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[第2回:大江戸清掃隊と活動が育んだ絆]
●上野地区町会連合会常任理事 長者町二丁目町会会長 鴨下 守さん ●聞き手 佐藤 輝光(松坂屋上野店)
街の美化活動として長者町町会が続けている「大江戸清掃隊」。地域の関わりが薄れつつある中で、お互いの絆を深める活動として始まったそうです。地域のつながりを育むために、どのような取り組みを行ってきたのか、長者町二丁目町会会長・鴨下守さんにお話を伺いました。
大江戸掃除隊・2017年1月28日
■清掃活動を通じて、育んだ絆
佐藤:ずいぶん長く清掃活動をされていますね。
鴨下:月1回、朝9時から行っている大江戸清掃隊ですね。1年12回で、もう90回以上実施しています。最初にやろうと言い出したのは、実は私の家内です。町会の人といっても、実際はお互いの顔もよく知らなかった。町で誰かに会っても、挨拶できないんですよ。すれ違っても、「あれ、誰だっけ?知っているような気がするけど」といった具合で、何となく知っている程度。それなら、みんなでできる活動を考えた方がいいだろうということで、清掃隊を思いついたんです。
揃いの半纏で活動中
前会長に相談して、清掃活動をすれば、町会員が定期的に顔を合わせられるし、町も綺麗になる。そういうことでスタートして、清掃隊の活動を通じてお互いを知り、絆を深めてきました。
佐藤:皆さん、半纏を着ていらっしゃいますよね。特に、今お召になっている鴨下さんの半纏は、色合いといい風合いといい、年季の入った風格があって、渋いです。
鴨下:町会関連の仕事をする時は、必ず半纏を着るようにしています。そうすると、あの人は町会の人だということでわかってもらえるし、安心。半纏は祭り以外でも威力があって、酔っ払いも避けて通ります(笑)。やっぱり、地元の人間と思うと、下手なことはできないと思うんでしょうね。そういう意味では、防犯効果もあります。
■震災で、地域の絆の大切さに気づく
佐藤:防災訓練は、どういう経緯で始められたのですか。
「長二町会」の半纏
鴨下:東日本大震災が起きた日は、ちょうど娘と家内がスキー場へ行って留守の時でした。あんな経験は初めてでしたね。両親は、東京駅から歩いて帰ってきて、パンダ広場は避難所になっていて、JRがシャッターを下ろしてしまったので、人が溢れかえっていました。当時、この事務所のある建物の裏で旅館をやっておりましたが、ちょうど閉館に伴う解体工事の最中でした。古い建物でしたが、倒れませんでした。鉄筋がしっかり入っていたので頑丈だったそうです。あの日、実際に自分がここで大きな地震を経験し、また東北の被害の痛々しさを目の当たりにして、すごく感じるものがありました。そういう経験を経て、防災訓練の大切さというのを改めて感じました。この地域の連携も薄れてきていましたが、震災をきっかけに、町会もまとまるようになりました。みんなの意識も変わり、地域を見直すきっかけになったのだと思います。そこから防災訓練も、みんなで協力し合ってやっていこうということになりました。(つづく)