〈web koko〉下村好子さん / 13人目 北海道に魅せられた人たち
独自の歴史・自然・風土をもつ「北海道」。
そんな北海道に魅せられた、ものづくりの人々の作品をご紹介するイベント「北海道に魅せられた人たち」が松坂屋上野店にて4月27日(水)から開催となりました。
これまで北海道に魅せられた人たちを紹介してきましたこの連載。
最後を飾る13人目は、〈web koko〉を展開するテキスタイル作家・下村好子さんです!
下村さんのもの作り
下村さんのものづくりは、糸作りから。
自然や音楽などさまざまなものからイメージを膨らませ、手に取って”いいな” と思ったものを触って紡いで何ができるか想像を膨らませます。
「素敵だなと思ったものは、天然素材か化学素材かは問いません。」
と、ものづくりのルールは決めず、自分の感性を大切に自由にものづくりをしています。
東京出身の下村さんは、大学卒業後しばらくしてから北海道に移住されたそうですが、都会では感じることのない五感への刺激を札幌で受け、段々と北海道が好きになっていったと言います。
「札幌駅から山が見えることにまずびっくり!空気も植物も東京とは違いました。そういう刺激から作品を生み出していくので、北海道はものづくりをする地として私には合っていたんでしょうね。段々と好きになっていきました。
今は、北海道らしい素材にも触れて貢献していきたいという気持ちで、北海道の羊毛をきちんと活用する構想も練っています!」
元々ものづくりには興味がありながらも、より広い人々にモノを広めていきたいという想いがあり、テキスタイル作家というプロダクトも扱う道に進んだ下村さん。北海道の魅力を下村さんのフィルターを通して、広めています。
中川町との出会い
サウナハットのとんがり部分も中川町のクルミで染まっています
下村さんの作品には、アトリエのある札幌から遠く離れた道北の中川町の素材で染められたものもあります。
中川町は、森林の広がる町ですが、森の恵みを無駄なく使っていく活動に力を入れています。その未利用資源の活用を目的に、染色を行う下村さんと中川町の取り組みが続いています。
北海道と本州では同じ種類の植物でも色が異なることもあるそう。
「染料でいえば、生のまま使うものは、本州よりも少し淡い色で染まる気がします。一方、タンニンの含有量は多くて濃く染まります。」
そんな面白みもありながら、中川町との取り組みは別の理由もあると言います。
「中川町は自然が豊かで、その素材にも素敵なところがありますが、何よりも人が魅力的。ものを大切にする気持ちが強い人が集まっている気がします。そういった人たちの連携、ものを無駄なく使い切るという想いの連鎖の一つとして参加できているのが嬉しいですね。」
注目は、中川のクルミで染めたバッグ!
今回のイベントでのイチオシはバッグ。
これまでテーブルセンターの制作で使っていた単純なシェイプを連続させる柄をバッグに仕立てたものです。「着物にも合いそうかなと思って、少しだけ横長にしている」とのこと。口のファスナー、小物を入れるたくさんのポケットと機能面にもこだわりったそう。
中川町で採取したクルミの果実で染めた糸も使っています。
「クルミの実は、採取したらすぐに砕いて染めないとだめになってしまいます。以前、中川町からクルミの実を札幌のアトリエに送ってもらったことがあったんですが、ほとんどだめになってしまっていて……だから、中川に行ってその場で染色するというのは夢でした!!”町役場の方々と一緒にキャンプ場でクルミを拾い集めた” という楽しい思い出の詰まった作品になりました。」
中川町の森を大切にする想いがあり、それを楽しく実現していく思い出があり、下村さんがひと織りひと織り想いを込めて織り上げた布地。たくさんの人の気持ちが込められたバッグになりました。
このバッグとたくさんのお出かけをして、このバッグの想いの歴史をさらに更新していただける方を待っています!
ぜひ店頭に見にいらしてください。
\北海道に魅せられた人 13人目/
下村好子さん
テキスタイル作家。webkoko主宰。東京都出身。web koko 主宰、美大のf通信教育課程の臨時講師もされています。北海道の好きなところは、「四季がしっかりとあって、折々の色や温度の違いを肌で感じるものが違うところ。特に、6月の日の長い日の夕日や冬の寒い日に見られる凍ったような木の風景が好きです」
「北海道に魅せられた人たち」
会期:4月27日(水)→5月3日(火・祝)
場所:松坂屋上野店 本館1階北口イベントスペース
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