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2020.09.05

生理はいつからタブー視されていたの?「生理の近代史」をレクチャー ―ミチカケ オンライントークイベント「michi kake at online」レポートvol.2

生理はいつからタブー視されていたの?「生理の近代史」をレクチャー ―ミチカケ オンライントークイベント「michi kake at online」レポートvol.2

 

自分自身の身体について知り、ライフプランを考えるオンラインイベント「michi kake at online」を、YouTube Liveによるオンライン配信で開催。フェムテック、生理の歴史、妊娠の知識、女性のライフプラン設計、男性が考える生理のことなどをテーマに、各分野の専門家や起業家などがオンラインでトークを繰り広げました。2020年7月19日(日)~23日(木・祝)の5日間で開催されたイベントを、全5回に渡ってレポートしていきます!

1日目のトークテーマ「世の中に広がるフェムテックの未来」はこちらからご覧いただけます。

 

 

2日目のトークテーマは「生理の近代史」。 ミチカケWebサイトでコラム連載中の歴史社会学者 田中ひかる先生をゲストにお招きし、すでに掲載しているコラムの内容に沿いながら、書ききれなかったポイントをさらに深堀り。事前に寄せられた質問やリアルタイムで投げかけられた質問に答えながら、日本における生理用品の変遷や、女性を取り巻く環境変化を紐解いていきました。

 

 

女性の社会進出は生理が阻んだ?

 

女性の犯罪や自殺と月経の因果関係を紐解いた本『月経と犯罪 女性犯罪論の真偽を問う』(批評社)、や生理用品の誕生秘話を中心に近代史を綴った『生理用品の社会史』(角川ソフィア文庫)などを著書にもち、歴史社会学者として活躍されている田中先生。そもそも生理の研究を始めたのは、女性史を専攻しているなかで「生理」という現象は避けては通れない道だったからだそう。

 

歴史上長い間「女性は男性より劣っている」とされてきたのは、生理があったからだと言われています。それもそのはず。私たちが日々使っている既製品の「生理用品」が生まれたのはほんの100年ほど前で、それ以前の経血の処理方法や痛みの鎮静方法が確立されていなかった時代の女性たちは、生理が来るたびに満足に外出もできないような環境だったから。今でこそ日本では買いたい時に生理用品を買うことができ、痛み止めなどの薬も手に入れることができるので、生理中であっても仕事や学校に行くことができます。しかし、それがなかった時代の女性たちはどのように過ごしていたのでしょうか?そんな疑問から、田中先生の生理研究はスタートしました。

 

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生理に関する記録で最古のものは「月帯(けがれのぬの)」という記載があった鎌倉時代まで遡ります。その後、室町時代に木綿が輸入され明治時代に入ると傷の手当て用で脱脂綿が普及し始め、それが経血処置にも使われるようになったそう。

 

日本で初めて既製品としての生理用品が誕生したのは1901年のこと。タンポンは1938年に誕生しますが、戦時であったため脱脂綿が入手困難に。戦争中はストレスで多くの女性の生理が止まり「戦時性無月経」という名前もつけられており、いかにストレスが女性の体と生理に関係しているかが分かります。

 

高度経済成長期の1961年、そしてアメリカで使い捨てナプキンが登場してから遅れること40年、いよいよ「アンネナプキン」が誕生。初めての販売は大丸をはじめとする大阪の百貨店で行われたそう。(アンネナプキンに関してはこちらの記事「「ミチカケ」オープンに、アンネナプキンのデビューを思う」をご覧ください)

 

 

穢れとされていた生理に変化が

 

使い捨て生理ナプキンの「アンネナプキン」誕生によって変わったのは、女性のライススタイルだけではないと田中先生は言います。あえて銀座に本社を構え、おしゃれで爽やか、そんな印象を若い女性に発信した「アンネナプキン」は、生理から「タブー」「穢れ」などのイメージを払拭するという大きな功績を残しました。

 

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今では「生理」という言葉を口にすることはタブー視されていませんが、日本では平安時代に「貞観式」のなかで生理が「穢れ」と規定され、明治時代まで受け継がれました。月経中の“穢れた”女性を隔離する月経小屋という隔離部屋まであったのだとか。この文化は現代でもインドやネパールでも見られ、隔離によって命を落とす女性がいまだにいるのも事実なのです。先人の様々な努力によって女性の社会進出が支えられてきたということを、生理用品一つとっても、感じることができます。

 

 

質問コーナーでは「男女問わず生理に対する知識は持つべき?」「生理中の女性=穢れとする法律が明治時代になくなったのは、誰の影響だった?」「タブー視されてきた生理が、広告以外でメディアに取り上げられることはあった?」など、様々な意見・質問のコメントが飛び交いました。詳しい内容はぜひ動画をご覧ください。

 

 

回答しきれなかった質問に、田中先生が追加アンサー!

 

事前に寄せられた質問のなかで、トークイベントでは回答しきれなかったものも多数ありました。その中の1つ、「生理用品の価格の変動や、日本における生理用品軽減税率対象化や無償化の可能性について知りたいです 」という質問にお答えいただきました。

 

 

【田中先生の回答】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

日本における生理用ナプキンの価格は、発売当初の1960年代はやや高めでしたが、その後、企業間の価格競争もあり購入しやすい価格に落ち着いています。とはいえ、経済的な理由でナプキンを入手できない女性もいます。こうした状況は全世界的に見られ、「生理の貧困」と呼ばれています。

 

これまでは生理に対する“タブー視”が邪魔をして、そうした問題が放置されていたのですが、最近ようやく、世界的な「生理の平等化(生理をタブー視せず、生理のある誰もが生理用品を入手できる状態にすること)」の流れのなかで、可視化されるようになりました。日本も例外ではありません。

 

「生理の平等化」において問題視されるのが「タンポン税」です。実際にそういう名前の税があるわけではなく、生理用品にかかる税をそう呼んでいます。もっぱら、「女性の必需品である生理用品を非課税にすべきだ」あるいは「税率を軽減すべきだ」という主張のなかで使われる言葉です。

 

これまで、世界各地で「タンポン税」を廃止すべきだという運動が行われ、実際に廃止されたり軽減されたりしています。例えばオーストラリアでは、2000年に消費税にあたる商品サービス税(GST)10%が導入され、生理用品も課税の対象とされましたが、昨年1月、非課税となりました。インドでも一昨年、生理用品に課されていた12%の税が廃止されています。

 

ひるがえって日本では、生理用品に対する課税の廃止どころか、消費増税の際、軽減税率の対象にさえなりませんでしたが、不満の声はほとんど上がりませんでした。「生理の平等化」を象徴する「タンポン税」という言葉自体があまり知られていないということもあるでしょうし、生理にまつわること――生理用品の購入のほか、生理に起因する体調不良など――は、個人が内々に解決することだという意識がまだ根強いからかもしれません。

 

今後、生理がもっとオープンに語られるようになり、「生理の貧困」「生理の平等化」「タンポン税」についての認識が広がれば、日本でも税率が軽減されたり、無償化されたりする可能性はあると思います。

 

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トークイベント中には、「アンネナプキンの誕生に立ち会った大丸で、60年後にミチカケが誕生した。時を超えて女性の味方であることに感動しています。」という視聴者からの嬉しい声も。これからもミチカケでは、それぞれが心地よく感じるリズムに寄り添ったモノ・コトを発信していきます。田中先生によるトーク【michi kake at online 2日目 生理の近代史】は以下より視聴できるので、ぜひご覧ください。

 

 

 

次回は「20代・30代女性のための妊娠の知識」をテーマにしたトークイベント三日目をレポートします!

 

 

登壇者プロフィール:

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歴史社会学者 田中 ひかる 先生

1970年東京生まれ。歴史社会学者。著書に『月経と犯罪 女性犯罪論の真偽を問う』(批評社)、『「オバサン」はなぜ嫌われるか』(集英社新書)、『生理用品の社会史』(角川ソフィア文庫)、『明治を生きた男装の女医 高橋瑞物語』(中央公論新社)など。

 

HP:http://tanaka-hikaru.com/

 

 

<田中ひかる先生のこれまでの #わたしのミチカケ コラム>

2019年11月 「ミチカケ」オープンに、アンネナプキンのデビューを思う

2020年2月 生理用品の進化は“タブー視”との闘いだった

2020年4月 なぜタンポンは “タブー視” されてきたのか

2020年6月 スペイン風邪で逝った恋人を追った「女優」の話

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