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2022.02.22「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」内覧会レポート

東京都美術館の「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」が開幕しました。注目作品は17世紀オランダを代表する画家、フェルメールの初期の傑作《窓辺で手紙を読む女》。修復を歴て、画中の壁にかわいらしいキューピッドが現れました!

 

 

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ヨハネス・フェルメール《窓辺で手紙を読む女》1657-59年頃 ドレスデン国立古典絵画館蔵

 

ドレスデン国立古典絵画館は、ヨーロッパの古典絵画、特に15世紀から18世紀の絵画を多く収蔵していることで知られている美術館です。今回の展覧会は、目玉作品である、フェルメールのほか、17世紀オランダ絵画を代表するレンブラント、メツー、ファン・ライスダール、ヤン・ステーンらの作品約70点が展示されています。

 

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展示風景より

 

展覧会はクライマックスのフェルメールを中心に、前後7章で構成されています。冒頭の章「レンブラントとオランダの肖像画」では、17世紀に著しい発展を遂げたオランダの肖像画を、続く「複製版画」の章では、ドレスデン国立古典絵画館の所蔵作品の複製版画を紹介しています。

 

 

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レンブラント・ファン・レイン《若きサスキアの肖像》1633年 ドレスデン国立古典絵画館蔵

 

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ピーテル・コッド《家族の肖像》1643年 ドレスデン国立古典絵画館蔵

 

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「複製版画」展示風景より

 

「レイデンの画家──ザクセン選帝侯たちが愛した作品」の章では、レイデンの画家たちの作品を中心とした風俗画を取り上げています。当時、貿易で富を得ていた市民も絵を持つようになり、細部まで丁寧に仕上げた小型の室内画が流行しました。

 

 

 

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カスパル・ネッチェル《演奏するカップル》1666年 ドレスデン国立古典絵画館蔵

 

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ハブリエル・メツー《鳥売りの男》1662年 ドレスデン国立古典絵画館蔵

 

そして、本展の中心となる章 「《窓辺で手紙を読む女》の調査と修復」です。こちらで、フェルメールの《窓辺で手紙を読む女》を見ることができます。

 

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ヨハネス・フェルメール《窓辺で手紙を読む女》(修復後)1657-59年頃 ドレスデン国立古典絵画館蔵

 

フェルメールは、現在までに三十数点の作品のみが残っている17世紀オランダの画家。《窓辺で手紙を読む女》は、初期の傑作として知られています。

1979年にこの作品をX線調査したところ、背後の壁に画中画が描かれていることが判明。2017年から開始された、綿密な調査で絵を塗りつぶしたのがフェルメールの死後、何者かの手によって行われたことが判明し、修復が決定。上塗りされた絵の具を丁寧に取り除く作業がスタートしました。2019年に、壁からフェルメールが描いたキューピッドが出現。作品の佇まいは修復前と大きく変化しています。

本展では、修復前の《窓辺で手紙を読む女》の複製画を作品の近くに配置。修復前後の違いを見比べることができるようになっています。

 

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サビーネ・ベントフェルト《窓辺で手紙を読む女(フェルメールの原画に基づく複製)》2001年 個人蔵

 

 

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展示風景より。《手紙を読む女》と複製画が隣り合う

 

また、この世紀の大修復の過程を映像資料やパネルなどで紹介。気も遠くなるほどの緻密な作業が行われていたことを知ることもできます。

フェルメールの余韻に浸りながら、展覧会は後半戦。「オランダの静物画―コレクターが愛したアイテム」の章では、16世紀後半以降に生まれた静物画を取り上げています。トロンプ・ルイユ(だまし絵)や、花や果物をモチーフにした静物画は、貿易で富を築いた市民に非常に人気がありました。

 

 

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ワルラン・ヴァイヤン《手紙、ペンナイフ、羽根ペンを留めた赤いリボンの状差し》1658年 ドレスデン国立古典絵画館蔵

 

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ヤン・デ・ヘーム《花瓶と果物》1670-72年頃 ドレスデン国立古典絵画館蔵

 

「オランダの風景画」の章では、17世紀オランダで人気ジャンルだった風景画を展示しています。オランダの画家たちが描く風景画は、特に1630年代以降においては、自分たちの身近にある自然をモチーフとしたことが特長としてあげられています。

 

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「オランダの風景画」展示風景より

 

そして、最後の章「聖書の登場人物と市政の人々」では、17世紀オランダで描かれていた歴史画を取り上げています。あらゆる絵画ジャンルの頂点とされていた歴史画と風景画、風俗画はそれぞれに影響を与えあっていたそうで

 

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左 ヤン・ステーン《カナの婚礼》1674-78年頃/右 ヤン・ステーン《ハガルの追放》1655-57年頃 いずれもドレスデン国立古典絵画館蔵

 

そして、展覧会の第2のお楽しみ、ミュージアムショップへ。今回もかわいらしいオリジナルグッズが満載です。
まず、注目はオランダを代表する絵本の主人公のミッフィー!
こちらは《窓辺で手紙を読む女》をモチーフにしたミッフィーです。ミッフィーが着る衣装もフェルメールの作品に合わせています。

 

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「手紙を読むミッフィー」4,400円(税込) ©Mercis bv

 

こちらは手紙を書くミッフィー。目をつぶってなにを書いているのでしょう?

 

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「手紙を書くミッフィー」2,200円(税込)

 

ほかにも、イラストレーター COFFEE BOYの描いたトートバッグなども盛りだくさん。

 

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「トートバッグ」左1,650円 右935円(各税込)

 

どのグッズもかわいいので、ショップに滞在する時間も予定に組み込んでおくといいですね。

修復されたフェルメールの名作とともに、17世紀のオランダ絵画の良品をたっぷりと見られる展覧会。この機会をお見逃しなく!

 

 

 

ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展
会期 2022年2月10日(木)~4月3日(日)
開室時間  9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで) ※金曜の夜間開室は、展覧会公式サイトでご確認ください
休室日 月曜、3月22日(火) ※ただし、2月14日(月)、3月21日(月・祝)は開室
会場 東京都美術館 企画展示室
観覧料(税込) 一般 2,100円、大学生・専門学校生 1,300円、65歳以上 1,500円
問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)
※本展は日時指定予約制です。詳細は展覧会公式サイトをご確認ください
https://www.dresden-vermeer.jp(外部サイトへ移動します)

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