2021.07.31

実施レポート 第81回 名大カフェ "Science, and Me" 1mlの尿からがん診断

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実施レポート 第81回 名大カフェ  "Science, and Me" 1mlの尿からがん診断

2021年6月22日に開催しました 名古屋大学との共催イベント 

名大カフェ〝Science, and Me" 実施レポートをお届けします!

 

今回の講師は名古屋大学 安井 高雄先生

尿の細胞外小胞の解析による早期がん診断の可能性について、最新の研究成果を交えてお話しいただきました。

 

アーカイブ動画のご視聴は こちらからどうぞ↓↓(掲載日より1年間の限定公開となります)

【今回の講師紹介】

 

安井 隆雄 氏(名古屋大学 工学研究科/高等研究院 准教授)

1984年愛知県名古屋市生まれ。2011年名古屋大学 大学院工学研究科化学・生物工学専攻博士課程後期課程早期修了、博士(工学)。名古屋大学大学院工学研究科助教、ImPACT PM補佐、JSTさきがけ研究員を経て、2018年より現職。令和2年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞。

 

【セミナー実績レポート】

 

◾︎「がん」の歴史
国立がん研究センターの「最新がん統計」のデータによると、平成28年にお亡くなりになった約130万人の日本人の約30%、約37万人の死因が「がん」であるとされています。このまま増えていくと、2050年頃には日本人の2人に1人は「がん」で亡くなるとまで予測されており、0歳児の生涯がん死亡リスクの報告によると男性は4人に1人(27%)、女性は6人に1人(18%)が「がん」で亡くなると考えられています。

 

「がん」は、すべての人にとって身近な病気となっています。

実は「がん」は紀元前2500年に見つかった病として報告されています。

当時は治療法はないと記述されていますが、紀元前500年には最も原始的な乳房切除術が行なわれたり、紀元前300年には体内の腫瘍の発見、1000年頃には腫瘍の転移の発見等、時代が経つにつれて治療ができる「病気」として割り当てられるようになっていきました。

 

20世紀初頭からは放射線治療、1990年代にはゲノム解析が取り入れられるなど、医療技術が進化し、早期発見することにより完治ができるまでになっています。紀元前2500年から数えると、人類は4,000年もの間「がん」と闘っていることになります。

 

◾︎医療技術の進歩による「がん」の早期発見

最近では「がん」は早期に発見することができれば、そこまで大変ではない病気と分かってきたため、治すというより、早期発見することに焦点が置かれてきています。

今までのがん検査は「組織生検」といって開腹や針を刺して組織を取り、その情報から「がん」の検査をする手法が一般的にありますが、開腹することによる体の負荷や、腫瘍内で幅広い遺伝的多様性があるなど、検査時の一瞬の静的情報でしか判断ができていませんでした。

 

近年は「液体生検(リキッドバイオプシー)」という、体液を取り、腫瘍組織全体の情報、転移先の腫瘍組織情報を取得し、体液を継続的に追い続けることで、動的情報で判断ができるようになってきました。今回 安井先生が取り組まれている「1mLの尿からがん診断」も、尿という動的情報で早期発見につなげています。

 

◾︎細胞外小胞のメッセージを読み解くことで解明される「がん」治療の可能性

実際、どのように1mlの尿からがん診断をしているかというと、採取した尿の中に含まれる細胞外小胞を1億本の酸化亜鉛ナノワイヤーを使って取ってくることから始まります。

細胞外小胞は健康な細胞、疾病をもつ細胞両方から放出されるもので、細胞間コミュニケーションの重要なツールであり、多くの疾患と関連性があるものになります。細胞外小胞にはタンパク質やDNA、マイクロRNAなどが内包されており、このマイクロRNAが遺伝子発現の微調整をしている物質と近年報告されています。

 

がんの要因として、細胞内でDNA(遺伝子)の変異が複数回行われることで、細胞ががん化していくのですが、どのDNA(遺伝子)が変異したらがん化につながるか、というのは判別が難しいとされています。そこで、がん化した際に放出される細胞外小胞からマイクロRNAを取り出す事で、がんの種類、転移や進行などの情報を得られる可能性が期待されています。細胞外小胞は体内を流れる手紙と例えると非常に分かりやすいと安井先生はおっしゃっています。


手紙は紙の大きさ、届けたい住所、届けたいメッセージがあり、配達するものです。同様に、細胞外小胞の大きさに対して、表面のタンパク質が細胞をどこに届けるかを決め、マイクロRNAというメッセージを詰めます。

このマイクロRNAのメッセージを読み解くことができれば、そのメッセージががん細胞なのか、違う病気のメッセージなのか、健康なメッセージなのかが分かる、となります。今までの組織生検では、マイクロRNAの情報が分解酵素などでバラバラになった状態から、情報を読み解く形になっていたので、かなり正確に情報を読み解けるようになったといえます。

 

実際、安井先生は尿から採取したマイクロRNAを機械学習を通して、分析できるよう研究をされている中で、ステージIの肺がん診断も可能になってきています。今後は10種のがんの識別が可能になってくることが期待されています。

 

◾︎ セミナー中のご質問に答えていきます。

 

Q.なぜ血液ではなく、尿なのですか?

血液よりも尿の方が綺麗ということが分かってきた。
血液の場合、赤血球、白血球などを覗かないといけないが
尿の場合、取り除く必要がない。その中で、データもほぼ一致しているので、尿の方が良いのでは、と研究を進めています。

 

Q.顕微鏡イメージング分野におけるやりがい、また今後、新たに挑戦したい研究内容などがあれば教えてください。

 

A.カラフルに見ることが好きなので、どこまで綺麗に見えるようになるか興味があるが、花粉ができるまでを最近は興味を持っている。 今回は花粉ができた後、タネができるまでを紹介しましたが、花粉ができるまでと、タネができた後にも興味があります。

 

その他のQ&Aに関してはぜひ動画でご覧ください。

 


 

「名大カフェ〝Science, and Me"」とは?

名大期待の若手研究者をゲストに、「研究」というフィールドから見える世界や感動、異分野とのコラボレーションへの期待などをMCとのトーク形式で語ります。

 


 

名古屋大学×松坂屋名古屋 包括連携

松坂屋名古屋店では、2017年から名古屋大学と包括連携協定を結び、サービスイノベーションとエリア魅力開発に貢献する取り組みを行っています。こちらのブログを通して取り組みの内容をご紹介させていただきます。

 


 

 

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