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こんにちは、岩倉高校放送部の藤澤です。
みなさんは、上野に大仏様があることをご存知ですか?
今回は、上野公園の中にある「合格大仏」という呼び名で親しまれる「上野大仏」について、東叡山寛永寺 清水観音堂の秋葉様にお話をうかがいました。
高校生の私たちから見た「上野大仏」についてレポートします。
【写真 今回取材に応じていただいた清水観音堂の秋葉様】
<質問・藤澤>
大仏様は、どうしてこの上野の地につくられたのでしょうか?
<清水観音堂・秋葉様>
江戸時代、現在の上野公園あたりにはたくさんの大名家があり、その中の一人であった村上城主堀丹後守藤原道寄公が戦乱に倒れた敵味方将兵の供養のために、屋敷内の高台に土を盛り1631年に大仏様を建立しました。
<質問・長壁>
大仏様にはどのような願いが込められていますか?
<清水観音堂・秋葉様>
一つ目は「平和」への願いです。たくさんの人が犠牲となる戦争や争いは愚かなことだからやめようということです。
もう一つは、災害に備え、安心・安全に暮らそうという願いです。関東大震災がおきた時、大仏様の頭が落ちたことで、多くの人がショックを受けましたが、一方で、この出来事は大仏様が、災害には常に備えるようにと人々に身をもって伝えたのではないかといわれています。
<質問・岡田>
大仏様のここまでの歴史を教えてください。
【写真 上野大仏の周辺の様子】
<清水観音堂・秋葉様>
藤原道寄公が建立して以降、1647年の大きな地震で破損してしまいましたが、その約10年後に木食僧浄雲師が江戸中を勧進し、浄財や古刀剣、古鏡を集めて青銅の大仏様に改めました。
1698年東叡山第三世輪王寺宮公弁法親王が大仏殿を建立しました。
その後、1841年に火災にあいましたが、末孫堀丹波守藤原直央公が、大仏様を新鋳し、仏殿も再建されました。
<質問・植野>
何度も被災していますが、もっと厳しい出来事があったと聞きます。
<清水観音堂・秋葉様>
関東大震災の時に仏頭が落ちてしまいましたが、その後、仏体は再建計画のために解体して寛永寺の倉庫に保管されました。
しかし、仏体は、第2次世界大戦が始まると献納をすることになってしまいました。平和を願ってつくられたのに、戦争を契機に仏体を失ってしまったのです。
【写真 現在の上野大仏様の様子】
<質問・木村>
現在は、主にどのような方が参拝に訪れていますか?
<清水観音堂・秋葉様>
やはり受験生が多いです。年齢層は様々です。本人よりも祖父母と見受けられる方の参拝が多いです。
【写真 上野大仏の近くにたてられた木札には「合格大仏」の文字】
<質問・藤澤>
現在の姿になったのはいつ頃ですか。
<清水観音堂・秋葉様>
昭和47年に尊顔を旧縁の地に再びお祀りし、現在の様になりました。
現在も尊顔だけですが、もう一度、尊像が再建できればと思います。
<まとめ・感想>
「合格大仏」として有名な上野大仏。何度災害にあっても、それを再建しようとする人が何人もいるなど、愛され続けられた大仏様であることがよく分かりました。
平和を願うためにつくられ、今でも世の中の平和を見守ってくれているのだと思います。
大仏様のほおに流れた涙の様な跡をやさしく触れると、心が安らぎ運気が上昇するということです。きっとそれは、長く悲しい歴史の中で仏体を献納しても、平和の象徴として存在し続ける大仏様の強さからくるものなのだと感じました。
【写真 清水観音堂の秋葉様と今回取材に当たった担当者】
■取材担当 藤澤
上野大仏様は以前1回訪れたことがあるのですが、これができた背景やこめられた本当の願いについてはまったく知りませんでした。授業で習っている歴史の中に、この上野大仏様がかかわっていることを学び、またひとつ上野の魅力を知ることができました。私も受験生なので、またここを訪れ合格祈願をしたいと思います。
■取材担当 長壁
上野公園内に大仏様があるということは、つい最近知りました。上野公園の桜並木を知っている人は多いと思いますが、そこに面した小高い丘に足を運ぶ人はどれだけいるのでしょうか。そこにひっそりとたたずむその姿に、ほんの少しの驚きと、歴史の深さを感じました。
■取材担当 岡田
人の背丈ほどの尊顔ですが、これまでの歴史を考えると、そこに込められた多くの人々の想いの強さを感じました。カメラを手によく観察すると、大仏の顔にいく筋もの涙のあとが刻まれていました。
■取材担当 植野
初めての取材だったので、緊張しました。学校のそばにこのような大仏様があることはつい最近までまったく知りませんでした。歴史的な知識をもっと持って質問ができればよかったです。
■取材担当 木村
取材をするにあたって、事前に考えていたイメージと違いがありました。そこに暮らす人たちがいろいろな想いを大仏様に持っていたことを知り、長い歴史を経過してきたものに対してもっと大きな視点でとらえていきたいと思います。