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2017.10.05第二弾 モノづくりから上野を知る!その1

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MAITO/真糸のお店の様子(蔵前)

 

上野の魅力をモノづくりの側面から知るべく、ファッションディレクターとして活躍する黒島美紀子さんと一緒に、台東区のモノづくりに深く精通する方々にお話を伺う企画の第二弾がスタートします!
第二弾は、実際に上野やその周辺にお店を持ち、活躍されている方を中心に、ご紹介したいと思います。
一回目は、MAITO/真糸のオーナーであり、染色家でもある小室真以人さんのインタビューをご紹介します。

 

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今回取材に応じていただいたMAITO/真糸の小室代表

 

<黒島さん>こんにちは、すっかり秋めいてきましたね。
<小室さん>本当ですね、今年はなんか夏が短かった感じでしたね。

 

<黒島さん>ですね、、今、MAITOさんは秋コレクションの立ち上がり真っ最中だと思いますが、草木染めを色々やられているところでしょうか?
<小室さん>はい。茜や栗、桑、ざくろなんかで染めている最中です。今年は夏に雨が続いたので、今年の色はどんな色になるか、気になりますね。天候や気温で植物の色も全然変わってきます。

 

<黒島さん>同じ商品でもその年の気候によって出てくる風合いや色味が違うなんて、まさに生きている商品という感じですね。
<小室さん>染色という作業の中で植物と対話し、その植物の中に眠っている色を想像しながら製品づくりをしているんですよ。

 

 

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MAITO/真糸 染色された糸(蔵前)

 

<黒島さん>小室さんは染色家ということで、やはり色に敏感だと思うのですが、例えば『上野』を色で例えると何色のイメージですか?
<小室さん>僕は東京藝大の卒業なので、福岡から上京してきた大学生の時から上野がベースなんです。上京したての入学式の時、上野はそれこそ桜が本当に満開で、もうそこらじゅうが薄いピンクで染まっていたのが今でも思い出されます。それが僕の上野のイメージです。

 

<黒島さん>目に浮かんできますね。満開の桜!
<小室さん>実はもう一つ上野のイメージカラーがありまして。

 

<黒島さん>ほう?
<小室さん>上野の公園の入り口に昔はとても大きな木があって、その木がもう青々と繁っていたんです。
あの木はクスの木だったのかなぁ、その深緑の色がとても印象的で、目に焼き付いています。知らないうちになくなってしまっていて残念なのですが、その深緑も僕の中での上野に結びついています。

 

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お話を伺う
ファッションディレクターの黒島さん

 

<黒島さん>小室さんの「上野の色」は公園の自然と学生時代からの生活とが重なっているのですね。
<小室さん>学生時代はね、公園は切っても切れない存在でした。美術館や博物館の企画展もよく行って。
普段アートを目指す人間は、よく塑像をデッサンさせられるのですが、ブルータス像の本物が上野に来た時のことは本当に鮮明に覚えてます。
同じ“ブルータス”っていう塑像なのに、本物は僕たちが普段デッサンしているのとはまったく別物のように生き生きしていてびっくりしました。実際、学生がデッサンしていたものは、レプリカのレプリカの・・・みたいな塑像ですから、どんどん表情も薄くなってしまってたのですね。
その時、やっぱり芸術や博物の本物の文化っていうのは東京に集まるんだなって福岡から出てきた僕はしみじみ思いました。
あとはお酒もよく飲みましたよ。公園のあたりで猫を手なずけているおじさんとか居て、「猫おじさん」って呼んでました。(笑)
おじさんにお酒をあげてその代わりに銀杏もらったり(笑)。世代を超えたコミュニケーションの場でもあったなぁ。

 

<黒島さん>上野って文化と下町情緒、両方が感じられる街ですもんね。
<小室さん>父が福岡で染色家をやっていたので、大学を卒業してから僕は、ちゃんと父の仕事を覚える意味もあり、いったん福岡に戻りました。父のもとで修行しつつ、2、3年目から自分のブランドを作って販売をするようになり、そして6年後、本格的にお店を立ち上げる目的で東京に居を移す決心をしました。
それも大学の先輩やらの色々なご縁で、また、上野界隈に戻ってくることに。(笑)
原宿とか渋谷とかでも仕事をしましたが、どうしても上野界隈なんだよな、結局。

 

<黒島さん>でもやはり「モノづくり」というネットワークがありますもんね、、ここ上野には(笑)。
<小室さん>とは言っても僕が大学の時はまだ「材料屋が集まってる街」でしかなかったと思います。ここ数年で「モノづくりがすき」という共通の志を持った人がどんどん集まって、コミュニティが形成されたのです。今はみんな生き生きと切磋琢磨しています。世代を超えて横のつながりが強い。みな相談とかにも乗ってくれて、「人が足りない」とか、そうそう「彼女が何年もいない」なんて奴にむりやり女性を紹介したり、とか・・・(笑)関係ないですけどね、仕事には。(笑)

 

 

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MAITO/真糸 店頭に並ぶ商品(蔵前)

 

<黒島さん>やはりそういう人のつながりが濃い街なのですねぇ。
<小室さん>そうですね。例えばこのMAITOの提げ札。活版印刷という昔からの技法ですぐ近所の印刷屋さんがつくってくれています。このボタン、これもナットボタンというココ椰子を原料にした昔ながらのボタンを買ってきて自分で染めています。このボタンも台東区小島でつくられています。

 

 

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<黒島さん>すごい!素敵。こんなに人の心と手を込めてつくられたMAITOの商品。洋服本体のみならず、提げ札にまでこのような思いが込められていると思うと、モノへの愛がより深くなって、タグですら捨てられなくなりそう!

 

<小室さん>はい、ここ上野にまた縁あってもう一軒お店も出すことになりました。その店はビルの中なので、また路面店とは違って新しいお客様に、この下町の良さをわかっていただければと思っています。がんばります!

 

MAITO/真糸
代表取締役小室真以人さん

 

温かくて力強い小室さんに守られているような気持ちになれる商品です。ストールなどを草木染できるワークショップも毎月開催(HPより事前予約)。世界に一つの自分だけのお色を染めに、皆さん、是非、きてくださいね。

 

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