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2021.06.28日本彫刻最高傑作と名高い観音菩薩が東京初公開! 特別展「国宝 聖林寺十一面観音 ー三輪山信仰のみほとけ」レポート

奈良時代(8世紀)に造像された日本彫刻最高傑作と名高い国宝「十一面観音菩薩立像」。この菩薩像が東京で初めての公開となり360°堪能できる特別展「国宝 聖林寺十一面観音 ー三輪山信仰のみほとけ」が6月22日(火)より東京国立博物館で開催されています。

 

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国宝 十一面観音菩薩立像 奈良・聖林寺蔵 奈良時代・8世紀 像高 209.1㎝

 

本展は本館の特別5室で開催されています。正面から入ると国宝「十一面観音菩薩立像」が中央奥に堂々と立ち、背景には奈良県桜井市にある三輪山を写したパネルと大神(おおみわ)神社の三ツ鳥居の復元が大きく飛び込んできます。この山をご神体としているのが大神(おおみわ)神社。『古事記』や『日本書紀』に同神社に関わる伝承が記載されるほどの古社です。

 

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台座は咲き誇る蓮の花をかたどっています。胸は厚く、両腕から台座に垂れる天衣の曲線美は秀逸

 

古代より日本では山、滝、岩や樹木などに神が宿ると信じられ、本殿などの建物や神像を作らず、自然のままの姿を拝んでいました。現在も大神神社には本殿がなく、三輪山をご神体としています。拝殿の奥の禁足地にあるのがこの三ツ鳥居。かつてから神聖視され結界として立つ鳥居の中心には"御扉"と呼ばれるものがあり、いわば"本殿の御扉"の役割とされているようです。大神神社では鳥居を通して神が宿る山を礼拝する形が現在でも続いています。

 

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八頭身で腰がくびれ、すらりとしたプロポーション

 

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菩薩立像の表情は、目が少々吊り上がったきびしい眼差し。十一の面であらゆる方向を見渡し、深い慈悲の心で人々を救う十一面観音。現在、三面は亡失している

 

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手は力を抜いてゆったりとし、指の美しさが際立つ

 

奈良時代には国づくりに仏教が取り入れられて盛栄してからは神仏の信仰が融合し、大神神社も同様に境内に隣接した形で神宮寺として大神寺(のちの大御輪寺)が建てられたそう。その本殿に国宝「十一面観音菩薩立像」が安置されていました。明治時代以降は神仏が分離され、大御輪寺の仏像の数々は住職や周辺の人々の尽力によって近隣の寺院に移されました。

 

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国宝 地蔵菩薩立像 平安時代・9世紀 奈良・法隆寺蔵
かつては十一面観音菩薩立像の隣に安置されていたという

 

本展ではそれらの仏像が、約150年ぶりに一堂に会しているのも見どころの一つです。この一室に集約することで、時を遡り、神仏が融合していた時代を想像させます。

 

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左/月光菩薩立像 右/日光菩薩立像 ともに平安時代・10~11世紀 奈良・正暦寺蔵
両像とも、明治時代の神仏分離令により大御輪寺(旧大神寺)から正暦寺に仏具類とともに引き渡された

 

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大国主大神立像 平安時代・12世紀 奈良・大神神社蔵
仏教の大黒天の姿ながら、大国主大神として信仰されてきた像

 

さらに、境内やその周辺の祭祀遺跡から出土した古墳時代の勾玉や小型の模造鏡なども。

 

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展示室を抜けるとオリジナルグッズが販売されています。

 

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「カードフォルダー」330円(税込)

 

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左/「トートバッグ」1,000円(税込) 右/「Tシャツ」3,000円(税込)

 

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「マスキングテープ」550円(税込)

 

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「御朱印帳」1,650~1980円(税込)

 

古来より人々の心の拠り所として信仰されてきた三輪山。その軌跡でもある数々の宝物を通して、自然へも思いを馳せてみてください。

 

特別展「国宝 聖林寺十一面観音 ―三輪山信仰のみほとけ」
会期 2021年6月22日(火)~9月12日(日) 
会場 東京国立博物館 本館特別5室
時間 9:30~17:00
休館日 月曜日(ただし、8月9日(振休)は開館)
料金(前売り日時指定券) 一般1,400円、大学生700円、高校生400円、中学生以下無料
※本展は事前予約制(日時指定券)です。詳細は展覧会公式サイトをご確認ください
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/shorinji2020/(外部サイトへ移動します)

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