実的な奈良時代の肖像彫刻の傑作

 

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「阿弥陀如来および両脇侍像」 奈良時代(8世紀) 奈良・法隆寺蔵
法隆寺東院の伝法堂に安置される阿弥陀三尊像。頭部が小さく均等の取れたプロポーションなど、奈良時代の典型が示されている

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「蓮池図屏風」 鎌倉時代(13世紀) 奈良・法隆寺蔵 ※展示期間は8/9まで
中国・宋時代以降に定型化した「蓮池水禽(すいきん)図」を日本で写した現存最古の作例の一つといわれる

 

さらに東院伽藍にまつわる華やかな法要で使われた、平安時代以降の儀式用具にも注目。

 

 

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「舎利神輿」 室町時代(15~16世紀) 奈良・法隆寺蔵
聖徳太子の忌日に行われる「聖霊会」は10年に一度「大会式(だいえしき)」として行われ、舎利を乗せて移動する現役の神輿

 

第4章は「聖徳太子と仏の姿」。平安時代には聖徳太子を救世観音の生まれ変わりとみる信仰が誕生し、太子信仰はさらに大きくなっていきました。その代表作が「聖徳太子および侍者像」。

 

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「聖徳太子および侍者像」 平安時代・保安時代(1121) 奈良・法隆寺蔵
中央が聖徳太子、両脇の侍者はユーモラスな面持ちなのが特徴

 

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摂政姿で厳かな面持ちの聖徳太子像

 

聖徳太子の500年遠忌に制作され、通常拝観できない秘仏本尊が27年ぶりに寺外に公開されました。その他、幼少期からのさまざまな太子像も見ものです。

 

 

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「聖徳太子立像」 鎌倉時代(13世紀) 奈良・成福寺蔵
聖徳太子の葦垣宮(あしがきのみや)の旧跡と伝わる成福寺の本尊で、16歳と伝わる

 

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「法華曼荼羅」 平安時代(12世紀) 奈良・法隆寺蔵 ※展示期間は8/9まで
平安時代以降、法隆寺で密教化が進んだことと関わる作例とみられる

 

第5章は「法隆寺金堂と五重塔」。世界遺産に登録される木造建築の金堂と、日本最古の塔である五重塔ゆかりの仏像が多数並び荘厳な世界が展開されます。室内に足を踏み入れると、守護神・四天王立像二像が圧倒的な存在感。

 

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左「四天王立像 広目天」/右「四天王立像 多聞天」 飛鳥時代(7世紀) 奈良・法隆寺蔵
金堂に安置され、現存する日本最古の四天王。後世の邪鬼を踏みつけ威嚇的な四天王とは異なる穏やかな作風

 

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「薬師如来坐像」 飛鳥時代(7世紀) 奈良・法隆寺蔵
金堂東の間の本尊。微笑みを浮かべた神秘的な顔立ち、台座にかかる文様や形など飛鳥時代の様式美を示す

 

 

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「伝橘婦人念持仏厨子」 飛鳥時代(7~8世紀) 奈良・法隆寺蔵

上の画像の厨子は漆画を施され、下の画像の阿弥陀三尊像を安置し一具となっていた。阿弥陀三尊像は曲線がひときわ美しく、精緻につくられた傑作

 

展覧会場を抜けると、グッズ売り場へ。クリアファイルやマスクケース、一筆箋などが多数並びます。

 

 

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聖徳太子の愛犬といわれる雪丸グッズも

 

 

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「和を以て尊しとなす」と説き、法隆寺を中心に仏教をもって国の安寧を願った聖徳太子。今に伝わる数々の寺宝を通して太子の偉大な功績にぜひふれてみてください。

 

聖徳太子1400年遠忌記念 特別展「聖徳太子と法隆寺」
会期 2021年7月13日(火)~9月5日(日) ※会期中、展示替えあり
時間 9:30~17:00
休館日 月曜(ただし、8月9日は開館し、8月10日(火)は休館)
会場 東京国立博物館 平成館
料金(税込) 一般2,200円、大学生1,400円、高校生1,000円
問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)
※本展は事前予約制です。詳細は下記展覧会公式サイトをご確認ください
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/horyuji2021/index.html(外部サイトへリンクします)

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