2017.10.10モノづくりを通じて-二天一流総本舗-

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上野、すき。ステーションには、モノづくりの街である台東区らしさを感じるショップが2つ出店します。
今回は、ステーション内に簡易アトリエを構えてながら、オーダーシューズなどを展開する、二天一流総本舗の代表である井上正生さんにお話を伺ってみました。

 

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二天一流総本舗 代表 井上さん

 

<佐藤>井上さんと上野との関わりについて教えてください。
<井上>ずっと船橋で暮らしていますので、上野はとても身近な場所です。船橋の高校生にとって、身近な都会は、ズバリ「アメ横」。ファッションに興味があったので、高架下の古着屋さんなどに良く行きましたし、当時、流行のジャンパーなども買いました。
社会人になって起業するまでは、製靴会社でデザイナーや職人として勤めていました。製靴会社なので、浅草勤務と思われるかもしれませんが、勤務地は神奈川で、通勤はとても大変でした。
現在の仕事をはじめてからは、浅草や蔵前、浅草橋などに良く行きます。目的は、説明するまでもなく、革や部品の購入。上野というより、浅草周辺ですが・・・、台東区には、今でも足を運ぶ機会が、よくあります。


<佐藤>上野の街は、いま、赤ちゃんパンダで盛り上がっていますが、パンダに対する思い出はありますか?
<井上>小学校の頃だったか・・・、よく覚えていませんが、小さい時に見に行った記憶があります。ただ、人ごみがすごかったのか?パンダの表情などは、覚えていません。

 

<佐藤>まさか、パンダより好きな動物がいるのですか?
<井上>私はゾウが好きですね!優しい目が好きです。
でも、つい先日、上野動物園に行き、パンダやゾウを見てきましたよ!

 

<佐藤>勉強熱心ですね!11月開業のパンダ商品開発のための観察ですか?
<井上>いゃ~、娘を連れて、家族サービスです。
あっ!パンダ商品の件なのですけど、白と黒のコンビネーションで表現するなど、手法はいろいろあると思いますが、今回は思い切って、パンダを刺繍で入れることにしてみました。
刺繍も、ただのパンダではなく、靴屋なので靴を履いていて、お腹がでていて窮屈そうに靴紐を結んでいるデフォルメされたデザインにしてみました。

 

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二天一流総本舗で販売するバッグにつくパンダの刺繍

 

<佐藤>コミュニティサイト「上野が、すき。」に集められたメンバーの意見で参考にされたことはありますか?
<井上>バッグに関するニーズは、非常に多いなという印象でした。今回の企画では、全て1点ものになりますが、パンダをデザインに取り込んだバッグを十数点つくってみました。

 

<佐藤>実際に取組んでいただき、感じたことはありましたか?
<井上>革にデザインを入れる場合は、焼印や印刷が一般的ですが、今回は、あえて刺繍でやってみました。刺繍は、コンピューターミシンで行いましたが、同じデザインの刺繍をしても、革によってできあがるパンダの表情がすべて違う仕上がりになりました。
なぜ、そんなことがおこるのか、おわかりですか?
刺繍をいれる革の厚さ、表面の凹凸、収縮性などで、微妙な違いがでてくるのです。

 

<佐藤>なるほど・・・それが革でつくる魅力なのでしょうね?
<井上>大手メーカーでしたら、同じ素材の革で、個体差がでないようにつくりますが、私たちは、いろいろな革を使って、更に職人の手づくりなので、同じ商品をつくったとしても個体差がでます。
でも、それが、私たちのつくる商品の特徴だと思っています。
また、私たちのお店は、職人が直接接客するので、イレギュラーへの対応も大きな特徴です。
「このデザインをパンダではなく、ウサギにできませんか?」なんて、お客様からお尋ねがあれば、それも対応したいと思いますし、そんな声がいただければ本望です。
現代は、インターネットを使えば、ほとんどのモノが手に入りますが、私たちの商品は、ほとんどが1点もので、来店しないと買うことができません。商品特性もありますが、私たちは、わざわざ来店してもらえるお店になりたいと思っています。

 

 

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二天一流総本舗で販売予定のバッグ

 

<佐藤>モノづくりに対する熱い気持ちが伝わってきました!
<井上>私たちは、「革のコンシェルジュ」を目指しています。
革を通じて世の中に役に立ちたい。「プレゼントを考えているのですが・・・」などなんでも相談してもらいたいと思っています。
独立して1年目か2年目に、足にトラブルがある奥様と桜を見に行きたいが、履ける靴がないのでつくってほしいという依頼を、ご主人様からいただき、オーダーシューズをつくったことがありました。
納めてからしばらくして、ご主人様から、お手紙をいただいたのですが、そこには2人で桜をみに行けた、ありがとうと、お礼が書かれていました。靴自体は、軽自動車が購入できるくらい高価なものになってしまいましたが、お客様の願いを叶える商品をつくることができて本当に良かったと思いました。
足のお悩みやデザインに対するこだわりなど、お客様は、さまざまな想いをもっていますが、私たちは、大手では対応できない、イレギュラーに対応することで、世の中に貢献したい!
新しいお店でも、頑張りたいと思います。

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