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2023.07.05 連載:宿泊【Guesthouse toco.】古民家を生かしたアットホームな空間

「あらゆる境界線を越えて、人々が集える場所を」をミッションに掲げ、地域に開かれたゲストハウスを展開するBackpackers' Japan。元々そこにあった建物が生かされ、宿泊するとその土地の魅力や日常の空気感まで味わうことができます。現在4店舗ある系列のゲストハウスで最初に誕生したのが、下谷にあるGuesthouse toco。築110年の民家を宿泊棟にしていて、まるで「第2のおうち」のような安心感があります。

 

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宿泊棟の縁側。ここに腰を掛けて中庭を眺めながら、飽きるまでぼんやりしたい

 

入口は、通りに面した白い建物。こちらは以前眼鏡屋でしたが、現在はリノベーションされて宿泊者のリビング&バーになっています。木枠の引き戸を引くとガラガラと音がして、少し懐かしい気分。間口は狭いものの奥行きがあり、年月を経て風合いが出た壁や板張りの床に温もりがにじんでいます。

 

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リビング&バーの外観。こちらも築40年ほどの建物をリノベーションしています

 

さっそくチェックインを済ませるため、レセプションを兼ねたバーカウンターへ。お酒のボトルがずらりと並んでいて、聞くと「日中は宿泊者がくつろぐための専用リビングですが、夜は誰でも利用できるバーになるんです」。特に、日本酒や果実酒に力を入れているそう。地元の人たちも多く訪れ、初めて会った人同士、会話に花が咲くことも。

 

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リビング&バーでは、月一回ほど間借りカフェやイベントなども開催

 

リビング&バーの奥へ進み、短い渡り廊下を渡った先にあるのが、宿泊棟の古民家。靴を脱いで上がると、旅の疲れが一気にほぐれていきます。宿泊者の約9割が外国人で、「そういう昔ながらの日本の生活様式を、彼らは新鮮だと感じているみたいです」と広報の長村愛理さん。建物自体は、天井や壁の塗り直しなど創業メンバーが大工さんと共に改修しつつ、大幅に変えたところはなく、基本的にはそのままの魅力を生かしているとか。

 

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1階の「男女混合ドミトリー」は最大8名宿泊可能。縁側を通ってすぐ中庭に下りることもできる

 

ドリトリーは男女混合と女性専用の2タイプ。2段ベッドが並べられ、カーテンでプライベート空間を確保できます。それぞれコンセント、貴重品をしまっておくロッカー(鍵レンタル)を完備。「女性専用ドミトリー」には中庭を見下ろせる広縁があり、のんびり読書するのにもぴったりです。

 

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2階の「女性専用ドミトリー」は最大6名宿泊可能。部屋の奥には広縁があります

 

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「女性専用ドミトリー」の広縁。中庭に見える富士塚は東京都の重要有形民俗文化財

 

ドミトリーの他には個室も。2階にある「クイーンダブルルーム」は、アンティークの家具が映える洋間。窓も昔のままで、万が一割れてしまうと同じものは手に入らないという貴重なガラスが素敵です。大切な人とプライベートテラスで日がな一日おしゃべりするのも楽しそう。

 

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「クイーンダブルルーム」はプライベートテラス付き。壁や天井を補修した以外、昔のままの雰囲気が残っています

 

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年代物の窓ガラスには、現代の技術では逆に作れない美しさがあります

 

タイプは違えど、どの部屋も居心地がいい。あえて観光に出かけず、ここでずっと時間を過ごすというのも格別です。「実は、ここでチルする(まったり過ごす)のが旅の目的というお客様も多いんです」と長村さん。建物が古いだけに「雨が降ると屋根を打つ雨音がそのまま聞こえて、雨の日なりの風情があります」。

 

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「クイーンダブルルーム」のプライベートテラス

 

リピーターも多く、みんなから愛されているこの場所。「第2のおうち」のように思える理由の一つに、住み込みスタッフの存在があります。彼らは10代〜40代と幅広く、肩書もさまざま。「いってらっしゃい」「おかえりなさい」「おはよう」「おやすみ」と、まるで家族のように声をかけてくれます。

 

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掃除は日々、建物に合った方法で。板の間は箒で掃き、米の研ぎ汁を使って雑巾がけをします

 

共用のキッチンスペースでは、宿泊者と住み込みスタッフが共に食卓を囲むこともしばしば。調理器具、調味料は自由に使え、自炊が可能です。基本的に食事は付きませんが、週末の朝ごはんにはおにぎりと味噌汁を用意(予約制)。味噌汁はだしを取るところから始め、それに感動した外国人宿泊者が「帰国後に自宅で再現したい」と作り方を教わる、なんて場面も。

 

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共用スペースのキッチン。テーブルに椅子を足して、みんなで囲む日も少なくない

 

ようやくコロナが落ち着き、先日は外国人宿泊者が「久しぶりに帰ってきたよ」と再訪。さらに、「ここで出会って意気投合したお客様たちが、再会するために一緒に泊まりに来てくれた時はうれしかったです」と長村さんは笑います。もしかしたら、本当の自宅よりもリラックスできるかも。心に残るひとときを過ごしてみませんか?

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廊下の片隅のようなちょっとした空間の設えも印象深い

 

Guest House toco.
住所 東京都台東区下谷2-13-21
TEL 03-6458-1686
バーの営業時間 月〜木曜18:00~22:00 金〜日曜18:00〜23:00
https://backpackersjapan.co.jp/toco/(外部サイトへリンクします)

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