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こんにちは、岩倉高等学校放送部の三好です。部員5名で上野公園内にある「国立科学博物館」に行ってきました。
国立科学博物館
実は国立科学博物館の施設は、複数個所あります。それは、東京都港区の附属自然教育園、茨城県つくば市の筑波研究施設と筑波実験植物園、そして上野にあるこの施設です。高校生にとっての国立科学博物館という視点で、学校連携担当の田村さんにお話しを聞きました。
【質問・中原】
博物館はいつ開業しましたか。
【田村さん】
創立は1877年(明治10年)で、設立されて今年で141年になります。大変長い歴史があります。
【質問・近藤】
博物館の特徴はどこにありますか。また、展示物の構成はどのようになっていますか。
【田村さん】
日本館と地球館の2つに分かれています。日本館は、地上3階から地下1階まであり、「日本列島の自然と私たち」をテーマに展示しています。さらに、日本館の建物を上空から見ると飛行機の形をしています。理由としては、昭和6年、当時の科学技術の象徴であった飛行機型のデザインをしています。地球館は、地上3階から地下3階まであり、「地球生命史と人類」をテーマに展示しています。また、展示物の構成としては、茨城県のつくば市にある筑波研究施設の研究員の方達と相談して行っています。また、つくばには大きな収蔵庫があって、展示していない膨大な標本を収蔵できるところがあります。展示標本などは、研究者が中心となって作製しています。
【質問・小林】
高校生向けの企画行事があると聞きましたが、どのようなものがありますか。
【田村さん】
大きく分けて2つあります。1つは、高校生による特別展のプレス内覧会の取材をしていただいて、それで学校新聞を作成していただくもの。そしてもう一つは、「高校生のための博物館の日」を設けて高校生に博物館に親しんでもらう企画があります。
【質問・中原】
そのような企画は、どのような効果をもたらしていますか。
【田村さん】
大きく分けて3つあると考えています。1つ目は、高校生が当館を利用してくれる人数の増加です。2つ目は、高校生が、研究者や職員の人達と交って会話をする機会を得ることで、自分のキャリアを考えていただくことです。3つ目は、生涯にわたって当館を楽しんでもらえるような展示の見方や捉え方を知ってもらうことです。
【質問・近藤】
高校生以下は入館料が無料ということですが、それはどのような期待から、そのようにしているのですか。
【田村さん】
生涯、1、2回の来館だけで終わってしまうのではなく、小さい頃から何度も何度も来てもらうことで、将来にわたって国立科学博物館を楽しんでもらうことに繋がるのではないかと期待しています。ですから、高校生以下は無料とさせていただいております。若いうちから博物館を気軽に利用してほしいですね。
【質問・小林】
多くの児童や生徒が校外学習や修学旅行でこちらに来ていると思うのですが、何かそのような人向けの企画などは実施しているのですか。
【田村さん】
学校単位で予約をしていただくと、「スクールプログラム」に参加することができます。大きく4つのプログラムがあります。まずは、バラバラになった人体骨格を組み立ててヒトの体のつくりについて学んでもらう「骨ほねウォッチング」。そして、鳥の頭骨標本を観察し、くちばしのつくりやはたらきを推理する「鳥のくちばしのひみつ」。また、展示物から不思議だなと思ったことやお気に入りの展示を見つけてもらう「かはくたんけん!」。さらに、博物館で働く人達の仕事内容を知って、どのように行っているかを知る「お仕事インタビュー」です。
【質問・結城】
常設展の展示物は、タイミングによって変えたりしていますか。
【田村さん】
常設展は特に大きな変更はしませんが、細かな変更をすることもあります。しかし、基本的には毎年同じ展示です。ただ、10年から15年のサイクルで大規模な展示室のリニューアルをすることがあります。もちろんですが、新しい研究で重大なことが発表されたりすれば、少しずつではありますが変更をします。
【質問・三好】
特別展の企画などはどのぐらい前から考えているのですか。
【田村さん】
お客様にどのように楽しんでもらうかを一番に考えて、2、3年前から企画して、一から構成・企画をしています。一つのテーマからいろんな発想を膨らませているので、一度に大まかな企画を何個も作るわけではありません。単に標本を展示して飾るという考え方ではなく、自然科学に触れるという視点から企画を考えるようにしています。
【質問・松本】
外に大きなクジラの像があるのですが、これはどういう理由で設置したのですか。
【田村さん】
博物館のシンボルとして設置し、実際と同じ大きさにすることでよりリアルに見ていただくことを理由に置きました。また、どうしてクジラにしたかというと、地球最大の現生動物だからです。上野に来た時に「クジラといえば科博」という印象がつくようにしたかったということです。
【質問・三好】
いつ頃からクジラの像を置いたのですか。
【田村さん】
昭和30年に初代のナガスクジラが置かれて、現在は平成6年に置かれた3代目のシロナガスクジラとなっています。2代目のクジラは、今より少し小さいザトウクジラという種類でした。現在のシロナガスクジラは、海に潜水する様子の形で設置してあります。平成25年の改修では、眼球を塗装から義眼にするなど、よりリアルな展示となっています。
【まとめ】
小・中学生の時代には訪れることの多い自然科学系の博物館。高校生になると大分足が遠のく印象です。今回はそんな全国の博物館の指導的立場の事業を数多くやられている「国立科学博物館」にお邪魔しました。エントランスのある日本館は歴史と伝統を感じさせ、存在感を与えています。
館を運営されている皆さんは高校生を対象とした企画をたて、長く訪れることのできる魅力ある場所作りを考えられています。あらためて落ち着いた気持ちで訪れるべき博物館です。
【感想・三好】
なぜ高校生までは入館料が0円なのだろうと素朴な疑問を持っていました。今回の取材を通して、「若い頃から、展示されている作品や標本に興味を持つことで将来につなげていってもらいたい」という事実を知り、館で働く方々の強い思いを感じ取ることが出来ました。これからも老若男女問わず、様々な世代の人がこの博物館へ訪れて、新たな発見してもらいたいと思いました。
【感想・小林】
「若いうちから博物館を気軽に利用してほしい」 とても印象に残った言葉です。高校生の私にとって、博物館は誰かに連れて行かれるところという場所でした。やはりそのような気持ちだと、本来持っている博物館の魅力や楽しむ要素を見つけることはできません。この取材を通して、自主的に博物館の魅力を見つけてみようかなという気になりました。
【感想・結城】
緊張してしまい、質問が上手くできるか不安でした。しかし、実際に取材を始めると一から詳しく教えてくださり、今まで疑問に思っていたことが全て分かることができました。積極的に疑問に思ったことをすぐに質問すると、どんどん色々なことが明確になりました。このような知識を持って再び訪れると、とても楽しめそうです。
【感想・中原】
イベント考えて開催するまで2、3年かかることや、展示するまでにクリーニングを.丁寧に手作業でしていることを初めて知りました。私たちが展示を見るまでに、様々なことを検討して長い時間をかけていることが分かりました。博物館が特に見てほしいポイントを明確に知ることができたので、また行きたいと思いました。
【感想・近藤】
色々な事を深く知ることが出来ました。また、予想通り高校生でここを訪れる人は少ないことがわかりました。取材を通じて、高校生を呼ぶための工夫をされていることがわかりましたので、この取材を通じて多くの高校生に知ってもらえればと思います。