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2018.03.17第二弾モノづくりから上野を知る!その12

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上野の魅力をモノづくりの側面から知るべく、台東区のモノづくりに精通する方々にお話をお伺いに行きました。
12回目は、『FIORAIA(フィオライア)』の鈴木綾さんにお話を伺いました。

 

<山口>『FIORAIA(フィオライア)』のブランドについて教えてください。
<鈴木さん>私はバッグ、財布のデザイナー、職人を10年以上経験しました。初めはデザイナーを経験し、次にメンズアイテムの会社でコバ磨きなどの技術を学び、その後はこのデザイナーズビレッジからも近いレディースのハンドバッグの会社で小物以外のアイテムも経験しました。昔から独立したいという想いはあり、何をコンセプトにやっていくかを考えていました。自分で物を作ることができる点や、これまでの経験を活かしつつ、気持ちが盛り上がるものを作りたいと思いました。それがお花を見たり、もらったりした時の女性の高揚感とつながり、お花モチーフの革製品につながりました。
最初は、誕生日のお花をモチーフにしてオーダーを取っていました。それを既製品として商品化させてスタートしたのが、2015年でした。お花のモチーフをどう表現するかを考えたときに、自分が縫える強みを活かし、このような表現になりました。この細かく重ねて縫うということは、大変手間がかかるが、私は、ここにこだわっています。カラフルなものを持っていると使っているだけで楽しいと思うのでそれを意識した配色にこだわっています。また、お花には、それぞれ花言葉を添えて紹介をしています。自分が、作れるということから形や使い勝手、機能面にもこだわっています。お財布は、表をオリジナルで作り、裏はあまり変わらないことがよくありますが、私の商品はそこにもオリジナリティを出しています。機能と見た目の両立を常に意識しています。

 

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カラー・ガーベラ・新作のポピー

 

こちらは、葉っぱの形ですが、平面ではなく立体的にしています。バッグ屋さんであれば日頃使う技法ですが、お財布屋さんではほとんど使わない技法です。私は元々バッグの学校を出ていますのでここに技術が活きています。人から言われて思ったことなのですが、見た目の部分は女性が気にするところで、機能面やスペックについては男性が気にすることが多いです。私はレディースもメンズも経験してきたことが見た目も機能も両立した商品作りに活かされているのだと思います。

 

<山口>レディースで両方を兼ね備えているブランドは、確かに少ないですね。
<鈴木さん>自分の手で作らないと難しいと思います。今は自分でつくっていないものもありますが、自分でつくっているものももちろんあります。部分的に職人にお願いして、表など最後の部分は、自分で作業するものもあります。

 

<山口>職人さんを探すことも難しいですよね。
<鈴木さん>今まで会社でお付き合いしていた方たちにお願いをして探していますがなかなか上手くいっていません。

 

<山口>おまかせできる範囲を広げられるといいですね。ところで、デザイナーズビレッジは入居何年目ですか。
<鈴木さん>2年目です。あと1年で卒業です。本当は、2年目でもう少し作業体制をみなおして3年目を迎えようと考えていました。しかし、なかなかうまく進まなかったんです。オリジナルすぎてやってもらえる方が見つかりません(笑)。

<山口>そんなに特殊なんですか。
<鈴木さん>量産と違いで工程が細かいため数が作れません。

 

<山口>鈴木さん自身も作られるので、職人の方への要求レベルも高いでしょうし、妥協してはいけないという想いも強いのでしょうね。また自分でできるだけに、自分でやってしまった方が早いという部分もあるのかもしれませんね。
<鈴木さん>数を作るために分業することは、必要だと思います。現状の生産体制では、作れる量に限りがあり、年間の販売数も限られてしまうと思います。
妥協せず、量産が取れる体制を確立したいです。

 

<山口>では、次の質問ですが、デザイナーズビレッジについては、以前からご存じだったのですか。
<鈴木さん>デザイナーズビレッジができたくらいの時には、このそばで働いていて、毎日のように前を通ったりしていて、存在は知っていました。ただその頃は、自分が入るとは考えていなかったですね。
その後、会社を辞めましたが、施設に入り成功されている卒業生や、様々な分野の入居者のいるこちらに魅力を感じました。ここに入って一番良かったことは私と同じような状況の人がいて、同じような悩みを持つ仲間とたくさん出会えたことだと思います。一人でやっていると、自分の考えていることが本当に正しいのか、判断することは難しいです。しかし、ここでは、情報交換もできるし、本当にありがたい環境だと思っています。
イベントもあり制作もありでみんな夜遅くまでここにいますし、すごい人ばかりです。でもここにいると、それが当たり前のように感じてくるんです(笑)。デザイナーズビレッジにいると、自分のスタンスが決まると思います。人によってやり方が違い、ここには様々なやり方の人がいるので、自分のやり方を見つけやすいんだと思います。とにかく、自分にとって最善のやり方は何なのかを見つけることができます。

 

<山口>入ってみてデザイナーズビレッジはいかがでしたか。
<鈴木さん>鈴木村長をはじめ、区役所の方も、ブランドを軌道に乗せるために、一緒に考えてくれて大変ありがたいです。親身になって、こんなに一緒に考えてくださる方が近くにいらっしゃるということは、本当に心強いです。このことは、入居して気づいたことです。

 

<山口>他の入居者の方たちも同じことを言っていました。素晴らしい環境なんですね。次の質問ですが、街に対してはどんな想いをお持ちですか。
<鈴木さん>街のイベントで5月に『モノマチ』があるのですが、そこに関わる方たちは、頻繁に集まっているようで、そのようなつながりって「いいな」と思っています。私は会社で働いていたので10年以上前からこの辺りを知っていて、街が変わってきている過程を見てきました。本当に変わりました。おしゃれな街に見られるようになってきました。街中にポンとおしゃれなお店があったりして、楽しい街になってきています。初めは蔵前周辺だったんですが、こちら側にもできてきましたね。私も卒業後はこの辺にショップを出したいです。ただ街がにぎわってきて、土地の価値は上がってきているんです(笑)。

 

編集後記
一つ一つの言葉を大切にしながら、周りをよく見ていらっしゃる方という印象がありました。
時代の流れを見ながら、ご自身がやるべき最善を探していて実行できる方だと感じました。
鈴木さんのこだわりが凝縮した商品に大注目です。

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