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こんにちは、岩倉高等学校放送部の山家です。演芸に興味を持つ部員4名で永谷お江戸上野広小路亭に行ってきました。
永谷お江戸上野広小路亭は、古典芸能からお笑いライブまで誰もがふらりと気軽に立ち寄れる多彩なプログラムを提供するホールです。今回はそんな永谷お江戸上野広小路亭の運営をされている永谷商事?Mの廣谷さんにお話を伺ってきました。
【質問・山家】こちらではどのようなことをやっているのですか。
【廣谷さん】主に演芸場として使用しています。毎月1日~15日の昼の部の興業をメインとしています。落語芸術協会に所属する噺家さんのが出演する寄席、その他、講談・浪曲の公演も定期的に行っています。
【質問・高橋】上方の噺家さんもここで寄席を行ったりするのですか。
【廣谷さん】落語芸術協会の寄席では、所属している上方の噺家さんの笑福亭鶴光さんと、そのお弟子さんが高座に上がります。その他に上方の噺家さんに、ここをお借りいただいて、公演されることもあります。関西の上方落語と東京の江戸落語では高座のスタイルが異なるんですね。全員ではありませんが、小机(見台)と膝隠しを前に置き、小拍子を用いて落語を行うのが上方落語で、座布団一枚で扇子や手拭いを用いて落語をやるのが江戸落語です。
【質問・小野】こちらの寄席の魅力は何でしょうか。
【廣谷さん】何といっても、一番の魅力は客席と舞台上の演者の距離が近いところですね。上野の他にも落語を行う演芸場がありますが、ここまで客席と舞台が近いのはこの演芸場だけですね。客席が近いのでマイクが無くても声が通りますし、噺家さんの息遣いも伝わります。芸人さん達の間では「唾が届くほど近い」と言われています。また、落語芸術協会の寄席「定席」の他にも女流の芸人さんだけでの会や、様々な演芸の協会・団体と合同公演も行っています。
【質問・山家】講釈師は女性の方が多いと聞いたことがあるのですがなぜですか。
【廣谷さん】二代目神田山陽さんのお弟子さんの頃からでしょうか、男性だけでなく女性にも門戸を広げようという流れがあるようです。他にも声優さんや女優さんが講談の世界に入るケースが多くありますが、そんなイメージがあるのかもしれません。
【質問・小野】どういった客層の方が訪れますか。
【廣谷さん】昼の部の演芸会は、やはり年配の方が多いですね。海外からの観光客が多い土地柄ですが、外国人の方は少ないです。これからは外国の方むけの案内も充実していかなければいけませんね。夜の部は、若い方が来場しやすい時間帯なので寄席を見に来てほしいですね。
【質問・高橋】テレビに出るくらい有名な噺家さんが寄席を開いたりするのですか。
【廣谷さん】正月興行は、笑点に出演する春風亭昇太さんや三遊亭小遊三さんなどテレビでも有名な方が出演します。正月興業以外は、基本的には若手の皆さんが多いですね
【廣谷さん】月に一回、ここの4階の部屋で落語・講談からマジック、端歌・俗曲までプロの方が教えています。宴会などでのかくし芸を身に着けたい方からプロを目指す方まで受講者は様々です。年配の方が多いですが、若い方もいらっしゃいますよ。
【質問・高橋】至る所に相撲の番付表があったのですが、相撲と何か関わりがあるのですか。
【廣谷さん】社長の趣味が高じて、事業の一環として様々な企画を行っています。両国にある永谷お江戸両国亭で寄席を見た後、国技館までの間に史跡を巡る大相撲寄席ツアーは、相撲と落語を合わせた珍しいツアーとして人気があります。落語、講談、浪曲に相撲に関係ある演目がたくさんありますから相撲演題の会も企画しています。
【質問・小野】高校生におすすめの会はありますか。
【廣谷さん】やはり毎月1日から15日までの落語芸術協会の寄席「定席」がおススメです。落語の合間に漫才やマジックなども入りますので楽しくご覧になれると思います。浪曲や講談だけの会もありますが、学生さんには少し難しいですかね(笑)。途中入場・退場もできますので気分転換できるのも寄席ならではですね。
【質問・山家】演芸の魅力はなんですか。
【廣谷さん】落語を例にすると、江戸時代や明治時代に作られたものが今の時代でも楽しめるという事です。つまり、昔の人も今の人も、笑う感性が同じということなんですね。そこはとても興味深くて大切なものなのだと思います。
<山家>
私は落語が好きで、寄席にも行ったことがあるのですが、寄席一つひとつの違いだったり、それ以外の演芸、例えば講談や浪曲といったものについては全く知りませんでした。他にも、演芸が相撲と大きく関わりがあることには驚きました。これからは落語に限らず、たくさんの演芸に触れていきたいです。幸い、上野周辺にはそのような場所がたくさんあるので、私を含め多くの若い人に落語や寄席に親しんでいってほしいと思いました。
<高橋>
身近な落語といえばテレビで放映されている「笑点」くらいしかなく、少々頼りない知識でインタビューに参加したのですが、しっかりとした高座やお囃子施設を見学して感動しました。また、お話を通じて、落語の奥深さや面白さが分かった気がしました。中でも、女流寄席や義太夫の会といった珍しい高座を開いていることも知りましたので、一度プライベートで見に行きたいなという意欲が湧きました。今回は貴重な体験をできて、とても良かったです。
<三好>
落語の世界をほとんど知らず、身近な関わりもありませんでした。しかし、取材をさせていただいたことで、落語の世界を幅広く知ることができました。また、実際に高座や客席を見ることで、落語への関心が深まりました。日本独自の演芸文化を体感できる場所として、訪日外国人の方にもっとたくさん観に来てほしいです。
<小野>
この場所の存在は知っていたのですが、外から中がよく見えず、少し入りづらいと思っていました。ところが、実際に入ってみるとそこはとてもあたたかい雰囲気の場所でした。舞台と観客席の距離が近く、演者の顔がとてもよく見えると思います。定席だけでなく、多彩な企画そのものや落語本来の魅力に興味を持ってもらうようなイベントを開催したりと、様々な工夫をされていることもわかりました。このような場所に行ったことがない人も、是非気軽に行ってみてはいかがですか。