麦焼酎の元祖!壱岐へ行ってきました
ご無沙汰しております。【大丸下関店】和洋酒売場のてんちょーミウラです。
この度ちょいとお休みを頂戴して長崎県の壱岐島へ行ってきました。
何をしに?
そうですね、そこにミウラの好きな味の麦焼酎があるから、でしょうか。
そして新雲丹の季節だから、ってのもあります。(フフフ…)
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博多第二ふ頭からジェットフォイルという高速船に乗って70分。
到着してすぐ向かったのは、【玄海酒造】さん。
こちらではまず壱岐焼酎とはなんぞや、というビデオを拝見し、
そこから製造工程の見学をさせていただきました。
そもそも壱岐焼酎とは麦焼酎なのですが、壱岐焼酎がその地名を冠するのには理由があります。
※以下専門的なお話になるので、面倒な方は飛ばしてください※
3世紀に書かれた中国の歴史書『魏志倭人伝』にも「一支国(いきこく)」の名で登場、弥生時代から大陸と倭(日本)をつなぐ海の中継地点となった、壱岐。そこには諫早平野に次ぐ広さの天然の沖積平野があります。この広大な平野で農業をしないはずがなく、麦や米なども栽培されました。室町時代末期に平戸松浦藩の領地となりましたが当時は年貢=米だったので、年貢を納めると米はあまり残らず、ならば米よりも大麦をたくさん植えたら良くない?的な発想があったかどうかは定かではありませんが、普段から大麦でどぶろくなどを作る風習があった壱岐の島民たちは大陸から伝わっていた蒸留酒を、元々どぶろくを仕込んでいた米麹を利用して麦焼酎を醸したようです。【壱岐の華】の長田社長によると、泡盛は南方から入ってきた〈全麹仕込み〉という焼酎の作り方、一方壱岐はお隣の国から伝わった二次仕込み。
壱岐焼酎の作り方はまず米麹をつくり、それに水と酵母を加えて1週間ほど発酵させ(1次仕込み)、その途中で主原料となる麦を2週間ほど仕込んでさらに発酵させます(2次仕込み)。
▲この写真は2次仕込み。よく見ると麦の「ふんどし(黒条線)」がありますよね?米麹と主原料の麦、黒麹が合わさってすこしグレーベージュな色の醪になっています。
その後蒸留器を使って2次発酵の醪を蒸留し、透明な液体(原酒)がつつつーっとタンクに溜まります。
原酒も味見させていただきましたが、いやあ、飲めないほどじゃなかったな。丸みはないけど、若々しいぜ!弾けるぜ!っていう香りと思いが伝わってきました(笑) そして、写真撮り忘れましたorz
通常、麦焼酎は米麹を使ったり、麦麹を造って、麦と合わせて醸していきます。
壱岐焼酎は「原料を米麹1/3に対して大麦2/3」という規定があります。この黄金比率が壱岐焼酎が飲みやすい麦焼酎としてのベースを作っています。
※また専門的な話になるのでお時間のない方は読み飛ばしてください※
そして規定があったからこそ、1995年7月1日にWTO(世界貿易機関)が地理的表示を制定、壱岐焼酎がその1つに選ばれました。
地理的表示とは酒類の確立した製法や品質、社会的評価を勘案し、原産地を特定して、世界的に保護しようとする制度です。
お酒ではウイスキーの「スコッチ」や、ワインの「シャンパーニュ」が有名です。その名称を使用するためには一定の難しい規定をクリアしないと名乗れません。昔、オーストラリアの会社が発泡ワインに【○○シャンパン】と名付けて、フランス・シャンパーニュ委員会がクレームを入れたことがあります。同じ発泡性のワインでもフランスのシャンパーニュ地方で生産され、一定の品質基準を満たしたものだけが「シャンパーニュ」と名乗ることが許されています。
さてさて、その世界的な Iki-Shochu は、現在製造している蔵が7か所。
先ほどご紹介した玄海酒造さんの個人的お勧め銘柄は【壱岐スーパーゴールド22】。
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次は現在は玄海酒造さんの傘下にある【山の守酒造】さん。
ここは ①甕仕込み ②甕熟成 ③常圧蒸留 が現在でもなされている蔵です。
そして一番古くからある蔵でもあります。
現在使用している醪を仕込むための大甕は、二度と手に入らない大事な大甕。甕仕込みをやめた壱岐の華酒蔵さんも、大甕が手に入らなくなって泣く泣くタンクに代えたと仰っていたなあ…
山の守さんの焼酎はクラシカルな造り、と言えば分かりやすいかな。
個人的お勧め銘柄は【一洲】。
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【壱岐の蔵酒造】さんでは、和水用の伏流水を飲ませていただきました!
この水がまあ、とろみがあって、柔らかいだけかと思ったら中心にミネラルが感じられた美味しい水。
↓↓こちらのレアな長期熟成麦焼酎【イキノシマ アルティメット30度】を、なんと下関店にも納品していただけることに!
四合で税込5,500円でございます。しかし綺麗なブルーボトルですよね。
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【壱岐の華酒造】さん。突然伺ったにもかかわらず長田社長が色々とご説明して下さいました。
岩盤と伏流水の話で盛り上がりました(笑)
こちらのお勧め銘柄は【華秘伝GOLD】。他の蔵は圧倒的にスペインのシェリー樽を熟成に使用されるところが多い中、壱岐の華さんではアメリカンオークの新樽を使用されています。そして、樽貯蔵される際に、こちらのミネラル感が多く感じられる伏流水で先に和水してからの、樽貯蔵。つまり、かなり長期の〈前割り状態〉になっているので、開栓した時点で既に水の分子と馴染みまくって美味しいという(笑)
他の蔵も回りたかったのですが出航の合図が虚しく響く…
ウニも食べたし、「いき壱岐納豆」も島豆腐も新鮮なアオサもカサゴも鯵も食べました!壱岐牛も頂きました!
流紋岩の間から玄武岩がむにっと出ているかなり珍しい岩脈も初瀬で見てまいりました!
白黒白の映え岩脈です。
玄武岩の柱状節理で出来ている猿岩は限りなくマントヒヒの横顔に見えるし、外で猫の世話をしていた方言バリバリの可愛いお婆ちゃんは後ろに見える古い酒屋さんの人らしく、気温28度の中を既に10kmほど歩いていて熱中症になりかかっていた私は「水かお茶は買えないか」と聞いたところ、「透明な水しかない」と、店内から低アルコールの麦焼酎を持ってきて見せてくれた良き思い出(笑)
また行きたいなー。
次は来る6月8日と9日の『雁木 蔵人来店&試飲販売』の記事を書く予定です!お楽しみに!