その八十 保留音メロディは「カトレヤの詩(うた)」!
松坂屋ヒストリア小話 その八十(2022/3/31)
松坂屋名古屋店の代表電話の保留音メロディは「カトレヤの詩(うた)」!
松坂屋は昭和56年(1981)に創業370年を迎え、記念事業の一環として文化催事「カトレヤ杯 お母さんのコーラスフェスティバル」をスタートさせた。このフェスティバルは、松坂屋と中部日本放送(CBC)が主催し、毎年愛知、岐阜、三重3県から60チーム、1,500〜2,000人のお母さんが参加して地区予選大会が行われ、決勝大会には各地区から選ばれた約20チーム、600人が出場する盛大なイベントであった。
創業370年記念ポスター(1981年)
松坂屋創業370年記念・第1回決勝大会(1981年 名古屋CBCホール)
審査員には日本のコーラス界のトップ・リーダーといわれた石井觀氏をはじめ、大中恩(めぐみ)氏、小林秀雄氏、水谷昌平(まさひら)氏といった錚々たる顔ぶれの作曲家が名を連ね、毎回評価とともに適切な助言を与えた。大会会場は昭和56年(1981)の第1回目から平成2年(1990) の10回目までは名古屋・新栄のCBCホールだったが、平成3年(1991)の第11回目以降は同年春にオープンした松坂屋名古屋店の南館8階マツザカヤホールが使用された。
1991年3月に誕生した松坂屋名古屋店の南館
第11回決勝大会(1991年 南館8階マツザカヤホール)
「カトレヤ杯 お母さんのコーラスフェスティバル」は決勝大会の模様がCBCテレビやラジオで放送されたこともあって、年々参加団体も増加し、中部地区合唱界の毎年の恒例行事として定着したが、節目の20年目を迎えた平成12年(2000年)の第20回記念大会をもって終了した。
第20回記念大会で「カトレヤの詩」を大合唱(2000年 愛知県芸術劇場コンサートホール)
平成12年10月9日、愛知県芸術劇場コンサートホールで開催されたこの20回記念大会には、過去5年間の決勝大会で大会最優秀賞の「ミューズ賞」を受賞した12のグループが出場し、ゲストには「トワ・エ・モア」を迎え、総合司会をCBCアナウンサーの小堀勝啓氏が担当した。大会フィナーレは、「トワ・エ・モア」のふたりも参加して、このイベントのテーマ曲「カトレヤの詩」を、その作曲者である石井觀氏の指揮による大合唱で締め括った。
「カトレヤの詩」楽譜の一部(1982年制作)
「カトレヤの詩」歌詞(作詞 中村千榮子)
『カトレヤのはなびらは、愛のささやき・・』で始まるこのテーマ曲「カトレヤの詩」は、作詞が中村千榮子氏、作曲は石井觀氏。フェスティバルに連動し松坂屋名古屋店の委嘱により制作された。松坂屋のシンボルフラワーであるカトレヤの花の華麗さをイメージした優しく美しい合唱曲で、第1回目大会翌年の昭和57年(1982)に完成した。その後毎年フェスティバル決勝大会のフィナーレには、参加者全員でこの曲を合唱している。なお「カトレヤの詩」は、平成2年(1990)3月にシンセサイザーでアレンジしたボサノバ・バージョンが制作され、以来この楽曲は30年以上にわたって松坂屋名古屋店の代表電話(052-251-1111)の保留音メロディに使われており、電話係が今日もその優しく美しい調べを届けている。
名古屋店の電話係(1980年頃)