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2021.09.27世界最大のゴッホコレクターが愛した数々の作品「ゴッホ展━響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」内覧会レポート

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本展ではオランダにあるクレラー=ミュラー美術館が所蔵するゴッホの油彩画28点と素描・版画20点、さらに近代絵画の作品20点も展示。ファン・ゴッホ美術館所蔵の油彩画4点も合わせて展示されます。ゴッホが画家を目指し始めたオランダ時代から晩年のサン=レミ時代までを網羅し、充実した展示内容となっています。

 

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左/フローリス・フェルステル《ヘレーネ・クレラー=ミュラーの肖像》1910年 クレラー=ミュラー美術館蔵


右/フローリス・フェルステル《H.P.ブレマーの肖像》1921年 クレラー=ミュラー美術館蔵

美術批評家のヘンク・ブレマーの講義をきっかけに、世界最大の個人収集家となったオランダのヘレーネ=クレラー・ミュラー。ゴッホの没後、彼の作品に宿る深い精神性や人間性を感じ取り、まだ評価の途上にあった20年間で90点を超える油彩画と約180点におよぶ素描・版画を収集しました。収集にあたり、早くからその公開と継承を意識していたといいます。

その後、クレラー=ミュラー美術館を開館し、現在ではファン・ゴッホ美術館に次ぎ、世界で2番目の規模でファン・ゴッホのコレクションを有しています。

 

 

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クレラー=ミュラー夫妻が購入したゴッホ作品の詳細が時系列でまとめられています

 

ヘレーネは後世に伝えるため、ゴッホのみならず近代絵画のミレー、ルノワール、スーラ、ルドン、モンドリアンらも収集。特に熱心なのは19世紀半ばから1920年代の作品です。

 

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アンリ・ファンタン=ラトゥール《静物(プリムローズ、洋梨、ザクロ)》1866年 クレラー=ミュラー美術館蔵

 

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ピエール=オーギュスト・ルノワール《カフェにて》1877年頃 クレラー=ミュラー美術館蔵

 

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ピート・モンドリアン《グリッドのあるコンポジション5:菱形、色彩のコンポジション》1919年 クレラー=ミュラー美術館蔵

 

ゴッホは画家になることを決意し、故郷のオランダでジャン=フランソワ・ミレーなどの版画作品や教本の素描見本を模写。のちには人物画家を目指し農作業や手仕事をする人物の素描を始めます。そしてバルビゾン派やハーグ派に影響を受けてからは、暗い色調を用いているのが特徴です。

 

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フィンセント・ファン・ゴッホ《砂地の木の根》1882年4-5月 クレラー=ミュラー美術館蔵

 

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フィンセント・ファン・ゴッホ《森のはずれ》1883年8-9月 クレラー=ミュラー美術館蔵

 

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フィンセント・ファン・ゴッホ《白い帽子を被った女の顔》1884年11月-1885年5月 クレラー=ミュラー美術館蔵

 

それからゴッホは、画商である弟のテオが住むパリへ。前衛芸術家たちと付き合うようになり、大いに刺激を受けていきます。印象派、新印象派の作品や浮世絵版画、アドルフ・モンティセリの作品などに出会い、それまでの作風から一気に変わっていきます。

 

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フィンセント・ファン・ゴッホ《レストランの内部》1887年夏 クレラー=ミュラー美術館蔵

 

光と色彩の南仏・アルルへ移ると、さらに表現を進化させ「ひまわり」をはじめ、数々の名画も生み出しました。特に南仏の明るい空の青と、燃えるように鮮やかな太陽の色彩である黄色の組み合わせに熱心に取り組んだそう。希望に満ち溢れてボール・ゴーガンと共同生活をはじめたものの、わずか2ヶ月で破綻してしまいます。

 

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フィンセント・ファン・ゴッホ《糸杉に囲まれた果樹園》1888年4月 クレラー=ミュラー美術館蔵

 

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フィンセント・ファン・ゴッホ《種まく人》1888年6月17-28日頃 クレラー=ミュラー美術館蔵

 

 

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フィンセント・ファン・ゴッホ《黄色い家(通り)》1888年9月 ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵

 

激しい発作に度々襲われたゴッホは、治療するためにサン=レミ郊外にある療養院に自ら入院。体調が優れた日には花が咲き誇る療養院の庭や周囲の田園風景を描きました。
退院すると、北仏のオーヴェール=シュル=オワーズに移り住み、より自由な筆遣いで作品を描き上げていきます。「ひまわり」と並び熱心に描いた「糸杉」は、ゴッホにとって特別な思い入れのあるモチーフです。

 

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フィンセント・ファン・ゴッホ《サン=レミの療養院の庭》1889年5月 クレラー=ミュラー美術館蔵

 

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フィンセント・ファン・ゴッホ《悲しむ老人(「永遠の門にて」)》1890年5月 クレラー=ミュラー美術館蔵

 

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フィンセント・ファン・ゴッホ《夜のプロヴァンスの田舎道》1890年5月12-15日頃 クレラー=ミュラー美術館蔵

 

ゴッホは「100年後を生きる人々の心にも届く作品を」と、画業わずか10年で魂を尽くして描きました。生前に売れたの作品はわずかでも、弟のテオは常に彼を理解し金銭的な支援を続けますが、ゴッホの死を受け、後を追うように半年後に他界。テオの意思を継いで、彼の妻と息子は莫大な作品を管理し、紹介していきました。

 

そしてヘレーネは世界に先駆けてゴッホ作品を常設で展示し、それによって世に広く知られるきっかけともなりました。
本展を通して、100年を超えて現世に伝わる作品の数々から、ゴッホの魂とそれに共鳴したヘレーネの功績に触れることができます。

 

展覧会会場を後にすると、目移りしてしまうほどバラエティ豊かなグッズが販売されています。コラボも多数あり、見ているだけでワクワクします。プレゼントとしても喜ばれそうです。

 

 

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展示されている作品のポストカード

 

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人気キャラクター「シナモロール」とのコラボグッズ

 

 

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人気イラストレーター「ニシクボサユリ」とのコラボグッズ

 

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ファイル類や缶バッジも

 

 

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《夜のプロヴァンスの田舎道》や《黄色い家(通り)》がプリントされた九谷焼の皿やマグカップ


この秋は、ゴッホ展で数々の名画に触れて、日常にもアートを取り入れてみませんか。

 

ゴッホ展━響きあう魂 ヘレーネとフィンセント
会期 2021年9月18日(土)~12月12日(日)
開室時間  9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
休室日  月曜 ※ただし9月27日(月)、11月8日(月)、11月22日(月)、11月29日(月)は開室
会場 東京都美術館 企画展示室
観覧料(税込) 一般2,000円、大学生・専門学校生1,300円、65歳以上1,200円
※本展は日時指定予約制。詳細は下記公式サイトをご確認ください。
※高校生以下無料(日時指定予約が必要です)
※オンライン・プレイガイドでの購入が難しい方を対象に東京都美術館チケットカウンターにて当日券を販売。ただし、来場時に予定枚数が終了している場合があります。
問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)

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