更年期は人生のターニングポイント ~歳を重ねることを楽しみましょう~
日本の女性就業率はアメリカや欧州を上回るようになりました。育児休業制度も先進国の中ではトップクラスの充実度を誇ります。またメディアのおかげもあり、ここ数年のうちにダイバーシティのコンセプトがずいぶんと浸透しました
女性が定年退職まで働くことが珍しくない時代に突入しましたが、一方で定年前の約10年間、閉経という体の変化を感じながら働き続けなければなりません。そして、ライフステージ上では、子どもの成長と独立、夫や自分の定年、親の加齢による病気や死、仕事の責任が増してくる、バラエティーにとんだタスクに追われがちです。
さらに、40代以降の女性は、ホルモンバランスの影響をうけ、心身のバランスを崩し、不快な症状が現れます。この症状がホルモンバランスの乱れによるものか、何か病気が隠れているのか不安に感じやすい世代です。
私は調剤薬局で20年以上薬剤師として働いています。薬剤師は薬を渡すだけの人と思われがちですが、1枚の処方箋にはその人が歩んできたストーリーが込められていると思います。
そのきっかけとなった女性は、同じ日に3つの病院の処方箋を持参しました。
1枚目は泌尿器科の膀胱炎のお薬です。頻尿が恥ずかしく、トイレを我慢しがちになり、膀胱炎を繰り返しいるそうです。
2枚目は整形外科の痛み止めのお薬です。肩こりがひどく、スポーツジムに通っても、マッサージに通っても症状が改善しないため、骨に異常があるのか心配になり、受診されました。
3枚目は心療内科で睡眠薬が処方されていました。膀胱炎や肩こりなど、今まで感じたことがない症状や、些細な事が気になりはじめ、眠れない日々が続いているそうです。
女性の話によると、かつては活動的で、誰に対しても明るく元気で、はつらつとしていたそうです。
それが最近、これらの症状に見舞われ気分もふさぎがちになり、外出もままならないそうです。
一見するとバラバラな症状ですが、実はエストロゲンの減少に伴う更年期女性に起こりがちな症状です。
上記の図のように、40歳を過ぎたころから、女性ホルモンの一つであるエストロゲン分泌量が急激に低下し、様々な症状がおこり始めます。
例えば、脳の血流低下に伴う物忘れやうつのような症状・眼球の水晶体が弾力性低下に伴うドライアイ・皮膚にはりがなくなる・血管壁のしなやかさの低下に伴う動脈硬化や心臓病・骨量低下に伴う背骨のまがり、骨折しやすくなる・膀胱括約筋が弱くなり頻尿になる。。。
エストロゲンの減少は、乳房・子宮・卵巣などの生殖期への作用だけでなく、からだの様々な場所に症状が現れます。
また発症時期に個人差があり、潜在期はあるが自覚症状が現れにくい人もいます。
先ほどの女性に婦人科受診を勧めましたが、「私は更年期ではないから」と受診を拒まれました。
この女性にかかわらず、多くの女性はご自身を「更年期」と認めたくありません。なぜならば、更年期=生理が終わる=「女の終わり」。。。なぞの方程式をイメージしがちです。裏を返せば、それだけ女性は「生理」に翻弄されていたのかもしれません。
また更年期の症状はホットフラッシュやイライラのイメージが強いため、体に影響を及ぼすとは考え難いのです。
一方で、現在更年期を迎えている世代は、高学歴で社会経験があるにもかかわらず、結婚や妊娠で仕事を辞めるケースが多かったため、子育ての終了とともに生きがいを喪失しがちです。完璧に育児や家事をこなしてきた女性ほど、現状に不安になり、自信を失い、更年期の症状を誘発しやすくなっているともいわれています。
<閉経の定義とは>
卵巣の活動性が次第に消失し、月経が永久に停止した状態を「閉経」といいます。
一般的に1年間以上の無月経を確認することにより閉経と判定します。日本人の平均閉経年齢は50歳ですが、個人差が大きく早い人で40歳代前半、遅い人で50歳代後半に閉経を迎えます。
何らかの疾患で生理を停止している方は無月経状態のため、判断できないことから、ホルモン変化を考慮します。
<更年期症状と更年期障害>
更年期症状とは更年期に現れる症状のなかで、他の病気を伴わないものをいいます。
たとえば、高血圧に伴うのぼせや、うつ病などの精神疾患などはあてはまりません。
更年期症状が重く日常生活に支障をきたすものを更年期障害と呼びます。
更年期症状を誘発させる3つの原因
更年期症状の主な原因は卵巣から分泌されるエストロゲンの低下ですが、ライフステージ上のネガティブなイベントも症状発症に影響するといわれています。
1.卵巣機能低下(エストロゲン低下)
2.精神心理的要因(イライラ・抑うつ気分)
3.環境因子(家族や職場)
<更年期のすごしかた>
更年期は人生のターニングポイントにすぎません。
たしかに今までできていたことができなくなる、今まで似合っていた洋服が似合わなくなる、などネガティブな出来事が次から次へとおそってきます。
しかしそれは身体の中から発しているメッセージなのです。
今まで走り続けてきた「あなた」に立ち止まる勇気を与えてくれているのです。
走り続けることがすべてではありません。
自己肯定感を高めるのは、家事でも仕事でもありません。あなた自身のこころの豊かさです。
すべてを許し、認め、強く美しく生きる力を養いましょう。
プロフィール:
岡下 真弓(おかした まゆみ)
フリーランス薬剤師・女性美ディレクター
大学卒業後、化粧品の研究員として女性の肌・薬品・女性ホルモンの研究をしていた時、「女性は生涯を通してホルモンと付き合っていかなければならない」ことを実感しました。女性ホルモンのバランスを整えることで、心も体も安定し、家庭や職場でもその人の能力や特性が最大限に発揮されることを知りました。
同時にホルモンバランスの乱れは、うつ症状、やる気の低下、気分のムラなどを引き起こし、女性が能力を発揮するのを妨げるのだということも感じました。
その後、薬剤師として多くの患者様と会話をしていく中で、病気や不調を抱え薬が必要になる前に、事前のケアが必要だと強く感じ、フリーランスになる。以降、医療よりも気軽にアプローチできるアロマを通じ、セミナー・講座などで女性ホルモンの啓発活動を続けています。
HP:biyou-do.jp
Instagram:https://www.instagram.com/biyou_do/
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