2021.09.17

実施レポート 第82回 名大カフェ "Science, and Me" ニュートリノプロジェクトを立ち上げた、若きリーダーの奮闘 

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実施レポート 第82回 名大カフェ  "Science, and Me" ニュートリノプロジェクトを立ち上げた、若きリーダーの奮闘 

2021年8月26日に開催しました 名古屋大学との共催イベント 

名大カフェ〝Science, and Me" 実施レポートをお届けします!

 

今回の講師は名古屋大学 福田 努先生

名古屋大学 福田 努先生によるオンラインセミナーをお届けします。宇宙の起源をも解明する可能性を持つニュートリノの魅力と、研究界のチームマネジメントについて語ります。

 

終了後の福田先生からのメッセージ


「思っていたよりも多くの方に参加して頂き、ありがとうございました。
普段、あまり意識しない素粒子の世界やその解明に挑戦している研究者の姿を少しでも感じてもらえたなら嬉しく思います。イベントの感想での応援のコメントもありがとうございました。企画して頂いた関係者の皆さんにも感謝いたします」

 


 

アーカイブ動画のご視聴は こちらからどうぞ↓↓

 

 

【今回の講師紹介】

福田 努 氏(名古屋大学 高等研究院 YLC特任助教)
1980年兵庫県神戸市生まれ。
名古屋大学理学部卒。同大学院理学研究科博士後期課程修了、博士(理学)。
東邦大学理学部博士研究員などを経て、2017年より現職。
専門は素粒子実験、特にニュートリノ研究と測定技術の開発。

 

【セミナーレポート】

 

◾️素粒子物理学とは?
物質を構成する最小単位を「基本粒子」といいます。
その基本粒子と基本粒子の間に力が働くことを「相互作用」と言い、基本粒子と相互作用を調べるのが福田先生の行なわれている素粒子物理学の世界になります。

 

この素粒子物理学が研究されることで我々の身の回りの物質がどのように出来ているかの謎、ひいては宇宙誕生の謎を解明するカギになると言われています。素粒子物理学は紀元前から取り組まれており、当時は技術がないことから自然哲学の世界で語られていましたが、科学技術の進化により実際に発見されていき、自然には階層性があることが分かってきました。

 

我々の身近にある水を例に挙げると、水は水分子で出来ています。
その水分子は酸素原子と水素原子で出来ており、酸素の原子には原子核があり、酸素の原子核には陽子と中性子で出来ています。その陽子と中性子をさらに細かく見ていくとクォークというもので出来ています。
このように物質をどんどん細かく見ていき、クォークのような一番小さい単位のものを「素粒子」と呼んでいます。20世紀にはたくさんの素粒子が見つかってきており、福田先生はその中で特に「ニュートリノ」を研究されています。

 

◾️ニュートリノの測定方法について
我々は素粒子そのものは見えません。その為、素粒子を通った後の「飛跡」を見て観察、測定をする必要があります。

 

代表的な素粒子の観察装置に、「霧箱」というものがあります。今回のセミナー動画の中で、たくさんの素粒子の飛跡を見ることが出来ます。エネルギーの高い粒子は真っ直ぐ飛んでいますが、弱いものだと飛跡は曲がっていることが分かります。

 

福田先生は数ある測定器の中で「原子核乾板」を使われています。
「原子核乾板」は特殊な写真フィルムで、荷電粒子が通ると銀粒子の列として飛跡が記録されます。写真フィルムは近年普及しているデジタルカメラに比べて、撮影した画像をすぐに見ることはできませんが、ハイレゾリューションの画質で細かいところまで観察することができるため、素粒子の飛跡を観察・測定することに適しています。

 

◾️素粒子「ニュートリノ」とは?
素粒子物理分野でのノーベル賞受賞者は多く、そのいくつかがニュートリノに関わる分野になります。
代表例として、小柴昌俊氏による、超新星爆発から発生する宇宙ニュートリノの観測、梶田隆章氏による、ニュートリノに質量があることの証明が挙げられます。


ニュートリノには電子ニュートリノ、ミューニュートリノ、タウニュートリノの3種類が存在しており、反応してくる粒子によって選別しています。

 

電子ニュートリノの発見が一番古く、1956年に発見され、ミューニュートリノが1962年、タウニュートリノはさらに40年の時を経て発見されました。

 

タウニュートリノが40年もかかるほど、発見が難しかった原因として、タウ粒子は反応後、発生してからすぐに他の粒子に変化し、崩壊するまでの寿命が短かったためとされています。福田先生は、イタリアまで赴き、OPERA実験に参加しました。OPERA実験は、タウニュートリノの飛跡を捉えることに成功し、その存在を実証させることとなりました。

 

◾️素粒子の性質の研究から宇宙を解明する研究へ
現在は、ニュートリノ振動を精密に測定することで、宇宙から反物質が消えてしまった謎や素粒子の標準理論に現れない新しいニュートリノの探索が行われています。

 

しかし、それらの研究の基礎となるニュートリノと物質(原子核)との相互作用は未だ不明な点が多く、ニュートリノ振動の高精度測定の大きな壁となっています。
そこで、福田先生は、自身が取り扱われている測定器「原子核乾板」が世界最高の精度で測定できることを踏まえ、新しい実験を立ち上げました。その名も「NINJA実験」です。名古屋大学、京都大学、横浜国立大学、日本大学、東邦大学、東京大学、神戸大学といった国内の7大学でチームを結成し、50名以上の研究メンバーで茨城県東海村にあるJ-PARCの大強度加速器ニュートリノビームを用いて研究を行なっています。
実際、他の検出器では測定できないような運動量の小さい短いニュートリノ反応の検出に、世界で初めて成功しました。

 

セミナー中のご質問に一部、答えていただきました。

 

Q.素粒子は人間の体に影響はあるのでしょうか?

 

A.自然にある素粒子はほとんど人間の体に反応しないので影響がないと思われます。
もしかしたら人間の進化にも関わっているのではないのでしょうか。

 

Q.ニュートリノは地球を貫通していると教えていただきましたが、地球の自転や磁場の影響はあるのでしょうか?

 

A.電荷を持っていないので磁場には影響していないと思われます。

 

 

その他のQ&Aに関してはぜひ動画でご覧ください。

 


「名大カフェ〝Science, and Me"」とは?

名大期待の若手研究者をゲストに、「研究」というフィールドから見える世界や感動、異分野とのコラボレーションへの期待などをMCとのトーク形式で語ります。


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松坂屋名古屋店では、2017年から名古屋大学と包括連携協定を結び、サービスイノベーションとエリア魅力開発に貢献する取り組みを行っています。こちらのブログを通して取組内容を紹介しています。


 

 

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