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2024.09.28

北海道が生んだ注目の高校生ファーマー!

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北海道が生んだ注目の高校生ファーマー!

栗山町の高校生ファーマーは、未来の農業を切り開く先駆者

 

大丸札幌店生鮮担当の上森です。

9月上旬、私は北海道で農業に情熱を燃やす若い農家、「中仙道 怜さん」に取材を行いました。彼の話は、単なる農業の成功体験ではなく、失敗から学び、試行錯誤を重ねて作物の品質を追求する姿勢が印象的でした。今回は、中仙道さんが語るメロンやトマト、そして赤いスイートコーン「大和ルージュ」栽培の挑戦についてレポートします。

 

メロン栽培の挑戦と失敗
中仙道さんがまず語ったのは、キングメロンの栽培に関する挑戦です。

キングメロンは通常、6月下旬から7月中旬にかけてが最も美味しい時期と言われています。しかし、中仙道さんは9月上旬に収穫するメロンを育てるという試みに挑戦しました。気候的な問題や温度管理が難しく結果、糖度が13度に留まりました。通常、彼が目指すメロンの糖度は16度です。この数値を見て、最初は「失敗だ」と感じ、200玉を廃棄しようとも考えたそうです。しかし、実際に食べてみると、食感や香りが非常に良く、甘みが少し劣るだけで十分に美味しかったため、食品ロスを避けるべくお客様に提供することにしました。今後も目標の糖度を目指しメロン栽培の挑戦は続きます。

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幼少期からのトマト栽培への情熱
トマトの栽培に関しても、中仙道さんの経験は非常に興味深いものでした。

彼がトマト栽培を始めたのは、小学校時代のこと。最初に栽培したミニトマトは驚くほど酸っぱく、その理由を探るために土壌改良を試みたといいます。「土にいいものを入れると、美味しい野菜ができる」という曾祖母の教えを受け、中仙道さんは堆肥を使って改良を続けました。数年後、ようやく酸味と甘味のバランスが取れたトマトを収穫でき、そこからトマト栽培の奥深さに気づきました。

その後も試行錯誤を重ね、現在では酸味と甘味の絶妙なバランスを持つトマトを栽培しています。特に「酸味のあるトマトを作ることの難しさ」を語り、甘さだけに頼らないトマト作りへのこだわりを強調していました。この経験は、トマトに限らず他の作物にも通じる哲学として、中仙道さんの農業スタイルに根付いています。

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「大和ルージュ」の挑戦と成功:北海道で育む赤いスイートコーンの可能性

北海道の農業は、広大な土地と冷涼な気候を生かし、さまざまな作物を育てる環境に恵まれています。しかし、その気候のために育成が難しい作物も多く存在します。そんな中、農業に情熱を注ぐ中仙道さんは、赤いスイートコーン「大和ルージュ」という珍しい品種を北海道で栽培し、見事に成功させました。「大和ルージュ」がどのようにして北海道で栽培されるようになったのか、その挑戦の経緯や成功の要因について詳しく紹介します。

 

大和ルージュとは?
大和ルージュは、通常のトウモロコシとは異なり、鮮やかな赤色が特徴のスイートコーンです。赤色のトウモロコシは市場で非常に珍しく、その見た目の美しさからも消費者の注目を集めることができますが、それだけでなく、その甘みと香りも高く評価されています。一般的な黄色いトウモロコシと比べ、甘さのバランスが絶妙で、調理すると香りが一層引き立ちます。さらに、蒸しても色が美しく保たれ、見た目と味の両面で楽しめるため、料理にも多彩に活用できるのが魅力です。

しかし、この大和ルージュは、もともと東南アジア原産で寒さに弱いため、北海道のような冷涼な地域で栽培するのは難しいとされてきました。その難しい環境にもかかわらず、中仙道さんはこのトウモロコシに挑戦し、成功を収めました。

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大和ルージュ栽培への挑戦
中仙道さんが初めて大和ルージュに興味を持ったのは、2022年のことです。当時、北海道ではほとんど知られていなかったこの品種に、彼はその珍しさと可能性を感じました。赤いスイートコーンが北海道で育てられることはほとんどなく、「誰もやっていないことを試してみたい」という中仙道さんの探究心が、大和ルージュ栽培への一歩を踏み出させました。

栽培の初期段階では、多くの困難に直面しました。大和ルージュは寒さに弱いため、北海道の冷涼な春や秋の気候では育成が難しいことがすぐにわかりました。彼は気温管理に細心の注意を払いながら、最適な時期を見計らって種を植えました。さらに、トウモロコシ自体が風に弱く倒れやすいという課題もありましたが、大和ルージュは想像以上に風に強く、台風が来てもほとんど倒れないという驚くべき性質を持っていたのです。これが北海道の厳しい気候にも適応する一因となり、栽培を続けるモチベーションにつながりました。

 

試験栽培から本格生産へ
最初の年、中仙道さんは試験的に150本の大和ルージュを栽培しました。初めての栽培で収穫量に不安があったものの、収穫された大和ルージュは市場で非常に高い評価を受けました。その甘さと香りは、通常の黄色いトウモロコシとは一線を画し、特に見た目の美しさからも多くの消費者の注目を集めたのです。

この成功を受けて、中仙道さんは栽培規模を大きく広げました。現在では、3500本を超える大和ルージュを栽培しています。さらに、今後はこの品種の知名度をさらに広げ、北海道を拠点に全国への展開も視野に入れています。

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北海道農業への貢献
中仙道さんは、大和ルージュの栽培成功が北海道の農業にもたらす可能性について強い信念を持っています。北海道は、気候条件が厳しい一方で、広大な土地と肥沃な土壌を持つ農業大国です。そこで、従来育てられていない作物に挑戦し、その可能性を引き出すことで、地域経済を活性化させるだけでなく、北海道の農業をさらに発展させたいと考えています。彼は今後、大和ルージュの栽培技術をさらに磨き、より多くの農家に広めることで、地域全体の農業に貢献したいと語っています。

中仙道さんの将来の目標は「栗山町から日本を代表する農業経営者になること」と明確です。栗山町を活気づけるために、中仙道さんは新しい特産品の開発に意欲的で、地域を元気にしたいという強い思いを持っています。将来的には、彼の農場を研究農場として活用し、さらなる品種改良や新しい栽培技術の導入を目指しているとのことです。

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取材を終えて
今回の取材を通じて、中仙道さんの農業に対する情熱や挑戦、そして試行錯誤を恐れずに前に進む姿勢に感銘を受けました。北海道の自然条件に挑みながら、品質の高い作物を作るだけでなく、持続可能な農業の実現に向けて努力を続ける姿は、まさに未来の農業を切り開く先駆者です。これからも中仙道さんの農業がどう発展していくのか、非常に楽しみです。

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